おそ松
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「カラ松兄さん、一緒に映画見に行かない?」
トド松から映画に誘われた。
なんでも鑑賞チケットが2枚当たったらしい。
俺を選んでくれたことに感激したのだが、トド松いわく。
「女の子受けしない映画だし、今家に他の皆いないみたいだからね。」
「そ、そうか。」
なにはともあれ、俺は兄弟二人で映画を見に行くことになったのだ。
ノンフィクション映画というものだった。
さてどんなものかと映画の内容も知らずに観てみたのだが。
「か、感動した!!!」
「良い映画だったねぇ。」
俺は涙を流しながら感極まっていた。
素晴らしい!なんて素晴らしい話なんだ!!マーベラス!
「まさかあんなことが本当にあっただなんてな!人生何があるかわからないもんだ!!」
「あれ全部が本当って訳じゃないだろうけどねぇ。あんな奇跡、起こるわけないもん。ちょっとは盛ってると思うよ?映画だし。」
「え!?そうなのか?」
「そうでしょ。ノンフィクションって言っても、どこまで本当かわかったもんじゃないよ。」
それでも良い映画だったけどね、と言いながらトド松は先に前に進んでいってしまった。
「奇跡は起きない、全てがリアルという訳じゃない、か。」
それなら俺自身の美談を語った自伝も、もっといろいろ書き足してもいいのかもしれない。
さて、どんなエピソードを書こうか考えようとした時だった。
俺は悲しそうな顔をしているgirlを見つけた。
いや、この俺だからこそ見逃さなかったに違いない。
すぐに彼女の元へと駆けつけた。
「悲しい顔をして、どうしたんだい?」
『えっ?』
かなり驚いた顔をされた。
どうして見抜いたんだろうと思ったのだろう。
「よかったら訳を聞かせてくれないか?」
『いえ別に』「遠慮することはない!さぁ、思う存分に君の悩みを打ち明けてくれっ。オープンユアハーツ☆」
決まったぜ。
とにかく話を聞きたいのだと気持ちを伝えれば彼女は戸惑いながらも、呟いた。
『ただ、この映画の内容が信じられないって友達に言われて落ち込んでただけで。』
「ノープロブレムさ、ガール。」
俺は彼女の期待に応えるために決めポーズをしながら質問に答える。
「俺は信じてるぜぇ?この映画を観て、こんな奇跡が実在したのかと打ち震えてしまったものさ。」
『そ、そうですか。...そうですよね。』
安心したように彼女の表情が少し和らいだ気がする。
ふっ。俺にはマイナスイオンが漂っているのかもしれないな。
『両親と一緒に原作を見たこともあるんですけど、親も信じてくれないんですよね。』
驚いた。
トド松も似たようなことは言っていたが、彼女の周囲までもがそうなのか。
彼女はまた目を伏せて、切なそうに言った。
『たしかに嘘をついてる人も実在しますし、演出とかで変わってしまうところもあるとは思いますけど、だけど。どうしたら信じてもらえるんでしょうかね。』
俺は、彼女の話に聞き入っていた。
『疑うのも大切かもしれませんけど、それだと本当のことを伝えたかった作者さんが可哀想で。』
俺は先程までの自分を呪いたくなった。
なんてことを考えてしまっていたんだ、この俺は!!
作者や彼女の気持ちを考えもせず、嘘の自伝を広めようなどと軽率なことを考えてしまうだなんて!
消えたい!消えてしまいたいっ!
『すみません。突然変なことを言ってしまって。』
「そ、そんなことはないさ。君の言っていることは素晴らしい。そんな君を、俺は。」
俺は、彼女の手をとって囁こうとした。
「俺は。」
駄目だ。違う。
こんな俺ではいけないんだ。
そう感じて、言葉が詰まった。
だがどうすればいいのだろう。何が正解なんだろうか。
『ありがとうございます。』
よくわからないが、礼を言われてしまった。
だが何故だろう。互いに言いたいことが伝わった気がする。
『あなたは優しい人なんですね。』
「そんな、俺は。それほどでも。」
『そろそろ、行かないと。失礼します。』
「うああ待ってくれ!君の、君の名前は?!」
慌てて呼び止めた俺の方へと振り返った。
しばらく悩んで黙っていたようだったが、彼女は真っ直ぐに見つめて答える。
『スズネ、です。』
あぁ、やはり奇跡は起こるんだ。
おそ「おかえりカラ松~。トド松と一緒に映画行ったんだって?ははっ置いてかれてやんの。」
トド「それにしても随分遅かったね。」
カラ「ふふん。ちょっと、な。気になるか?」
トド「ところでおそ松兄さんは何してるの。」
おそ「何って、お前が見たっていうノンフィクション映画だかが面白かったんだろ?しかも今大人気。」
トド「うん、そうみたい。こんなことなら女の子誘えばよかったな~。」
俺の事情を気にすることなく、話が進んでいく。
おそ「俺も何かすっげぇ良い話作って大儲けしようかと思って!ノンフィクションってことにしとけばより感動されるし、それを信じた皆が俺を尊敬してくれるしで一石二鳥どころか」「やめろおそ松。」
俺は、おそ松から台本らしきものを引き剥がした。
自分も似たような過ちをしかけたとはいえ、今となっては黙って見過ごせない行為だ。
真実を汚すようなことは、させない。
カラ「そんなことをしたら、俺が許さないからな。」
睨むだけで収めておいて、その場を立ち去る。
おそ「な、なんだよ。あんなに怒ることじゃないよな!?」
トド「まぁ、やろうとしたことは最低だろうけどね。」
気になったのか、トド松が後から追ってきた。
トド「あの後なんかあったの?」
カラ「おお!聞いてくれるかブラザー!!実は、素敵なガールと運命的な出会いをしてなぁ♪スズネっていう子なんだが「「うっそだぁ!」」
話が聞こえていたのか、顔を覗かせたおそ松とトド松の二人から同時に言い放たれた。
カラ「嘘じゃないって!!リアル!事実!マジだから!」
やはり真実を伝えるというのは、難しい。
〆
トド松から映画に誘われた。
なんでも鑑賞チケットが2枚当たったらしい。
俺を選んでくれたことに感激したのだが、トド松いわく。
「女の子受けしない映画だし、今家に他の皆いないみたいだからね。」
「そ、そうか。」
なにはともあれ、俺は兄弟二人で映画を見に行くことになったのだ。
ノンフィクション映画というものだった。
さてどんなものかと映画の内容も知らずに観てみたのだが。
「か、感動した!!!」
「良い映画だったねぇ。」
俺は涙を流しながら感極まっていた。
素晴らしい!なんて素晴らしい話なんだ!!マーベラス!
「まさかあんなことが本当にあっただなんてな!人生何があるかわからないもんだ!!」
「あれ全部が本当って訳じゃないだろうけどねぇ。あんな奇跡、起こるわけないもん。ちょっとは盛ってると思うよ?映画だし。」
「え!?そうなのか?」
「そうでしょ。ノンフィクションって言っても、どこまで本当かわかったもんじゃないよ。」
それでも良い映画だったけどね、と言いながらトド松は先に前に進んでいってしまった。
「奇跡は起きない、全てがリアルという訳じゃない、か。」
それなら俺自身の美談を語った自伝も、もっといろいろ書き足してもいいのかもしれない。
さて、どんなエピソードを書こうか考えようとした時だった。
俺は悲しそうな顔をしているgirlを見つけた。
いや、この俺だからこそ見逃さなかったに違いない。
すぐに彼女の元へと駆けつけた。
「悲しい顔をして、どうしたんだい?」
『えっ?』
かなり驚いた顔をされた。
どうして見抜いたんだろうと思ったのだろう。
「よかったら訳を聞かせてくれないか?」
『いえ別に』「遠慮することはない!さぁ、思う存分に君の悩みを打ち明けてくれっ。オープンユアハーツ☆」
決まったぜ。
とにかく話を聞きたいのだと気持ちを伝えれば彼女は戸惑いながらも、呟いた。
『ただ、この映画の内容が信じられないって友達に言われて落ち込んでただけで。』
「ノープロブレムさ、ガール。」
俺は彼女の期待に応えるために決めポーズをしながら質問に答える。
「俺は信じてるぜぇ?この映画を観て、こんな奇跡が実在したのかと打ち震えてしまったものさ。」
『そ、そうですか。...そうですよね。』
安心したように彼女の表情が少し和らいだ気がする。
ふっ。俺にはマイナスイオンが漂っているのかもしれないな。
『両親と一緒に原作を見たこともあるんですけど、親も信じてくれないんですよね。』
驚いた。
トド松も似たようなことは言っていたが、彼女の周囲までもがそうなのか。
彼女はまた目を伏せて、切なそうに言った。
『たしかに嘘をついてる人も実在しますし、演出とかで変わってしまうところもあるとは思いますけど、だけど。どうしたら信じてもらえるんでしょうかね。』
俺は、彼女の話に聞き入っていた。
『疑うのも大切かもしれませんけど、それだと本当のことを伝えたかった作者さんが可哀想で。』
俺は先程までの自分を呪いたくなった。
なんてことを考えてしまっていたんだ、この俺は!!
作者や彼女の気持ちを考えもせず、嘘の自伝を広めようなどと軽率なことを考えてしまうだなんて!
消えたい!消えてしまいたいっ!
『すみません。突然変なことを言ってしまって。』
「そ、そんなことはないさ。君の言っていることは素晴らしい。そんな君を、俺は。」
俺は、彼女の手をとって囁こうとした。
「俺は。」
駄目だ。違う。
こんな俺ではいけないんだ。
そう感じて、言葉が詰まった。
だがどうすればいいのだろう。何が正解なんだろうか。
『ありがとうございます。』
よくわからないが、礼を言われてしまった。
だが何故だろう。互いに言いたいことが伝わった気がする。
『あなたは優しい人なんですね。』
「そんな、俺は。それほどでも。」
『そろそろ、行かないと。失礼します。』
「うああ待ってくれ!君の、君の名前は?!」
慌てて呼び止めた俺の方へと振り返った。
しばらく悩んで黙っていたようだったが、彼女は真っ直ぐに見つめて答える。
『スズネ、です。』
あぁ、やはり奇跡は起こるんだ。
おそ「おかえりカラ松~。トド松と一緒に映画行ったんだって?ははっ置いてかれてやんの。」
トド「それにしても随分遅かったね。」
カラ「ふふん。ちょっと、な。気になるか?」
トド「ところでおそ松兄さんは何してるの。」
おそ「何って、お前が見たっていうノンフィクション映画だかが面白かったんだろ?しかも今大人気。」
トド「うん、そうみたい。こんなことなら女の子誘えばよかったな~。」
俺の事情を気にすることなく、話が進んでいく。
おそ「俺も何かすっげぇ良い話作って大儲けしようかと思って!ノンフィクションってことにしとけばより感動されるし、それを信じた皆が俺を尊敬してくれるしで一石二鳥どころか」「やめろおそ松。」
俺は、おそ松から台本らしきものを引き剥がした。
自分も似たような過ちをしかけたとはいえ、今となっては黙って見過ごせない行為だ。
真実を汚すようなことは、させない。
カラ「そんなことをしたら、俺が許さないからな。」
睨むだけで収めておいて、その場を立ち去る。
おそ「な、なんだよ。あんなに怒ることじゃないよな!?」
トド「まぁ、やろうとしたことは最低だろうけどね。」
気になったのか、トド松が後から追ってきた。
トド「あの後なんかあったの?」
カラ「おお!聞いてくれるかブラザー!!実は、素敵なガールと運命的な出会いをしてなぁ♪スズネっていう子なんだが「「うっそだぁ!」」
話が聞こえていたのか、顔を覗かせたおそ松とトド松の二人から同時に言い放たれた。
カラ「嘘じゃないって!!リアル!事実!マジだから!」
やはり真実を伝えるというのは、難しい。
〆