不器用な貴方の守り方
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今日からいよいよホリデーが始まる。去年とは違って、私はオンボロ寮ではなく茨の谷でホリデーを迎える。もう春になるのに、コートを着込んでいるせいで暑く感じた。この服装で来いとシルバー先輩に言われたけど、これでいいのかな。玄関に立っているキャリーケースを持つと、グリムが私の様子を見に出てきた。
「ユウ、留守は任せるんだゾ」
「あはは、グリムと離れるなんてなんだか新鮮だな」
ぽてぽてと歩いてきたグリムは私の足にしがみついた。そっと脇に手を差し込んで持ち上げても嫌がらないから顔を見れば、ちょっと寂しそうだ。
「銀髪野郎とは仲良くするんだゾ。お土産も持って帰るんだゾ」
「分かった。それに、グリムもゴーストたちと仲良くするんだよ」
当たり前なんだゾ! とふなふな言っているグリムを下ろすと、ピンポーンとインターホンが鳴った。ゴーストたちもわざわざ玄関に集まってくれて、行ってらっしゃいと手を振ってくれた。
「行ってきます!」
そのまま扉を開けて出れば、すぐそこに見慣れない格好のシルバー先輩が立っていた。あれだ。転生物のラノベの挿絵で見る村人とか騎士見習いがつけるコートだ。そんな薄い装備で大丈夫かな。私はこんなにもこもこなのに。
「おはよう」
「お、お、おはようございます……」
でもそんな軽装でも美しいシルバー先輩にわたしは朝日に目を細めたふりをして、先輩の神々しさに耐えていた。
「これをもらってくれないか?」
そう言われて差し出されたのは、掌に乗るくらいのずっしりとした重みのある布袋だ。その袋の中を見てもいいかと尋ねると、頷かれた。早速見てみれば、その中には掌にころりと転がる魔法石があった。
「綺麗……」
それしか言えない私に、先輩は以前リリア先輩と旅行したときに見つけてきたものだと教えてくれた。色もグリムとおそろいの魔法石だ。魔除け程度のまじないをかけるためにシルバー先輩が加工してくれたおかげか、角度を変えれば時々緑の光も混じる。
「先輩! ありがとうございます!」
これはまた素敵なものをもらった。袋には首に下げられるようにひもが長くしてあって、さっそくそのまま首にかけてみる。
「重くはないか?」
「大丈夫です。茨の谷に着いたら、アクセサリーにしてみますね」
それはいいと笑った先輩が私のキャリーケースにマジカルペンを一振りすると、キャリーが勝手に動き出す。どうやら鏡舎に向かっているらしく、呆然とする私にガタガタと体を揺らして早くと急かしているようだ。
「行こう」
シルバー先輩が手を差し出してくれる。これから皆が集まる場所に行くから、その時には離されてしまうだろう。だから、私は迷わずその手を取る。掴んでいられる時間が少しでも長くあるように、先輩と少しでも傍にいられるように。
「ユウ、留守は任せるんだゾ」
「あはは、グリムと離れるなんてなんだか新鮮だな」
ぽてぽてと歩いてきたグリムは私の足にしがみついた。そっと脇に手を差し込んで持ち上げても嫌がらないから顔を見れば、ちょっと寂しそうだ。
「銀髪野郎とは仲良くするんだゾ。お土産も持って帰るんだゾ」
「分かった。それに、グリムもゴーストたちと仲良くするんだよ」
当たり前なんだゾ! とふなふな言っているグリムを下ろすと、ピンポーンとインターホンが鳴った。ゴーストたちもわざわざ玄関に集まってくれて、行ってらっしゃいと手を振ってくれた。
「行ってきます!」
そのまま扉を開けて出れば、すぐそこに見慣れない格好のシルバー先輩が立っていた。あれだ。転生物のラノベの挿絵で見る村人とか騎士見習いがつけるコートだ。そんな薄い装備で大丈夫かな。私はこんなにもこもこなのに。
「おはよう」
「お、お、おはようございます……」
でもそんな軽装でも美しいシルバー先輩にわたしは朝日に目を細めたふりをして、先輩の神々しさに耐えていた。
「これをもらってくれないか?」
そう言われて差し出されたのは、掌に乗るくらいのずっしりとした重みのある布袋だ。その袋の中を見てもいいかと尋ねると、頷かれた。早速見てみれば、その中には掌にころりと転がる魔法石があった。
「綺麗……」
それしか言えない私に、先輩は以前リリア先輩と旅行したときに見つけてきたものだと教えてくれた。色もグリムとおそろいの魔法石だ。魔除け程度のまじないをかけるためにシルバー先輩が加工してくれたおかげか、角度を変えれば時々緑の光も混じる。
「先輩! ありがとうございます!」
これはまた素敵なものをもらった。袋には首に下げられるようにひもが長くしてあって、さっそくそのまま首にかけてみる。
「重くはないか?」
「大丈夫です。茨の谷に着いたら、アクセサリーにしてみますね」
それはいいと笑った先輩が私のキャリーケースにマジカルペンを一振りすると、キャリーが勝手に動き出す。どうやら鏡舎に向かっているらしく、呆然とする私にガタガタと体を揺らして早くと急かしているようだ。
「行こう」
シルバー先輩が手を差し出してくれる。これから皆が集まる場所に行くから、その時には離されてしまうだろう。だから、私は迷わずその手を取る。掴んでいられる時間が少しでも長くあるように、先輩と少しでも傍にいられるように。