ゴジラ対キングギドラ

【大団円】


「はい。わかりました」

 東京へと向かうヘリコプターの中で、中村は電話を切った。ヘリコプターに乗るのは、中村、達郎、由実、光一だ。百恵と椿教授は定員の都合もあり、その場に残った。

「衛星が宇宙の彼方へと猛スピードで逃げさるキングギドラを確認したそうです。もう二度と地球を襲う事はないでしょう」

 その言葉に三人はホッと胸をなでおろす。

「残るは、ゴジラですね」

 光一は言った。

「でも……キングギドラを倒したのは、ゴジラでしょ?地球を救ってくれたのに」

 由実は寂しげに言った。恐らく誰もが同じ気持ちだろう。



 

「丹下さん」
「わかっている」

 空を見上げているゴジラを見ていた鉄也は、部下に応じ、テントに戻ると通信機に向かった。

「総員に告ぐ。これより目標をKから、Gに………」
「総隊長! ゴジラが東京湾に向かっています!」
「何!」

 鉄也は通信を中断し、外へ出た。
 ゴジラは、まるで王者の様な威厳を帯びた悠然とした動きで、一歩一歩東京から離れて行った。

「如何致しますか? 確か、自衛隊の出動は災害支援とその対象の駆除。撃滅ではありません」
「わかっている。それに、忘れていた。今の私はキングギドラの撃退作戦と二体の戦闘の終結させるこの状況の総合部隊長になっていたんだ。ゴジラの駆除は既に降ろされていた。……皆に伝えてくれ。状況終了だ。これより、被災地域の支援活動へと移行する」

 鉄也の言葉に隊員は、笑顔で敬礼をすると、全部隊に報告へ向かった。
 鉄也は、静かにゴジラに敬礼した。
 周りの隊員は、鉄也の行動を止めさせる事も、咎める事もせず、全員が鉄也にならいゴジラに敬礼した。

「………いいのか? 減俸ものだぞ?」
「責任は全て丹下さんが取ってくださるんでしょ?」

 部下の言葉に鉄也は、静かに笑った。



 

 ゴジラは、さも東京に別れを告げるかの様に一際大きな咆哮を上げると、その身を東京湾へと沈めていく。

「あれが、ゴジラ………」
「初めてみた」

 由実と光一は、太平洋へ進んでいくゴジラを見て呟いた。そして、由実は大きな声で叫んだ。

「ゴジラ、ありがとう!」

 その時、ゴジラは咆哮した。まるで由実に答えたかのように。
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