*Laudate Dominum* 5
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「お前、こうなる事分かってただろ」
『え~、何の事かなぁ』
個性豊かな6匹…否、6人の少年たちが出て行った扉を見つめ、茶髪の青年―宮地はデスクで書きものをしているユーリに話しかけた。
そんな宮地に、ユーリは胡散臭い笑みを浮かべる。
宮地は豪華な長椅子にドカっと豪快に座り、
両手は背凭れにやり足を組むと、眉を寄せながら「態とらしい」と言った。
その言葉に、ユーリは『バレた?』と笑いながら返す。
『ふふっ…で、彼らの事だっけ?半分予想はしていたよ』
「半分?」
『青い髪の仔と紫の髪の仔は残るだろうなぁ…って、何となく分かった。
他の仔は用心深いって感じがしたからね。おそらくワタシの事を聞いてから決めるだろうと思ってたケド、
まさか4人とも残るとは思わなかったから。
半分当たって半分ハズレ』
「流石我が主」
『ふふっ、褒め言葉として受け取っておくよ』
クスリ…と微笑み、ユーリの視線は手元に戻された。
カリカリと羽ペン特有の音が室内に響く中、宮地は灰色の瞳を見つめていた。
彼に仕えて早---年…。長い様で短かった。
その中で分かった事は多い。
魔法の事は勿論、主である彼―ユーリの事も…。
誰よりも強く、誰よりも弱い。
明るくて、寂しがりで、泣き虫。
気紛れで怖がりで…
掴み所がない。
そんな彼に、嫌…彼だから、ユーリだから惹かれたのだ。
――一緒に居たい…
と……。
それは宮地だけではない。
笠松も高尾も、クッキーも。
おそらく、あの青年達も―…。
『どうしたの?』
物思いに耽っていると、不意に話かけられた。
宮地の視線に気付いたのか、ユーリの顔は宮地に向けられている。
「あー…俺達って似てるなー、なんて…思ってた」
宮地の言葉に、ユーリはキョトンとするが、直ぐに何時もの笑に戻った。
『そうだねぇ…似てるね。子供らしい好奇心に満ちた瞳とか。
誰かさん達に』
楽しそうに話すユーリだが、その瞳は何処か遠くを見ていた―…。
此処ではない、遠く、遥か昔…。
彼の事はまだまだ知らない。
長い年月一緒にいようと、彼の過去は未だに聞いた事がないのだ。
それが宮地にとってもどかしい様で、悲しく感じた。
彼の事ならどんな小さな事でも知りたい。どんな過去でも受け止める。そのもどかしさ…。
長くいても一線を引かれている様な感覚。その悲しさ…。
そんな気持ちに蓋をする様に、宮地は只
「そうか、」
とだけ、返すのだった…。
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