ホリデーは人さらいにご注意
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寒さが染み入るこの夜だからとユウはシルバーとポトフを作った。シルバーが指を切ってしまっては困るから自分が包丁を使うと言って譲らないので、仕方なくユウは鍋の係だ。それほど不器用でもないのに、と文句を言えば、恋人にケガをさせたくないだけだとあの真っ直ぐな瞳で言われるのでユウはもう何も言えなくなった。それでも完成したポトフを二人で囲んだ食卓は静かで温かかった。
この離れはもともとリリアの別荘であったこと、これまでほとんど使わなかったからユウの好きにしていいということをシルバーがぽつぽつと教えてくれる度、ユウはリリアを拝みたい気持ちでいっぱいになった。
あらかじめ風呂を沸かしておいてくれたおかげで、二人で談笑した後は風呂に入ろうという話になった。しかし、ユウは痛恨のミスを犯した。
「先輩が先に入ってください」
そう言うと、あからさまにシルバーが身を固くした。分かったと頷く声もどことなく暗いので、あのと声をかけようとした時にはシルバーはもういなかった。
ユウはこの気まずい空気の原因があからさまに自分のせいだということにはさすがに気が付いている。しかし、それが正しいということはシルバーの秘められた感情にも触れてしまう気がして、気が引けてしまうので頬の熱が上昇していくだけだ。
「ま、まさか」
ありえない、と思ったが、彼女が風呂から上がってもシルバーの機嫌は直らなかった。なんなら、不満そうに二人のベッドは分けようかなどと自ら申し出てきたくらいだ。そこまで徹底しなくても、と言うと、先に言い出したのはそっちだ、と怒られてしまった。
さて、もうこんな風に気まずい空気を吸いながら一緒にいたいわけではない。しかし、どうやって謝ればいいのか、それ以前にシルバーの劣情について自分が口にしてもいいのか、様々な問いが持ち上がってユウは自分の頭を抱えた。
「おやすみ」
そう言ったシルバーはユウの背中にそんな乾いた言葉をぶつけただけで、さっさと寝室に引きこもってしまった。ユウは彼に待ってと手を伸ばすが、生憎シルバーの足は速い。さっさといなくなってしまった彼と二人で寝るにも、ユウは泣き出したい気持ちでいっぱいだった。
一段、二段、と階段を上がる度に押しつぶされそうな胸はへこんでしまうのではないかと錯覚する。しかし、寝室のベッドにそびえたつ山に、ユウは寂しさで胸が張り裂ける前にポンポンとノックしてみた。
「先輩」
それでも山は何も返さない。もう一度ポンポンとノックしてみるが、効果はないようだ。それでもユウは負けじと言葉を紡いだ。
「あの、私は全然一緒にいるのが嫌とかじゃなくて……。は、恥ずかしかっただけなんです」
もぞりと動いた山は、それで? と続きを促す。ユウは喉元に熱した鉄でも押し付けられているような感覚に陥った。ぎゅっと山の上にあるカバーを握ると、その裾野に向かって皺が伸びる。
「もう……傍に行ってもいいですか?」
か細く発したユウの呟きが部屋のランタンの明りに弾ける。それと同時に彼女の細い腕を掴んだ大きな手は、布団の中の暗闇へと彼女を引きずり込んだ。
この離れはもともとリリアの別荘であったこと、これまでほとんど使わなかったからユウの好きにしていいということをシルバーがぽつぽつと教えてくれる度、ユウはリリアを拝みたい気持ちでいっぱいになった。
あらかじめ風呂を沸かしておいてくれたおかげで、二人で談笑した後は風呂に入ろうという話になった。しかし、ユウは痛恨のミスを犯した。
「先輩が先に入ってください」
そう言うと、あからさまにシルバーが身を固くした。分かったと頷く声もどことなく暗いので、あのと声をかけようとした時にはシルバーはもういなかった。
ユウはこの気まずい空気の原因があからさまに自分のせいだということにはさすがに気が付いている。しかし、それが正しいということはシルバーの秘められた感情にも触れてしまう気がして、気が引けてしまうので頬の熱が上昇していくだけだ。
「ま、まさか」
ありえない、と思ったが、彼女が風呂から上がってもシルバーの機嫌は直らなかった。なんなら、不満そうに二人のベッドは分けようかなどと自ら申し出てきたくらいだ。そこまで徹底しなくても、と言うと、先に言い出したのはそっちだ、と怒られてしまった。
さて、もうこんな風に気まずい空気を吸いながら一緒にいたいわけではない。しかし、どうやって謝ればいいのか、それ以前にシルバーの劣情について自分が口にしてもいいのか、様々な問いが持ち上がってユウは自分の頭を抱えた。
「おやすみ」
そう言ったシルバーはユウの背中にそんな乾いた言葉をぶつけただけで、さっさと寝室に引きこもってしまった。ユウは彼に待ってと手を伸ばすが、生憎シルバーの足は速い。さっさといなくなってしまった彼と二人で寝るにも、ユウは泣き出したい気持ちでいっぱいだった。
一段、二段、と階段を上がる度に押しつぶされそうな胸はへこんでしまうのではないかと錯覚する。しかし、寝室のベッドにそびえたつ山に、ユウは寂しさで胸が張り裂ける前にポンポンとノックしてみた。
「先輩」
それでも山は何も返さない。もう一度ポンポンとノックしてみるが、効果はないようだ。それでもユウは負けじと言葉を紡いだ。
「あの、私は全然一緒にいるのが嫌とかじゃなくて……。は、恥ずかしかっただけなんです」
もぞりと動いた山は、それで? と続きを促す。ユウは喉元に熱した鉄でも押し付けられているような感覚に陥った。ぎゅっと山の上にあるカバーを握ると、その裾野に向かって皺が伸びる。
「もう……傍に行ってもいいですか?」
か細く発したユウの呟きが部屋のランタンの明りに弾ける。それと同時に彼女の細い腕を掴んだ大きな手は、布団の中の暗闇へと彼女を引きずり込んだ。