ゴジラvsメガロ




 羽田空港にてメカゴジラとレイコさんが機兵隊と戦う最中、東京湾と太平洋に面する浦賀水道では東京湾上空に浮上したシートピアと羽田空港周辺が主戦場となっている機兵隊との戦闘を防衛隊の艦隊が見つめていた。無論、何もしていない訳ではない。攻撃体制を整え、シートピアへの攻撃開始がいつでもできる状態ではあった。
 しかし、通信が使えない状況下、明確な戦況が確認できず、モールス信号、暗号通信、最終的には陣川達と同じライトを使ったモールス信号でやり取りを行うにいたった。
 艦隊内の相互の疎通に不自由はなかった。しかし、肝心の戦場、司令部との連絡が滞っていたが、既に解決策はこうじられていた。過去の人類史において行われていた人海戦術である。これによって間もなく通信と兵器のコントロールを奪われていた横須賀基地奪還作戦が決まるが、彼らはその前にこの戦いそのものの行方を大きく左右させる情報を伝えることになった。

「ワレ ワンナイ シンコウ」
「了解。……次に送れ。2番が湾内に入る! 編隊の変更を地図に反映しろ」

 各艦内では首都圏を含む縮尺の海図を広げ、磁石に紙を貼り付けた艦艇を動かし、戦況図を更新。時刻と内容を書き込んだ付箋を貼り付ける。
 あらゆる無線通信は改竄される。それは音声だけでなく、データでも同様であった。何が改竄され、何が真実か、瞬時に判断してふるいをかけるにはシートピアと日本の技術格差はあまりにも大き過ぎた。結果、実測、目視、音波、聴覚といった情報を元に正確な情報を収集して統合させていた。

「シキュウ! カイチュウ ゴ、………ゴジラ!」
「「「「「「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」」」」」」

 その単語一言で、艦内に衝撃が走った。
 全員が知っていた。ゴジラは伊勢湾で消滅したはずだ。
 自然と導かれる様に彼らは信号を送った艦を見つめながら甲板に出る。その艦は太平洋側、後方にいた。
 そして、その艦は大波に揺れていた。
 視線が自然と海中に向かう。照明が薄暗い海面を照らした。
 海が盛り上がり、大波を作って迫ってくる。
 艦が大きく揺れた。海中を巨大な影が東京湾内へと向かって進んでいく。
 次第に艦の揺れは小さくなる。
 例え目視であっても、彼らは確信していた。それは、ゴジラであると。
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