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【OP夢】これを運命と言わずして何と云う【マルコ】

「それでやっっっっっっとこ番になったってことか!」
 長かったなァ、とサッチは特大のため息をつく。悪かったな、とマルコは苦笑した。あの倉庫での抗争から数ヶ月、ようやく事が落ち着いたこともあり、久しぶりにサッチと組の本部で話していた。あの抗争がきっかけで悪徳人身売買業者をさらに詰め、暫くは心配要らないほどボコボコに潰したらしい。今回はエースがこれでもかという程動いてくれたらしい。報告もいつもこれくらいならいいがな、とイゾウが苦笑していた。
 安全性の面からレミィの孤児院への移動は無くなり、今まで通り診療所で過ごすことになった。帰ってきたレミィを見てエイダは泣き崩れ、それがいいよと笑って了承してくれた。
「まぁ、お騒がせしたってことだよい。おれもレミィも吹っ切れたさ」
「いやそれはいいんだけどさぁ……まさかレミリアちゃんがウチで仕事するとは誰が思ったよ」
 あの一件以降、レミィは白ひげに恩義を強く感じるようになり、主に経理方面で協力するようになったのだ。孤児院への出資、資金運営、その他経費諸々の経理等々。あまりの有能さに組員全員が舌を巻いたのだった。最近は難関資格までの知識までをも独学で入れ始め、なんでこんなところで働いているんだ?と幹部たちは頭を抱え始めた始末である。
「元々グレーゾーンでしか動けねェんだよい。戸籍もねェから暫く使ってやってくれ」
「もう有難くて仕方ねェよ、そういえばお前ピアスなんか開けるのかよ」
 サッチはマルコの手に握られたピアッサーに気づいて話を振った。紙袋にはもう一人分のピアッサーが入っている。ファーストピアスはただのシルバーリング。いいだろ?とマルコはリングを見せつけながら嬉しそうに答えた。
「へえへえ、好きなだけいちゃついてくれや」
 サッチは諦めたように、だが少し嬉しそうにマルコを貶した。

「――これで今月の報告は終わり。何か不備はある?」
「いんや、完璧だ。お前が仕切るようになってから間違いがねェ、ありがとうなレミリア」
 レミィは白ひげに報告をしていた。助けられた恩義、という名分以上にレミィは働いている。こんな生活も悪くないな、とレミィはとても満たされていた。
「お礼を言うのはこっちの方よ、健康に長生きしてよね」
 レミィの返しに白ひげはグラララララ!と豪快に笑う。レミィも白ひげに釣られてふふっと笑みを零した。
「そういや、マルコとは籍を入れねェのか?」
「これじゃあ不十分かしら?」
 白ひげの問いにレミィは新調した装身具を指さしながら質問を質問で返した。細めのチョーカーのようなものに、青い不死鳥を思わせる色の宝石が嵌められている。誰のものか一瞬で分かる首輪にまた白ひげはふっと笑った。
「番なんて公的な繋がりじゃねェんだ。はっきりさせておかなくていいのか?」
「いいのよ。もうこれで十分すぎるほど」
「ならいいんだ。はやくマルコのところ戻ってやれ」
 はーい、と返事をしてレミィは白ひげの部屋を後にした。歩き馴れた渡り廊下を歩き、話しているマルコとサッチの元へ駆け寄る。
「おう、用は終わったかよい」
「ええ、マルコも終わった?」
「すっかりおしどり夫婦だなぁ」
 親し気に話すマルコとレミィを見て、通りがかったエースがニヤニヤする。何よ悪い?、とレミィは少し意地悪く反論した。
「なーんにも悪いことねェよ、お似合いだって話だよ」
「それはありがとう。エースこそ最近どうなのよ、もっと話聞かせなさい」
「お、おれのことは別にいいだろ!ほら、はやく行けって!」
「あら?じゃあ上手くいってないの?例えば……」
「あーあーあー!聞こえねェなー!」
 若い者通し戯れるエースとレミィをマルコとサッチは微笑ましそうに見つめる。レミィの追撃に根負けしたエースはそそくさと逃げてしまった。
「あんまり揶揄ってやるなよ、レミリアちゃん。あれでも結構悩むタイプなんだぜ?」
「はーい」
「じゃあ帰るか、また来るよい」
 二人仲良く帰っていく姿をサッチは見送る。幸せそうな二人の間に何もかもが不要だった。

「そういえば、取りに行ったものってこれなの?」
 車の助手席乗り込んだレミィは運転席でシートベルトをしめているマルコに聞く。開けてみろ、と言われて袋を除けば、二人分のピアッサーと飾り気のないピアスが二つ入っていた。
「ただの思い付きだよい。今開けるならおれも一緒に開けようと考えただけだ」
 照れくさい提案にレミィは思わず笑顔になる。あの時渡した遺品がこんな形になって返ってくるとは思ってもみなかった。考えればこの世界で記憶を引き継いだまま出会ったこと、たまたま番になれる関係であったこと、単なる偶然が誰かによって仕込まれたものであるかのように思えてしまう。だがこの偶然を運命と言わずして何と云おうものか。
「いいわね、帰ったら開けたいわ」
「おう。今度は洒落たものつけろよい」
 何気ない会話を交わしながら、車は変哲の無い道を進む。もうこの先の道に迷いはなかった。

ーfinー
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