異邦人


【あとがき】


 ここまで読了、まずはありがとうございます。どうも、宇多瀬です。

 まずこの作品ですが、正直私自身がいつから書き始めたかはっきりと思い出せません。一つだけ言えるのは、見切り発車で書き始めて失敗した典型的なパターンです。
 当初は、前編を公開した翌月に後編を完成させるという企画的な発想で書き始めた比較的短い作品の予定でした。
 では、なぜこんなにも長い作品になってしまったか?
 答えは既に書きました。見切り発車で書き始めたんですよ、後半の構想を考えないで!
 その代わり、個性は捉えた作品にであったと自負してます。裏を返すと、それだけで書いた作品ということですが(苦笑
 いずれにしても、結局前編と後編の執筆に一年近いブランクが出来てしまいました。申し訳ありません。
 申し訳ないついでに、今回の作品は連載という形式を取りました。日記に書いた様に、一つは時間稼ぎですが、もう一つはブランクの影響で前半と後半に違いがあまりにも多かったので、改めて訂正をした前半から連載を開始したという事情があります。

 さて、この作品の元ネタについて少し書きます。タイトルは、カミュが書いた文学史に残る名作『異邦人』からです。SFでも特撮でもありません。母の死に感情が揺らぐ事がなかった青年が人を殺し、その理由について考えさせられる名作です。ただ、多少なりとも意識してはいたので、一応理屈ではない本質的な人の心を露わにしている部分もあります。でも、結局私の能力では上手くできなかったので、最後の台詞を書いたわけです。

 そして、この作品が二次創作のSF小説という以外に定められる場所がない最大の理由となっている元ネタについて紹介します。
 まず、観察眼の優れた名探偵、金田九十九。彼は日本ロボットアニメの原点である「鉄人28号」の主人公、金田正太郎君から来ているんですが、人物像は金田一耕助です。しかし、その中に探偵物語などの様なハードボイルドさが何故かあります。
 次に、霊視能力を持つ敏腕刑事、江戸川和也。彼は「ウルトラQ」の主人公達を意識して生み出した人物なのですが、こいつの所為で物語の位置がよくわからなくなりました。オカルトな能力を持たせたのもそうですが、そもそも本来の鉄人28号、仮面ライダー、バイラスに関連するキャラではない、本当にポンと唐突に出てきて、しかもかなり完成された状態で現れたキャラだったんです。その為、好き勝手に動きまわるし、鉄人28号の署長の様に金田をサポートするかと思えば、仮面ライダーの滝の様に動き回っている。挙句、三人の主人公の一人で登場した癖に、終わってみると石坂なんてヒロインもいて、完全に主役だ。
 そして、改造人間仮面ライダー、結城甲児。彼が一番可哀相です。始めは、後編の主役となって大立ち回りをする予定だったのですが、件の江戸川に完全に食われました。仮面ライダーの格好ですが、前編の姿はアマゾンとギルス、シンを混ぜたイメージです。後半は、「仮面ライダー」の仮面ライダー(桜島)一号です。弱くなった方が強いというヒーローの王道にも則っています。
 最後に、異邦人、バイラスです。なんだよコイツは? という方もいるかもしれません。「ガメラ対バイラス」という作品に登場したイカみたいな姿の侵略宇宙人です。「強いぞガメラ、強いぞガメラ~」という歌がテーマソングになった作品です。

 異邦人についての話で、少し触れましたが、改めて綾瀬の現れた理由について書きたいと思います。書きたいと言っても、正直なところ、それは私にもよくわかりません。
 しかし、死が彼女の中にあった何かを呼び起こしたのは確かです。もしかしたら、江戸川の言う様に潜在的にあった結城への想いだったのかもしれません。或いは、共有能力によって変化が生じないバイラスという存在に対する疑問かもしれません。自分と共有した存在を消したかったのかもしれません。それとも、金田の言うとおり、理由は何でもよかったのかもしれません。
 間違いなく書けるのは、彼女の霊によって、バイラスを倒す方法に気が付き、結果的にバイラスは敗れたという事です。

 今後ですが、この作品の続編はまだはっきりと書くとは断定できません。しかし、書く可能性はあります。内容は勿論、この作品の前日談となる江戸川の幼馴染、石坂涼の依頼の物語です。その次回作が今年書くか、来年なのか、はたまた十年後なのか、全くわかりませんが……。

 最後に、ご意見、ご感想がありましたら、気軽にご連絡下さい。お待ちしております。

 ではでは、最後まで有難うございました☆

2010.6.8 Utase
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