茨の道中
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茨の谷で初めて見る景色が森からどんどん都市へと変わっていくのを見て、ユウたちの長かった旅路も終わりを告げた。ユウは茨の棘のように天に突き出した形の城を見上げる。暗雲が立ち込めるこここそが茨の谷の中心なのだと思わず生唾を呑む。
それまで箒で飛んでいたシルバーとセベクは地上に降り、城門の前で立ち止まった。ユウも馬車を止めると、リリアがシルバーの隣に下りてくる。セベクが馬車の手綱を握るというので、大人しく渡してユウは馬たちに別れとねぎらいの言葉をかけた。
「親父殿、俺とセベクは先に城内へ向かいます」
「おう、後でわしも行こう。ユウ、お主はまだ城には連れていけん。わしとシルバーが知る離れに案内しよう。付いてこい」
離れ? とユウは首を傾げるが、リリアは振り返ることもなく先へ進んでいる。ユウはそっと城門前で門番である巨人たちに用向きを伝えているシルバーの背中を見た。もう彼はこちらを見ていないのだと分かると、胸に穴が空いた気分になった。
「ユウ!」
背後から大声を出され、ユウはリリアについて行かなければならないことを思い出した。急いで黒とマゼンタの髪の傍に近寄る。
「は、はい!」
リリアは呆れた顔でマジカルペンを一振りすると、彼女の前にあるものが出てきた。ユウが持ってきたキャリーケースだ。着地したそれは意思でもあるかのように、ユウの周りをくるくると回っている。
リリアのマゼンタの瞳が、緩く弧を描き、きらりと光った。
「ユウ。恋しいのは分かるが、何も今生の別れではあるまいて」
「……そうですね」
恥ずかしさで爆発してしまいたいとユウが物騒なことを思っていると、リリアは彼女の背後から熱い視線を送る存在に気が付いた。目が合ったオーロラシルバーが動揺で揺れる。リリアはばちん、とウインクをして、さっさと行けと手振りで示した。セベクに「遅いぞ!」と怒鳴られた彼は、そのまま名残惜しそうにユウに背を向けて城内へと消えて行った。
リリアは行くぞ、とユウに声をかけ再び歩き出す。キャリーケースがリリアの後についてきて、ユウもその後に送れてついてくる。リリアは目の前をただじっと見て、ぼそりと呟いた。
「これは早いうちに祝言を挙げそうじゃ」
それまで箒で飛んでいたシルバーとセベクは地上に降り、城門の前で立ち止まった。ユウも馬車を止めると、リリアがシルバーの隣に下りてくる。セベクが馬車の手綱を握るというので、大人しく渡してユウは馬たちに別れとねぎらいの言葉をかけた。
「親父殿、俺とセベクは先に城内へ向かいます」
「おう、後でわしも行こう。ユウ、お主はまだ城には連れていけん。わしとシルバーが知る離れに案内しよう。付いてこい」
離れ? とユウは首を傾げるが、リリアは振り返ることもなく先へ進んでいる。ユウはそっと城門前で門番である巨人たちに用向きを伝えているシルバーの背中を見た。もう彼はこちらを見ていないのだと分かると、胸に穴が空いた気分になった。
「ユウ!」
背後から大声を出され、ユウはリリアについて行かなければならないことを思い出した。急いで黒とマゼンタの髪の傍に近寄る。
「は、はい!」
リリアは呆れた顔でマジカルペンを一振りすると、彼女の前にあるものが出てきた。ユウが持ってきたキャリーケースだ。着地したそれは意思でもあるかのように、ユウの周りをくるくると回っている。
リリアのマゼンタの瞳が、緩く弧を描き、きらりと光った。
「ユウ。恋しいのは分かるが、何も今生の別れではあるまいて」
「……そうですね」
恥ずかしさで爆発してしまいたいとユウが物騒なことを思っていると、リリアは彼女の背後から熱い視線を送る存在に気が付いた。目が合ったオーロラシルバーが動揺で揺れる。リリアはばちん、とウインクをして、さっさと行けと手振りで示した。セベクに「遅いぞ!」と怒鳴られた彼は、そのまま名残惜しそうにユウに背を向けて城内へと消えて行った。
リリアは行くぞ、とユウに声をかけ再び歩き出す。キャリーケースがリリアの後についてきて、ユウもその後に送れてついてくる。リリアは目の前をただじっと見て、ぼそりと呟いた。
「これは早いうちに祝言を挙げそうじゃ」