アストライア・ノヴァ
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「おはよ〜!」
「おはよ!」
「だりぃ〜今日小テストじゃん」
「ね〜昨日のドラマ観た?」
「観た観た!あれさ〜」
そんないつもの朝の日常を強く感じさせる高校生達の会話が聞こえる。
今朝はツナ達と一緒に通学した。
どうやらツナ達も終わったのはティティの事件だけで
ボンゴレに関係する事件は終わっていないと分かっていたらしく
護衛の対象がティティからあたしに変わっただけで、これまで通り護衛を続けるようだった。
校門の前であたしはツナと獄寺くんと向かい合う。山本くんは野球の朝練だ。
「じゃあ今日はバイトだから、学校終わったらそのまま帰って良いわ」
「うん。分かった。
あっでもバイトが終わる頃には迎えに行くよ」
「危ないわよ。ツナだって狙われてる立場なんでしょ?
それに今日は炎真が荷物を届けに来てくれるついでに送ってくれるから無理に来なくていいわ」
「ううん。行きたい。
一秒でも早く美香に会いたいから」
「っ……」
頬が熱くなる。
こういう不意打ちはケンカする前から相変わらずなんだから…
「…分かったわ。じゃあお願いね」
「うん。じゃあまた夜ね」
「うん、夜ね。獄寺くんもありがとう」
「おー」
適当に返事をする獄寺くん。
並中に引き返す彼等の背をしばらく見送ってからあたしも校舎へと向かった。
靴を上履きに履き替えて教室へ向かう途中、別クラスの数人の友達から「おはよー美香ー」と声をかけられ「おはよー」と返す。
「ねー今日放課後カラオケ行こうよー」
「ごめん。今日バイト」
「またー?ちょっとシフト入りすぎじゃなーい?
バイトなのに働きすぎだってぇ」
「ごめんごめん。明後日バイト休みだから明後日行こう?」
「んじゃー明後日ね」
「うん。明後日」
そんな風に放課後の約束を入れてあたしは自分のクラスに辿り着く。
そこでも友達やクラスメイトが挨拶してくれた。
挨拶を返してからあたしは窓際にある自分の席に着くと
椅子を引いて座ってからカバンの中身を机の中に入れたりと色々授業までの準備をしていく。
それが一通り終わってフゥとため息をつくと隣の席の椅子が引かれる音がした。
隣の席は男子生徒だ。
物静かな性格で真面目な人なんだけど、ちょっと抜けてるのかよく忘れ物をする男子。
隣の席というのもあってよく教科書を見せてあげていた。
そそっかしい弟がいた影響かあたしはどうもそういう人に弱くて…
お節介かな?と思いつつ、今日化学のノート提出がある事を覚えているかふと気になった。
もし忘れていたら売店でノートを買ってきてもらってあたしのノートを写させてあげよう。
化学の授業は午後からだったし、範囲もそれほど広くなかったから十分間に合うはず。
「おはよう。ねぇ、今日化学の」
「…おはよう沢田さん」
あたしの思考が止まる。
目の前の状況が理解出来ない。
けれど次の瞬間にはあたしは絶叫していた
「ティティ!?」
そう。あたしの今目の前に…制服を着たティティがいる。
あたしの絶叫にクラスがシンと静まりかえって視線が一斉に向けられた。
ティティはチラッとあたしを見ると、苦笑しながら
「なぁに?どうしたの?沢田さん」
と、あの陽気な彼女ではなく本当の姿で見せた本来の雰囲気のままでそう言った。
「びっくりしたー…沢田さんどうしたの?」
「美香の絶叫初めて聞いた」
「私も。いつもクールなのに」
あたしの友達と数人のクラスメイトが寄って来る。
でも彼女達はあたしの絶叫に驚いてはいても、目の前にいるティティには何の違和感も持っていない様子だった。
あたしの方がすっかり動揺してしまってティティを指差しながら
「えっ…だって…!」
「ティティがどうかしたの?」
「だってこの子っ特進科…!」
いやっそこではないんだけど!そこも気になって…!
「ティティが?確かに頭良いけどずっと同じ普通科じゃない。
本当にどうしたの?美香ってば」
「そうよ沢田さん。イタリアからの留学生って事で一時期有名だったじゃない。ねーティティさん」
「ねー」
と言いながらティティはサラリと自分の前髪をサラリと流す。
その手の指にはあのラピスラズリの指輪が嵌められていた。
「あっ(察し)」
「沢田さんってば変な勘違いしちゃったのね」
「もービックリしたー驚かせないでよ美香〜」
そんな訳で話はどんどんあたしの変な勘違いという形で収まり
様子を見ていたクラスメイト達も拍子抜けしたのかまたそれぞれでお喋りを再開していつもの賑わう朝のクラスに戻る。
寄ってきていたあたしの友達とクラスメイトが離れあたしとティティだけになると
「ティ…ティティ…!なんで」
「そうそう。これ、手紙。読んでおいてくれます?」
あたしの言葉を遮ってティティはニッコリと笑って一枚の紙を差し出してきた。
それは手紙というよりメモ紙で、メモ紙をふたつに折り曲げただけのもの。
こういう小さなメモ紙に内容を書いてこっそり手渡す『手紙のやり取り』が女子高生の間では流行っていた。
それはまだケータイがそこまで主流になっていないからこその流行りなのかもしれない。
あたしはそれをおずおずと受け取り手紙を開いて内容を読む。
中にはこう書かれていた。
『これが私に与えられた罰です。
私も乗り気じゃないし散々嫌がったんですから、あまり騒がないで』
あたしは手紙を再び折り曲げて机の上に置くと、次に机の横にかけていたカバンを手に持つ。
中からケータイを取り出しとある番号を表示させて通話ボタンを押す。
この時間ならまだ大丈夫だろう。
そう思った矢先に電話の相手が出てくれた。
「あ、炎真?もう学校にいる?」
「…?」
ティティが眉を顰めてあたしを訝しんでいる。
「そう。じゃあツナに伝えておいて?
今日の昼休みツナも炎真も商店街にあるいつものカフェに集合。
もし連れてこれる人がいるなら連れてきてもいいわ。
…うん、ちょっと急ぎで伝えたい事があって。
…大丈夫よ。狙われてるとか襲われたとか、そんな危ない報告じゃないから」
「ちょっと…沢田美香?」
「それから…なんとかリボーンくんにお願いしておいてほしいの。
雲雀くんにお昼休みになるまで並高周辺をパトロールしてほしいって。
リボーンくんから伝えてもらえないかって」
「!?」
息を呑んでガタッと立ち上がったティティ。
その腕をガシィ!と掴む。逃がさない。
「うん…うん。ありがとう!じゃあお昼休みね。はーい!」
ピッと電源ボタンを押して通話を終わらせる。
そして表情が引き攣っているティティに向かってニッコリと笑うと
「ねぇティティ。今日のお昼一緒に食べましょ?」
ティティの苦手な雲雀くんが並高周辺を彷徨くんだ。
逃げられないって貴女なら分かるわよね?
「とりあえず今はこれだけ教えて」
「………なに」
「この席のはずだった男子、どこ?」
ティティが無言で指を指す。
その指された方向に彼はいた。
隣の席に誰もいない、半端な席に座って。
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