変えてゆくもの
その事実だけはこの先もきっと残る。
「それでも幸いなことに、この先にそれを繰り返すことをやめるという手段が、僕たちは取れます。だから、華倉さんが心配するようなことはないと思います」
魅耶の意見に、そっか、と華倉は頷いた。
確かに言われてみればそうだな、と改めて理解しながら。
変わるのは未来だけ。
憂巫女という呪いを解くことで、また今までとは違う、全く見知らぬ選択肢が出来る。
それは凄いことかも知れない、と華倉は急に気付く。
今まで何をするにしても付き纏っていた「憂巫女」という「呪縛」が、本当に消えて無くなるのだ。
なんて考え直し、おぉー、とひとり興奮してしまう華倉。
そんな華倉に、あの、と魅耶が控え目に声を掛けた。
魅耶の声に返事をし、顔を向ける華倉。
魅耶もじっと華倉を見詰めて、あくまで平静を保ったトーンで訊いた。
「華倉さんは、構わないんですか?」
「何が?」
本気で何を訊かれたのか分からず、きょとんと呼応してしまう華倉。
そんな華倉に魅耶は淡々と続ける。
「憂巫女の呪いを解けば、少なくともこの先、鳳凰との関わりは無くなります。憂巫女という手掛かりがなければ、鳳凰が追い掛けてくることは出来なくなるので」
それは構わないんですか、と。
正直なところ、華倉はそんなことまで考えていなかった。
理由は多数あったけれど、何よりも驚いたのは、魅耶がそのことを問い質してきたことだ。