貴方の口で教えて
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二月、それは数少ない一年でも思いを伝えられる日が存在する月。本来ならショッピングモールには花やケーキ、チョコが「バレンタイン」の名を冠して所狭しと並んでいるのだ。しかし、ユウが立ち寄った購買部にはそんなものは存在しない。それどころか、マスターシェフの単位取得のため、ソースなどの材料を調達しに来たNRC生が行列を作っていた。
「はーい! 小鬼ちゃんたち、このソースでいいかい?」
「はい。これで早くビーフシチューを作るぞ!」
「サムさん、パイシート五十枚!」
サムからすればなんとも嬉しい悲鳴だろうが、五十枚なんて業者か? とユウは首を傾げる。しかし、彼女もこの行列を押しのけてでも作りたいものがあった。
「サムさん、板チョコ二枚とバター、砂糖、卵一パックと薄力粉、バナナ、それとツナ缶をください」
「随分と種類が多いね。お菓子でも作るのかい?」
「まあそんなところです」
ユウは支払いを済ませ、サムの店を飛び出した。時計を見れば約束の時間まで針が向かい始めている。材料を抱えて鏡舎をくぐると、のどかな庭園が見えるハーツラビュル寮にいた。慣れた足取りで厨房へ足を運べば、そこでトレイが調理器具の用意を済ませている。
「お、随分と早いじゃないか。購買部は混んでただろ?」
「はい。でも、皆さん同じものばかり注文するので、比較的早く手に入れられました」
ならよかった、と柔和な笑みをたたえるトレイがエプロンと三角巾を指さした。ユウは頷いて制服の上着を脱いで、エプロンを着る。額に三角巾をつけた彼女はトレイにお辞儀をした。
「スイーツづくりについて、御指南よろしくお願いします!」
ここではマスターシェフならぬマスターパティシエの幕が上がった。
「はーい! 小鬼ちゃんたち、このソースでいいかい?」
「はい。これで早くビーフシチューを作るぞ!」
「サムさん、パイシート五十枚!」
サムからすればなんとも嬉しい悲鳴だろうが、五十枚なんて業者か? とユウは首を傾げる。しかし、彼女もこの行列を押しのけてでも作りたいものがあった。
「サムさん、板チョコ二枚とバター、砂糖、卵一パックと薄力粉、バナナ、それとツナ缶をください」
「随分と種類が多いね。お菓子でも作るのかい?」
「まあそんなところです」
ユウは支払いを済ませ、サムの店を飛び出した。時計を見れば約束の時間まで針が向かい始めている。材料を抱えて鏡舎をくぐると、のどかな庭園が見えるハーツラビュル寮にいた。慣れた足取りで厨房へ足を運べば、そこでトレイが調理器具の用意を済ませている。
「お、随分と早いじゃないか。購買部は混んでただろ?」
「はい。でも、皆さん同じものばかり注文するので、比較的早く手に入れられました」
ならよかった、と柔和な笑みをたたえるトレイがエプロンと三角巾を指さした。ユウは頷いて制服の上着を脱いで、エプロンを着る。額に三角巾をつけた彼女はトレイにお辞儀をした。
「スイーツづくりについて、御指南よろしくお願いします!」
ここではマスターシェフならぬマスターパティシエの幕が上がった。
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