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【OP夢】これを運命と言わずして何と云う【マルコ】

 エースが死んだ。白ひげが死んだ。
 頂上戦争は終幕を向かえたと誰もが思っていた。海賊たちは皆暗い顔をして、誰も話そうとしない。白ひげに雇われた情報屋、ホリィ・レミリアも彼らと同じように船に足を向けた。
 ガチャリ
「どこに行こうとしている、ホリィ・レミリア――いや神の血」
 レミリアの頭に拳銃が突きつけられる。当たりに波紋が広がり、海賊たちは臨戦態勢になった。
「どこに行こうとも何も、帰るのよ。それとも取引を御所望かしら、CP-0」
 レミリアは後ろを振り向かず、両手を上げて答えた。
「レミィ!」
 今にも斬りかかりそうなシャンクス、マルコを手で制止した。
「愚考だな。ここまでしておいて、素直に帰らせると思うな」
「元帥がシャンクスと取引したのよ。貴女方の介入は話が違うじゃない」
「確かに違う。だが、神の血ホリィ・レミリアと我々ではまた違うのではないか?」
「そう……で、要件は何」
 CP-0と海軍は別、ということだろう。そう解釈したレミリア――基レミィは後ろで拳銃を構える人物に向き合った。仮面を被った背の高い男は拳銃を相変わらずレミィの額に突きつけている。
「白ひげ海賊団及びその傘下達、今回の彼らの罪を問わないことを条件に、世界政府に来てもらう」
「!!!」
 CP-0の言葉を皮切りに、赤髪海賊団、白ひげ海賊団共々銃を向けた。
「CP-0!今度こそ取り返しのつかない戦争になるぞ!!!」
「それがどうした、センゴク。これは“上”からの命令だ」
 もっと上からの命令、つまり世界貴族からの宣命。そこまでして神の血ホリィ・レミリアを渦中に収めたいのだ。
「レミィ、奴らの言うことに耳を貸すな。断れ、すぐ逃げりゃあいい――」
「いいわよ」
 レミィの凛とした声が戦場に響く。額に拳銃を突きつけられても尚、表情は変わらず淡々と答えた。
「懸命だな、ホリィ・レミリア」
「それはどうも」
「おい、レミィ!!!」
 怒ったシャンクスがずんずんとレミィに近づいた。1歩足を進めた瞬間、パァン!とCP-0が発砲した。レミィの頬を掠めた弾丸は地面にめり込む。その間レミィは1歩も動かなかった。
「世界政府の言いなりになる気か!?この先お前に自由はないぞ!!!」
「今ここで、私が死んでもこの身体目当てに戦争したいの?」
 吠えるマルコにレミィは言い放つ。先程怪我したはずの頬は元通りになった。傷も即座に治るホリィ・レミリアの血液、神の血の仕業だ。
「レミィ!!!」
 マルコが叫び、レミィの方へ飛んでいく。何がなんでもレミィをこの場から連れ去るつもりだろう。
「来ないで。近づいたら今ここで心臓を貫くわ」
 レミィは自分の心臓に銃を突きつけた。ざわめきが広がり、誰もそこから一歩動けないでいた。何故ここまでレミィが身体を貼るか、理由は痛いほど理解出来る。これ以上血を流させないためのレミィの覚悟だった。
「新しい時代にこの争いは不要なの、分かるわよね」
 芯の通った声で言うレミィにシャンクスは深い深いため息をついた。下を向いていたがもう一度レミィを見つめる。変わることの無い目にシャンクスは後ろを向いて歩き始めた。
「お頭!!!」
「いいんだ、レミィが決めた覚悟だろう」
 去っていく白ひげ海賊団、赤髪海賊団の背中をレミィは見続けている。1人、また1人と去っていく中、マルコはその場に残り続けた。
「はやく行って」
「……」
「聞こえてた?」
 ぶっきらぼうに言うレミィの心境が痛いくらいにマルコに伝わる。しばらく無言が続いた後、不死鳥の姿になってレミィに近づいた。
「もう、動く気はねェんだな」
「――今、はね。分かった?」
 マルコは頷くと、人型に戻った。1歩も動かないレミィをぎゅっと抱きしめる。
「――」
 レミィにしか聞こえない小さな声で何か呟くと、そのまま船へ去ってしまった。
「見送りはさせてくれる?」
「いいだろう」
「あと、私のことは今後一切報道しないこと。これも条件よ」
「……了解した」
 正義の門が閉じ、船が見えなくなるまでレミィは海の向こうを見つめ続けた。
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