午後1時30分、静岡県の高級茶葉の産地としても有名な大井川上流の川根地域上流に轟音が響き渡った。
 熾烈な空中戦を6体の巨大な龍と鳥が繰り広げていた。
 状況的にはラドンの方が劣勢となっており、γに至っては羽を破られ、安定した飛行ができていない。
 一方で、三体の龍になっているキングギドラは攻撃を受けてもその攻撃を防ぐ重力湾曲場と攻撃を受けても分散と集合による再生によりダメージが見られない。確実に蓄積されたダメージはラドンを追い詰めていた。
 そんな最中、αが咆哮した。それに呼応し、鳴き声をあげるβとγ。
 γは旋回し、三体の龍の周囲を執拗に周り、三体を牽制しながら空中の一ヶ所に集める。更に、γは咆哮をあげ、回転しながらその三体の中心に飛び込むと同時に放射線瘤を放った。
 その瞬間に残る二羽も両脇から高速で接近し、放射線瘤を放つ。
 キングギドラはその猛攻に重力湾曲場を発生させて防御するが、その圧力にγの体は熱で膨張した。
 次の瞬間、γの体は赤白い光を放ち、自壊した。それはまさにラドンの体が内部から圧力に耐えきれずに融解したとしか表現のできない現象であった。
 キングギドラによる重力を圧力として利用し、自らの熱を限界まで上げたことでラドン自身の体を熱と光に変換したのだ。ラドン単体が内部温度を暴走状態にしたところで、それは自らの燃料そのものが融解する温度に達し、メルトダウンを経て崩壊するだけであるが、キングギドラが発生させた高重力を利用することで本来の質量では得られない圧力による高温を発生させたのだ。
 非常に局所的な為、元の質量に大きな差はあるものの、擬似的に極小の赤色矮星または白色矮星と同じ状況を作り上げたといえる。それはほんの一瞬の熱であったが、五万度に達した。
 三体の龍は自らを守る重力の壁が自らを燃やす檻になり、その空間内でその熱は上昇し、そして地面に落下した。
 刹那、大井川に接触したことで大量の水蒸気が発生し、周囲の茶畑は地面ごと吹き飛び、更に龍とラドンのいる中心部は地面が溶け、地面に沈みこんだ。αとβもその水蒸気の噴出に吹き飛ぶ。
 まるで火山が噴火したかの様に周囲の木々が燃え、中心は地表の岩石すらも赤く溶けていた。
 そんな最中、北の空から青い閃光が流星の様に飛んできた。
 それは速度を落とし、モスラの姿に変身した。
 モスラは羽を青く染め、カコーンと鳴くと、その羽から青い光をシャワーの様に地面へ降り注ぐ。
 山火事は瞬く間に消え、赤くなっていた地面も熱が失せて黒色になった。
 青いモスラは大地を鎮めると、羽を緑色に染めて焦げた大地の上を旋回する。今度は緑色の光を大地に降り注ぎ、その光を浴びた地面から植物が芽吹いた。それは主に地衣類であるが、シダの他、種子植物も混ざっている。
 緑色モスラは地表を再生させると、その中心部の上空に来て静止した。羽の色を再び七色に染める。
 そして、中心の窪地の穴に埋まったキングギドラの様子を伺う。
 刹那、虹色モスラに向かって穴の中から閃光が放たれた。
 虹色モスラはそれをギリギリで回避し、穴から距離を取った。






 

『只今映像を変えていますので、少々お待ちください』

 ワンセグテレビでアナウンサーが言った。
 これまでの戦いは定点カメラによる中継映像を経てテレビで配信されていた。皇居内にいた多くの人はスマートフォンを用いて情報収集をしていた為、先の電磁パルスを受けてから使える端末はほとんどなかったが、偶々ポータブルワンセグテレビを持っていた男性がいた為、その周りを囲む様に人々はそれを視聴していた。
 僅か5インチの小さな画面。そこに沢山の人々の視線が注目していた。そして、モルとロラ、直子もその中にいた。
 中継の映像はラドンが自爆し、三体の龍が地面に落下した瞬間から映らなくなった。その為、多くの人がまだモスラ到着と浄化と表現するに相応しいあの消火と緑の再生を知らない。
 知るのはモルとロラ、そして彼女達の言葉を聞いている直子だけであった。

「モスラは無事?」
「「はい。危ないところでしたが、攻撃を回避できました。それよりもキングギドラです」」
「まだ生きているのね?」
「「えぇ。この程度では倒せません。それよりもレインボーモスラの到着でキングギドラも本気を出したみたいです」」
「本気? 今までは本気ではないの?」
「「はい、残念ですが……。キングギドラは球体から龍になり、そして三体が一つになった姿、私達がモスラと共に戦い、辛うじて宇宙へ追い返した脅威の姿、それこそが三つ首の龍王、キングギドラです」」
「でも、モスラなら勝てるんでしょ?」

 直子が聞くと、二人は首を振った。

「「レインボーモスラでは勝てないでしょう。前回よりもキングギドラは宇宙でより強くなっています。そして、地球に来てからも原子力発電所で多くのエネルギーを吸収しています。全てがレインボーモスラを上回っているといえます」」
「じゃあ、どうするの?」
「「最善を尽くします。例えこの地球から守護神モスラがいなくなっても、キングギドラは倒さないといけない脅威ですから」」

 まもなく映像が変わった。かなり遠い場所の定点カメラであるが、モスラが飛んでいるのが見えた。



 


 

 モスラが閃光を回避し、穴から距離を取ると、穴の中から金色の光が空に向かって噴出された。
 その光は空中で渦を巻き、そして像を成していく。三つの長い首、一対の大きな翼、二本の長い尾。金色に輝く三つ首の龍の王。双子曰くキングギドラの本気の姿であった。
 キングギドラはモスラと更にそれよりも遠くから旋回して警戒する二羽のラドンに威嚇をするように、カナカナカナと独特の咆哮をした。
 モスラとラドンは今までと異なる気配に警戒し、これまでよりも大きい距離を取っている。
 虹色のモスラは幼虫の時にも使ったソーラーレイを放ち、ラドン二羽もそれぞれ放射線瘤を放つ。
 一方、キングギドラは体表の鱗が大量に剥がれ、自身の周りを周回させる。剥がれた鱗はすぐに再生された。
 キングギドラの周りを8の字の軌道で囲む金色の鱗の帯は、モスラとラドンの中距離攻撃を防ぐが、これまでの重力湾曲場の屈折する動きではなかった。
 鱗の帯に光の筋は巻き込まれ、そのままキングギドラの体の周囲を周り、モスラとラドンに向けて反されたのだ。
 間一髪でモスラとラドンαは回避したが、ラドンβは自身の攻撃を受けて、片翼を切り落とされてしまった。
 地面に落下したβは咆哮し、地上を移動する。
 一方、虹色モスラとラドンαはそれぞれキングギドラに接近戦しかける。モスラは羽を赤く染め、羽の表面が燃え上がる。ラドンαは大きく旋回し、スピードを上げる。地上の木々や茶畑が衝撃波で吹き飛ぶ。
 キングギドラは、それぞれの攻撃を一撃目は受ける。強化された重力湾曲場でも相応の衝撃を受け、地面に着地する。
 今度は旋回したモスラ、αの順に同じ攻撃をする。
 しかし、キングギドラに二度は同じ攻撃が通用しなかった。守備を上回る攻撃とわかると、キングギドラは赤いモスラの体当たりを体を上半身と下半身に分けた。モスラの攻撃は空振りに終わる。
 更にラドンαの衝撃波による接近攻撃も上半身を2つに分けて回避する。
 そして、瞬く間に空中で元のキングギドラの姿に戻った。
 まるで今度はこちらから仕掛けるぞと言わんばかりにカナカナカナと咆哮し、モスラへ向けて体の周囲を飛び交っていた鱗を放った。モスラは回避するが鱗はモスラを追尾し、キングギドラの周囲を回っていたのと同じ様にモスラの周りを8の字の軌道で囲む。唯一違うことは、キングギドラを守る為のものでなく、モスラを攻撃するためのものであることだった。
 モスラを取り囲んだ鱗は内側のモスラに向けて、重力湾曲場を発生させた。
 モスラは悲鳴を上げる。しかし、既に重力の牢獄に囚われたモスラは自身の意思とは関係なく、空中のその場所に拘束された。じわりじわりと圧力を受けて中で消耗していくしかないモスラはこの時点で戦力として無力化された。
 一方、ラドンαは速度が早く、同じ攻撃が通用しないことをキングギドラも気づいているらしい。別の攻撃をする。地面を移動するラドンβへ鱗を飛ばし、ラドンβを取り囲む。しかし、モスラとはそこからが異なった。
 キングギドラは右の首を動かす。すると、ラドンβはその動きに合わせて浮き上がった。そしてラドンβはそのままラドンαへ向かって飛んでいく。
 ラドンαはラドンβを避けるが避けると、ラドンβにキングギドラの他の首から放たれた閃光が襲いかかった。うめき声をあげるラドンβ。
 それを見たラドンαはキングギドラへ放射線瘤を放つが、キングギドラは首を動かし、ラドンβを盾にし、ラドンβが放射線瘤を受けて悲鳴を上げた。
 ラドンはαをリーダーとする群れを作る性質がある。基本的にαを含む群れを守る為に他の個体が犠牲になる自己犠牲の性質を持っていることはこれまでの行動で明らかであった。しかし同時に、ラドンのαはリーダーとして群れを守る性質も持っていた。群れを生存戦略としてより確実に残す為の選択を行う知能を持ち、その為にリーダー以外の個体はαの指示で群れを守る為の自己犠牲を行い、リーダーのαは群れを守る最善の選択をする。それをキングギドラは利用したのだ。現在ラドンはαとβだけになっている。αは群れであるβを守る必要がある。しかし、同時にβを傷つけず自身も生存の為の行動をすると結果的に群れであるβを傷つける結果となる。
 αを牽制する最も有効であり、最も残忍な方法をキングギドラは取ったのだ。
 結果、ラドンαはキングギドラに攻撃をすることができず、ラドンβはじわりじわりと消耗している。
 このまま牽制をしていてもキングギドラが優位であったが、キングギドラはこの程度で終わらせなかった。確実にラドンαも沈黙させる方法を取った。
 キングギドラはラドンαと自身の間にβを肉の盾として置きつつ、そのままαへと閃光を放った。同時にβを閃光の直撃を受けるラドンαの場所へと突き飛ばしたのだ。本能だけの生物であれば回避行動をしてβが犠牲になるだけだが、ラドンには高い知能が存在した。その為、αは自身が回避した場合の結果を予測してしまった。
 結果、αはβを押し留め、閃光の直撃を受ける。そして、その後にβに突き飛ばされてαは更に動きが鈍る。この瞬間にαへ更にキングギドラは閃光を放った。再び直撃を受ける。
 ラドンαはヨロヨロと地面に着地した。猛攻撃を受けたαにこれ以上の戦闘の継続は困難であった。
 既に度重なるダメージの蓄積でβは虫の息であった。
 αも理解していた。戦いを続けることは種の絶滅になると。
 そして極限状況下に陥ったラドンαの出した結論は、生存本能であった。
 ラドンαは最後の力を振り絞って飛翔し、キングギドラとは反対方向である静岡市の市街地方面へと飛んで行った。しかし、キングギドラは追撃の攻撃を放つ。既に回避する力が残っていないラドンαは閃光を受けて、骨を砕き、一瞬宙に浮かぶとそのまま地面へ向かって落下した。
 ラドンαは静岡市北部の藁科地区へと墜落し、藁科川にかかる新東名高速道路の橋桁にぶつかった。
 一方、キングギドラはモスラとラドンβを地面に叩きつけると、二体を地面に引き摺ってラドンαの墜落した静岡市方面へとあえて飛行せずに、歩き出した。




 

 

 午後3時半、東京都へと戻った安田はすぐにキングギドラのサンプルの解析を依頼し、巨災対へと合流した。

「安田さん、お疲れ様でした」

 ちょうどドアの前に座ってパソコンを操作していた尾頭が真っ先に声をかけてきた。ただし、顔は画面に向かったままの無表情で。
 その出迎えに物言いたげに安田もするが、今更何か言いがかりをつけたところで意味がないとわかっている為、言葉を飲み込む。
 もっと話の早い人と会話をしようとキョロキョロとしていると、丁度いいタイミングで志村が入室してきた。

「あぁ、安田さん。お帰りなさい」
「あ、はい。ただいま。……で、今の状況は?」
「ゴジラのことは?」
「映像を確認しました。現在地は?」
「既に静岡県内に到達しています。現在地は沼津市です」
「それで、これからは?」
「まだ具体的には。というのも、既に自衛隊の人的資源の大半を災派と避難に取られており、ゴジラにもキングギドラにも対応できる有効な作戦が立案できない状況みたいです」
「そんな……」

 状況は安田の想像を遥かに越えて絶望的なものであった。
 改めて室内を見渡すと、旧知の巨災対の古参メンバーが室内にいるが、皆それぞれ変化する状況の対応に終われている。
 部屋の壁に並べられたモニターには、各地の被害状況がマーキングされており、北陸以上に東海と関東の被害が深刻な状況にあることが一目瞭然であった。
 更に、紙にゴジラ、キングギドラ、ラドン、モスラと殴り書きされて、テーブルの島に分かれてそれぞれが作業に当たっていた。既に人も物資も法律も全てが足りず、追い付いていない状況になっていた。

「安田さん、突っ立てないでキングギドラの解析作業に入って下さい。あそこが一番苦戦していますから」

 尾頭が言った。彼女のいる島はゴジラであった。彼女のパソコンモニターを覗き見ると、ゴジラが移動した経路の放射線量値のマッピングをし、時間経過を風の影響などを考慮して、かつてのゴジラの移動時との比較を行っていた。
 間教授はモスラと書かれた島にいた。近づくと、既に話しかけられない程に模造紙が周囲に広がっていた。安田も思ったが、最も科学の常識から逸脱した存在がモスラであった。
 しかし、流石は間教授というべきは、既に人智を超えた存在であるモスラの形態や行動と書き並べ、大きく「人類の味方」「協力可能?」と殴り書きし、その周りにモスラの形態変化で出来ることの可能性やそれぞれの場合は実力部隊である自衛隊とどんな協力が可能かを検討したメモが列挙羅列されていた。
 そして、その奥にキングギドラとラドンの島があった。ラドンの島は他の島とは印象が異なった。
 島で作業をするメンバーは主に国土交通省と原子力規制庁の職員で、岐阜県から静岡県に至る東海エリアの拡大地図を広げ、そこにマーキングし、マーカーで道路を線で引いている。既にラドンは生存が難しい状況であり、γの死骸などの処理や除染作業といった復旧復興に関する事案の検討を主軸に作業を行っていた。
 ラドンの島と対象的なのが安田の合流することになったキングギドラの島であった。そもそも所属が初期の巨災対を彷彿させるごった煮状態のメンバーであった。安田が届けたサンプルによって、キングギドラの有効な対策は確立できると思っていた安田本人としては、切迫感の漂うこの島の空気に面を食らっていた。

「あぁ、安田さん、こちらに合流して下さるそうで。……サンプルもありがとうございます。こちらでも効果的な物資の検討用リストを作成中です」

 安田に気づいた森が言った。
 その声に他の面々も顔を上げた。半数は知らない顔触れだ。いや、二人見覚えのある人物がいた。
 一人は防衛省のヤングエリートこと黒木、彼は例外的な存在だ。むしろ官僚と呼ばれる国家公務員で彼を知らないのはモグリだ。
 そしてもう一人は金星人と名乗っていたサルノ王女だ。既に金星人ではなくなっていると情報を聞いていた安田は彼女がこの場にいることに意外性を感じた。
 サルノ王女は安田に気付き、笑顔で手を差し出した。
 慌てて安田は握手をし、どぎまぎしながら挨拶をする。話慣れていたはずの英語も滑舌が悪くなった。

「日本語で大丈夫ですよ、安田」
「えっ!」

 流暢な日本語でサルノ王女は言った。かつての米国特使として現れたカヨコは日系人だったのでそれほど驚きもなかったが、サルノ王女は日系人ではないはずだ。
 安田が戸惑った顔をしていると、進藤が告げた。

「王女は金星人に取り付かれていた影響で日本語を理解しているんですよ。同時に、断片的ながら金星人の記憶も残っています」
「あ、そうなんですね」

 そして挨拶もそこそこに彼らが何故切迫感を持っていたかを安田は把握した。
 単純な話だった。キングギドラを倒す特効薬を開発するには最短でも一月程度の時間は要する。しかし、サルノ王女から提供された金星人の記憶や現在までのキングギドラの戦闘から予測される威力はゴジラ第四形態を十分に凌駕するものであり、ゴジラと明確に異なる点として地球人の侵略を目的とした高度な知性を有する存在であるという点だ。つまり、地球人に一ヶ月の猶予すらないかもしれないという可能性があるのだ。
 外務省の黒田が出した奇抜な案としては、キングギドラ対策と平行して重力操作方法を開発し、宇宙へ脱出するというスペースコロニー案まで出ていた。最も、実現性の有無ではなく、これを大義名分として世界中の研究機関と連携してキングギドラの解析を短縮させるというのが本当の狙いらしい。
 また彼らが警戒しているのはサルノ王女と同じように金星人が人間に取り付く可能性だ。特にサルノ王女の金星人とは異なり、初めからノゾミに操られた意識がそれこそ各国の政府関係者に取りつき、世界を操作した場合、対応が困難になる。その為、サルノ王女の取り付かれた状況を分析し、金星人が人間に取り付く方法や条件の有無を調べていた。
 確かに、無条件で取り付くことができるのであれば、キングギドラとして破壊をするよりもずっとスマートに地球侵略が完遂したはずだ。そもそも最も取りつきやすい筈の安田や旭は無事だった。
 その事を話すと冠城が飄々とした口調で言った。

「あぁ、それは参考になりませんよ。今安田さんが安田さんだと考えているその意識が、そう思い込まされて思考操作された金星人の可能性がありますからね」
「えっ……」

 さらっと恐ろしいことを言う。しかし、他の一同もそれを肯定する。

「そもそもそれを考える時点で彼らの術中に嵌まっていると言えます。疑心暗鬼に我々がかられて不毛な争いをするよりも、例え敵のスパイでも意味ある議論をした方が我々に利があります。そもそもサンプルを解析された程度で致命傷になる相手であれば、我々も苦労しません。つまり、サンプルくらいしか突破口を見出だせていない我々に彼らのスパイがいたところで大した痛手ではない。根本的に情報量で我々はかなりのアドバンテージを取られていますから、情報戦での勝ち目はないのですよ」

 黒木は涼しい表情で言った。
 確かに、彼らがサルノ王女一人から得た情報量だけでも相当量になるはすだ。殆どの情報を得ていない我々は情報戦で完全に不利なのだ。
 しかし、一同の顔を見れば、それが劣勢による自棄ではなく、戦略的に取ったノーガード戦ということがわかる。
 いや、この面々だけではない。巨災対の全員が、そして日本中がまだ諦めていなかった。
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