ゴジラvsメガロ




 一万年前。地球からはるか遠い銀河の先にM宇宙ハンター星雲は存在した。
 そこで誕生した知的生命体は現代の人類を凌ぐ繁栄を迎え、自らを星雲人と名乗り、生存域を拡大した。
 荒涼とした地を耕し、極寒の局地に都市を築く。星々の間に新たな地と国を作る。
 彼らは開拓者であり、挑戦者であった。
 彼ら星雲人は一様ではない。それは好戦的、友好的、文化的、野生的といった個人や民族の違いではない。外見、寿命、生態の違い。即ち、種の違いを有していた。
 ルーツの異なる者もいたが、既にそこを論じる者も考える者もいなかった。何故なら、文化としての家族、親、子に該当する社会を学び、個を育むシステムは星雲人にも存在していたが、親が単数から複数存在することも珍しくなく、親と子の遺伝的性質が全く異なる種となることも珍しくなかった。何故なら既に彼らの世界には遺伝情報を思い思いにデザインする技術と文化が根付いていた為だ。
 それは未開の地、過酷な局地環境へも挑み、生存圏とする彼らに共通した性質があったからだ。彼らは極寒の世界、灼熱の世界、毒の世界、様々な過酷な世界で順応できる体を作ってきた。
 遺伝情報だけではない。彼らは自らの体を改造することも珍しくはない。見えない光の色を見る目を手に入れる者、食事の必要としない体を手に入れる者、職業に適した手足を手に入れる者、様々だった。
 それ故に他の生命を操作、改造することに対しての抵抗もなく、それを忌避する者もいなかった。
 
 ガイガンがその操作、改造の中で生まれた存在なのか、彼らよりも以前の生命が作り上げた存在なのか、星雲の、謂わば神に類する超常が生み出した存在なのか、真相はわからない。探求する余力もない。
 一つはっきりとしていることは、彼らはガイガンに敵わず、為す術もなく開拓した生存圏を蹂躙され、奪われた事実だ。
 滅びゆく世界に、彼らの選択肢は多くなかった。
 “シード”を宇宙へと打ち出すその瞬間も、それを唯一の方法とは考えていなかった。故にガイガンを制御することを諦めなかった。それでも、彼らにとっての生存戦略はすでに生物における種のそれではなかった。
 “シード”に成れなかったメガロ達がガイガンの注意を引く。
 そして、彼らの望みは次代に託された。
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