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永遠の二人へ

 日本へ着いた頃は夜更けだった。わたしは急いで空港から十番町へタクシーを走らせ月野家の前まで来ていた。

「あの子の部屋があるのは……」

 窓の位置を確認して小石をぶつけると、あの子はひょっこりと窓から身を乗り出して来た。

「落っこちるぞ」
「えっ?」

 久しぶりの出逢い。こちらに気付いた彼女は驚いた様子で口を押さえていた。

「星野くん……?」
「久しぶりだね。月のプリンセス」
「ど、どうして!?」
「今日は愛の使者としてやって参りました」

 深々とお辞儀をすると、プリンセスはバタバタと音を立てながら玄関のドアを開けてくれた。

「星野くん!」
「こんばんは」
「愛の使者って、どういう?」
「想い人から貴女への手紙です」
「想い人って……まもちゃん!?」

 手紙を渡すと彼女は慌てて封を開けて文面に目を走らせていた。
 そして。

「うっ……ひっく……」
「よかったね。寂しさは埋められた?」
「うん……本当にありがとう。星野くん……」

 やれやれ。ここまで熱愛っぷりを見せられると、からかうのも悪い感じになっちゃうな。

「これは?」
「それは太陽のカード。衛さんには月のカードを渡してきたんだ。意味は分かるよね?」
「……うん!」

 にっこりと微笑む彼女の表情がウチのプリンセスと被る。全く、強いのに危なっかしいというか何というか。

「上がっていきなよ。まだみんな起きてるし」
「いや……流石に夜分は悪いし、君の笑顔も見れたから帰るよ」
「そう?」
「うん。それじゃあ」
「あ、待って!」

 振り向くと彼女は手を差し出してきた。

「えっと……」
「あの時はありがとう。ちゃんとお礼も握手もできてなかったものね」
「……こちらこそ」

 そう言って彼女の手を握る。
 衛さんとも違う温かさ。
 全てを活性化させるような星の輝き。

「ありがとう……『うさぎ』」
「うん。またね」

 ファイターへ変身したわたしは手を振りながら空に羽ばたいた。
 今回は一つの輝きだけれど。

「流星はいつでも貴女の元へ駆けつけるよ」
「バイバイ、星野くん!」

 彼女の姿が見えなくなるまで手を振って、大気圏へ向かう。

 さよならプリンセス。
 お幸せに。
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