ゴジラ対キングギドラ

【終わらない夢】


 それは私の全く知らない景色だった。
 周りは都市らしく、高層の建築物が軒を連ねている。しかし、私の知る新宿などのそれとは、まるで違う形をしている。
 上を見上げると更に、巨大なドームが空を包み込んでいる。天井から降りる無数のチューブのような構造物が建物や地面に繋がっている。
 これらの景色は、私が以前映画で見た近未来の街に似ている。まるで、そのような世界に迷い込んだかのようだ。いや、あるいはそうなのかもしれない。
 やがて、私は気がついた。この街には、人の気配がないのだ。そして、私は消えた人々を探しているらしい。
 気がつくと、視界が変わっており、同じ街の中ではあるが、目の前には巨大な岩の塊がそびえている。そのあまりに異質な光景であるが、よく見るとどうやらそれは建物を押し潰して、その上に存在しているらしい。
 そして、この頃になると、或いは遅いのかもしれないが、私はコレが夢の中である事に気がついていた。
 夢の中の私は、私の意思に反して、巨大な岩へと近づいていく。
 その時、視界に武器のようなものを持った手らしきものが入った。その次に、私は一瞬、建物の窓を見た。窓にあるガラスに似たものに映った自身の姿は、人間とは似ても似つかない姿であった。
 動揺する私の心とは全く関係なく、私は冷静な動きで、岩の一部に武器を使って破壊を始める。
 少し経って、岩の一部が砕け、私は岩に近づいた。岩は二重の構造になっているらしい。更に金色の薄い透けた壁があった。
 私は、壁の先を覗き込む。そこには、先に見た私の姿と酷似した姿をした生物が、地面一面に広がって倒れていた。
 そして、私は気がついた。今自分はこの岩の中に囚われた仲間達を助けようとしているのだ。
 私は武器を構え、壁の破壊を試みる。大きく亀裂が入った。おそらく後一回で破壊が出来るだろう。
 壁に向かって再び武器を構えた時、私は空から轟く奇異な鳴き声を聞いた。
 私は鳴き声のした空を見上げた。
 空に現れたのは、全身が金色に輝く鱗に覆われ、胴から生える二本の尻尾と三本の首を持つ巨大な龍であった。
 この龍の顔を見て、私は岩の先を一瞥した。岩にはこの龍と同じ顔の形に大きく突き出ているところがある。龍はこの岩を私から守ろうとしているのだとわかった。
 龍は、私に近づく。龍が今まさに降り立とうとした瞬間、はるか遠くからレーザーが龍の胸を貫いた。
 しかし、龍はそれを諸ともせず、再び空に舞い上がると、三本の首にあるそれぞれの口から、体と同じ金色の光線を放った。
 刹那、光線の放たれた先で大爆発が起き、私からは確認する事が出来ないものの、龍を攻撃した味方は壊滅した事を悟った。
 そして、龍は再び私の前に降り立つと、私に向かって、中央の口を大きく開いた。
 刹那、ただひたすら闇が広がった。深く、果ての無い闇に包まれ、沈み続けながら、私は二つの単語を繰り返し、繰り返し呟いていた。

「金星人………キングギドラ………」



 それは私の全く知らない景色だった。
 周りは都市らしく、高層の建築物が軒を連ねて…………。
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