魔法石は守護する
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ユウが連れてこられたのは、自分が住まわせてもらっているリリアの別荘の書斎だ。リリアが何やらどの本じゃったかのと頭を悩ませていると、緑の装丁が美しい本をユウが取り出そうと指を引っかける。すると、重い音を立てて、本棚の一部が扉のように手前に開いた。
「おう! そう言えばそれじゃったわ。ユウ、助かったぞ」
そうですか? と首を傾げるユウの前を行くリリアは慣れた足取りで足元も良く見えない石段を軽やかに降りていく。ユウはおそるおそる足を踏み出し、壁の感触を頼りに一歩一歩確かめながら降りて行った。
不意に明かりが漏れ、石段が比較的見えやすくなると、ユウは降りる速度を速めた。そこにはナイトレイブンカレッジで見た薬学実験室のように様々な実験器具が並んでいた。
「ここは工房じゃ。茨の谷では魔力を持つ者が多いゆえに、こうした設備はまま存在する」
「工房……すごい」
見上げて部屋の隅々を見回すユウにリリアは得意げに言った。
「なに、これくらいセベクも持っておる。魔法解析学が得意じゃからな。それにシルバーもな」
「え! 見たことないです」
ユウが飛びつかん勢いでリリアに詰め寄る。リリアは肩を竦め、実験器具たちの上をすいすいと飛んでいった。
「そりゃそうじゃ。あやつの工房はこの街から遠く離れたところにある。行くにも馬を使って4日かかる」
「……つ、連れて行っては」
「だめじゃ。工房は魔法士にとって秘術を見せるようなもの。ここはもうわしも使っておらん古いものじゃから見せられるがな」
ユウは流石にダメかと肩を落とし、胸元のペンダントに視線が行った。
「……この石も、その工房で?」
「いや、あの石はシルバーがナイトレイブンカレッジの自室で作っておった。あやつは睡魔と戦いながら削っておったわ。彫刻刀で手を切らんかはらはらしたが、器用なものじゃ。美しく輝いておる」
リリアがユウの胸元を飾る魔法石をうっとりと見つめると、ユウはその石をしっかりと握った。かねてから、彼女は考えていたのだ。
「……私、お返しを渡そうと思っていたんですけど、ここで同じように何か作れないですか?」
「まぁ、作れなくはないが、おぬしには魔力がない。じゃから、本来魔法士が作るような祈りの効果も何もないただの石を作ることになる。それでもいいか?」
「構いません! 空いた時間全部つぎ込んで、完成させます!」
ユウの確固たる決意を宿した瞳が、魔法石と同じくらい輝いて燃える。リリアはその輝きに目がくらみ、抑えきれなくなった笑いで彼女へ歓迎の意を示した。
「その心意気買った! わしの神髄をつぎ込んでやるから、余すことなく利用するんじゃぞ」
こうして、シルバーには内緒の魔法石製作が始まったのである。
「おう! そう言えばそれじゃったわ。ユウ、助かったぞ」
そうですか? と首を傾げるユウの前を行くリリアは慣れた足取りで足元も良く見えない石段を軽やかに降りていく。ユウはおそるおそる足を踏み出し、壁の感触を頼りに一歩一歩確かめながら降りて行った。
不意に明かりが漏れ、石段が比較的見えやすくなると、ユウは降りる速度を速めた。そこにはナイトレイブンカレッジで見た薬学実験室のように様々な実験器具が並んでいた。
「ここは工房じゃ。茨の谷では魔力を持つ者が多いゆえに、こうした設備はまま存在する」
「工房……すごい」
見上げて部屋の隅々を見回すユウにリリアは得意げに言った。
「なに、これくらいセベクも持っておる。魔法解析学が得意じゃからな。それにシルバーもな」
「え! 見たことないです」
ユウが飛びつかん勢いでリリアに詰め寄る。リリアは肩を竦め、実験器具たちの上をすいすいと飛んでいった。
「そりゃそうじゃ。あやつの工房はこの街から遠く離れたところにある。行くにも馬を使って4日かかる」
「……つ、連れて行っては」
「だめじゃ。工房は魔法士にとって秘術を見せるようなもの。ここはもうわしも使っておらん古いものじゃから見せられるがな」
ユウは流石にダメかと肩を落とし、胸元のペンダントに視線が行った。
「……この石も、その工房で?」
「いや、あの石はシルバーがナイトレイブンカレッジの自室で作っておった。あやつは睡魔と戦いながら削っておったわ。彫刻刀で手を切らんかはらはらしたが、器用なものじゃ。美しく輝いておる」
リリアがユウの胸元を飾る魔法石をうっとりと見つめると、ユウはその石をしっかりと握った。かねてから、彼女は考えていたのだ。
「……私、お返しを渡そうと思っていたんですけど、ここで同じように何か作れないですか?」
「まぁ、作れなくはないが、おぬしには魔力がない。じゃから、本来魔法士が作るような祈りの効果も何もないただの石を作ることになる。それでもいいか?」
「構いません! 空いた時間全部つぎ込んで、完成させます!」
ユウの確固たる決意を宿した瞳が、魔法石と同じくらい輝いて燃える。リリアはその輝きに目がくらみ、抑えきれなくなった笑いで彼女へ歓迎の意を示した。
「その心意気買った! わしの神髄をつぎ込んでやるから、余すことなく利用するんじゃぞ」
こうして、シルバーには内緒の魔法石製作が始まったのである。