アストライア・ノヴァ
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ティティの話を聞き終わった頃にはあたし達は昼食を終わらせていた。
呆然と彼女を見つめているとティティはまだ僅かに残っていたアイスコーヒーを飲み干し
「これで私の話は以上です」
「っは…!あ、ありがとう…ティティさん」
ツナが我に帰り礼を言う。
「じゃあティティはこれから、あたしのクラスメイトとして学校生活を続けるの?」
「はい。師匠の指示なので。
転校手続きとか進路とか私にとっては不要だったり、手がかかる手続きを省く為に指輪の力を使いました。
後は私の存在を不自然と思わせないようにする為に学校の生徒達に使ってるくらいですかね。
それ以外で使用する事は師匠から禁じられています。
私の指輪の石に師匠の力を混ぜられて制限をかけられてますから、やりたくても出来ないのですが」
「じゃあテストとか自力で解く事になるのね」
「普通科の高校三年生ぐらいの内容なら特に問題ありません」
「ティティさん頭良いんだ…いいな…」
「うん…」
と、大空と大地のボス二人が羨ましそうに呟いている。
そこにリボーンくんがエスプレッソを飲みながら
「しかしまさかティティが次代の復讐者になるとはな。
ティティの前で悪い事できねーなツナ」
「んな…!オレがいつ裏世界の法の番人に裁かれるような悪い事したんだよ!」
「『復讐者』じゃなくてティティさんの名前そのものを名乗るようにしたんだっけ…?」
と、問う炎真に
「はい。『復讐者』は組織名です。
でも今後は私一人で動くので組織ではなくなります。
なので私は私の名前を名乗ることにしました」
「確かに『復讐者』なんておどろおどろしい雰囲気じゃねーもんな。ティティは」
ティティ本人はどう思っているのか分からないが、彼女はとても整った綺麗な顔をしている。
所謂、美少女。彼女と一緒に歩いて帰っていた時すれ違った人が振り返るのを何度も見た事がある。
それも男女問わずだから凄い。
下手をすればテレビや雑誌でよく見るアイドルグループの女の子達以上に可愛い。
そんな彼女の本来の姿である星の刺繍がされた夜空のようなマントを纏った格好は
持っている旗を吊り下げた星の杖の神秘さとも相まって、とても神聖な雰囲気だった。
「でも良かったな。
これでまた友達として一緒に過ごせるな、ツナ!」
「う…うん!そうだね山本っ」
「ケッオレは居なくなって清々してたんだがな」
「僕も嬉しいよ。また会えて良かった…ティティさん」
「ティティ、あたしも嬉しい。これからよろしくね」
あたし達はそう言ってそれぞれで再会を喜び合う。
そんなあたし達を見て彼女は呆気に取られたように呆然とし
「呆れた…貴方達、特に美香なんて私に何をされたのか忘れたわけではないでしょう?
どうしてそう簡単に切り替えられるのですか?
私は貴方達の敵だったのですよ?」
「それは僕も同じだよ。
誤解からツナくんやそのファミリーを敵視してた。
最初は本当に殺す気だったんだよ。
だけど…僕達の誤解だったのに、ツナくんはそれを許してくれた。
それだけじゃなくて、今も友達として一緒にいてくれる。
ツナくんにとって敵だったかそうだったかなんて特に重要じゃないよ」
「炎真ももちろん、何度も言うけどオレは最初からティティさんの事は敵だなんて思ってないよ。
寧ろ友達だと思ってたのに…その友達があんなに苦しんでた事に気付けなかった自分に腹が立ったくらいだ。
ティティさんさえ良ければ、改めてオレ達と友達になってくれないかな?」
「あたしもそうよ。敵だなんて思ってないわ。
ティティの立場を考えれば…あたしに対して憎む気持ちも何となく分かるもの。
それでもティティはあたしを殺さなかったじゃない。
ティティだってあたしの事最初から殺す気じゃなかったんでしょ?
そんな根本は優しい貴女があたしは好きよ」
見ればティティの顔は真っ赤になっていた。
「信じられない」と言うような表情であたし達を凝視し、口を魚のようにパクパクさせてすっかり固まってしまっている。
「…ティティ?」
「ハッ…!わっ私の友達は私が決めます!
幸い師匠は誰と交流しろなんて指名していませんでしたのでっ
だからっ必要以上に私と関わらないで下さい!」
「人間関係を学ぶ為に女子高生になったんでしょ?」
「それはそうですが別に貴女達とする訳ではないです!」
アイスコーヒー代をその場にバシン!と叩きつけるようにテーブルに置き
ガタッ!と席から立ち上がるティティ。
あたしを押し退け席から脱出すると、あたし達に振り向いてビシッと指差すと
「いいですか!?絶対っ絶っっっ対!必要以上に私に関わらないで下さい!
もし近付いてきたらその時は…その…べ、別に何もしませんがっ…お、怒りはしますから!!
…でも…必要だったら、別に怒りませんから!」
そう吐き捨てるように言って彼女は足早に去って行く。
カフェのドアを開けて、ティティはそのままお店から出て行ってしまった。
そんな彼女の行動をキョトンと眺めていたあたし達。
やがて山本くんが「はははっ」と楽しそうに笑って
「なんかおもしれーなティティさん!」
「なに怒ってんだアイツ」
「怒ってねーぞ。あれはただの照れ隠しだ」
「オ…オレなんかマズイ事言ったかな…?」
「気にしないでツナ。あれは所謂ツンデレってやつよ」
「なにそれーーー!?」
「なんか、猫みたいな人だね…」
「あたしも炎真と同じこと思ったわ」
ティティはこう言った。
『必要以上は怒るけど、必要なら怒らない』
なら…これからカフェに誘ったり、海に誘ったり、それらは友達になる為に必要な事だから怒れないわよね?
あたし達と関わるつもりはないけど、関わりたくないとは言わなかった。
イヤがってないならいっぱい誘うわ。声だって沢山かけてやる。
そしていつかティティの口から言わせてみせるんだから。
『貴女達は友達です』って。
人との関わりがまだ怖い彼女。
でもきっと…根気良く声をかけ続ければティティは気付いてくれるはず。
貴女は独りじゃない。
あたし達という友達が既にいるんだって事に…
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