魔法石は守護する
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ぴゅー! と乾いた細い音が湖畔に響く。試しにと思って吹いた笛の音が想像していた綺麗な音色でもなかったので、ユウは首を傾げた。
「なんだか変な音」
彼女が元の世界で聞いていた篠笛ともリコーダーとも違う音色に、ただの笛だと分かっているのに鼓動がどくどくと跳ねるのを感じた。
「おお! 随分可愛らしい笛じゃな!」
「きゃあ!」
驚いて飛び退いたユウは、腰が抜けて草むらにへたり込んだ。背後に現れたその正体が良く知るマゼンタの瞳をしていたので。悪戯に笑う彼は、自分の端正な顔を指さした。
「わしじゃ、わしじゃ」
「リリア先輩……驚かさないでくださいよ。心臓が口からはみ出すところでしたよもう」
胸元を擦るユウに、リリアは静かな湖畔すら賑やかに感じられる明るい笑いを見せながら、謝った。思いのほか驚かせることに成功して喜んでいるらしい。リリアはユウの手の中にある小さな笛に顔を近づけた。
「その笛、わしが東方で買ってきたものとはまた違う形をしておるが、使い魔を呼ぶ笛じゃな」
「使い魔?」
首を傾げたユウに、リリアは使い魔と言えばと自分の掌にコウモリを出す。出てきたそのコウモリはリリアの周りをくるくると回った。
「まあ、お主の意思通りに動かせる分身ともいえる存在じゃ。じゃが、そのような色をした笛はあまり見ん。どこで手に入れた」
「これ、茨の谷でいちばん大きいってシルバー先輩に教えてもらったお土産屋さんで、店主さんにもらったんです」
ほお、あの気難しい頑固爺が、とぼやいたリリアがユウをしげしげと眺める。ユウの胸元にキラキラと輝く魔法石を見て合点がいった彼は、流石我が息子よ、と褒めたたえたくなった。
「おそらくそれはあやつからの歓迎の印じゃ。ありがたく受け取っておくがよい」
「はい!」
ユウが持っていた笛を肩掛けカバンのポケットにしまうと、リリアは彼女の傍に腰掛けた。静かな水面に映るうっそうとした森の泉に向かって伸ばす枝が、一瞬だけ触れたところから波紋が広がっていく。
「茨の谷はどうじゃ?」
「とっても好きです!」
にっこりと笑って答えるユウに、リリアはわずかながら胸の隅にあった不安をかき消された。ユウは別の世界から来たとは言え、曲者だらけのあの学園でも生活を送れる順応性の持ち主なのだ。杞憂だったかとリリアは、優しく笑った。
「それは良かった。良ければ、ちとわしと付き合うてもらえんか」
リリアからのお願いごとにユウが目を丸くさせると、なに、シルバーがもどる刻限までには帰してやると彼が付け加えるので、ユウは首を縦に振った。
「大丈夫ですよ。それでどこへ?」
リリアがいたずらに笑うと、唇に自身の人差し指を当てた。
「ついて来てからのお楽しみじゃ」
「なんだか変な音」
彼女が元の世界で聞いていた篠笛ともリコーダーとも違う音色に、ただの笛だと分かっているのに鼓動がどくどくと跳ねるのを感じた。
「おお! 随分可愛らしい笛じゃな!」
「きゃあ!」
驚いて飛び退いたユウは、腰が抜けて草むらにへたり込んだ。背後に現れたその正体が良く知るマゼンタの瞳をしていたので。悪戯に笑う彼は、自分の端正な顔を指さした。
「わしじゃ、わしじゃ」
「リリア先輩……驚かさないでくださいよ。心臓が口からはみ出すところでしたよもう」
胸元を擦るユウに、リリアは静かな湖畔すら賑やかに感じられる明るい笑いを見せながら、謝った。思いのほか驚かせることに成功して喜んでいるらしい。リリアはユウの手の中にある小さな笛に顔を近づけた。
「その笛、わしが東方で買ってきたものとはまた違う形をしておるが、使い魔を呼ぶ笛じゃな」
「使い魔?」
首を傾げたユウに、リリアは使い魔と言えばと自分の掌にコウモリを出す。出てきたそのコウモリはリリアの周りをくるくると回った。
「まあ、お主の意思通りに動かせる分身ともいえる存在じゃ。じゃが、そのような色をした笛はあまり見ん。どこで手に入れた」
「これ、茨の谷でいちばん大きいってシルバー先輩に教えてもらったお土産屋さんで、店主さんにもらったんです」
ほお、あの気難しい頑固爺が、とぼやいたリリアがユウをしげしげと眺める。ユウの胸元にキラキラと輝く魔法石を見て合点がいった彼は、流石我が息子よ、と褒めたたえたくなった。
「おそらくそれはあやつからの歓迎の印じゃ。ありがたく受け取っておくがよい」
「はい!」
ユウが持っていた笛を肩掛けカバンのポケットにしまうと、リリアは彼女の傍に腰掛けた。静かな水面に映るうっそうとした森の泉に向かって伸ばす枝が、一瞬だけ触れたところから波紋が広がっていく。
「茨の谷はどうじゃ?」
「とっても好きです!」
にっこりと笑って答えるユウに、リリアはわずかながら胸の隅にあった不安をかき消された。ユウは別の世界から来たとは言え、曲者だらけのあの学園でも生活を送れる順応性の持ち主なのだ。杞憂だったかとリリアは、優しく笑った。
「それは良かった。良ければ、ちとわしと付き合うてもらえんか」
リリアからのお願いごとにユウが目を丸くさせると、なに、シルバーがもどる刻限までには帰してやると彼が付け加えるので、ユウは首を縦に振った。
「大丈夫ですよ。それでどこへ?」
リリアがいたずらに笑うと、唇に自身の人差し指を当てた。
「ついて来てからのお楽しみじゃ」