夢破れて正夢となる
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「ユウ! 起きるんだゾ!」
グリムの声に起こされて起き上がってみれば、時計は思った以上に回転していた。鍛錬も初めてサボって寝坊してしまった。それでも、学校に行かなくちゃいけない。起き上がって自室の鏡を覗き込んでみれば、瞼が腫れ失恋で不細工になった人間がいた。
「酷い顔」
こんな顔でシルバー先輩に会いたくない。みっともなくて、どこにも行きたくないや。こうなるなら、ツノ太郎に顔の腫れだけでも引かせてもらえばよかった。
でももう時間だ。仕方ないから今日は伊達眼鏡とマスクをしていこう。絶対シルバー先輩に見られないように細心の注意を払っていくんだ。
部屋を見渡すと、このベッドに先輩が腰かけて看病してくれた時のことを思い出した。優しい手で撫でてくれた。怖がる私を抱き上げてくれた。もう寝ろと厳しくも温かい声で言ってくれた。自分も眠いのに、眠気と格闘してまで看病してくれた。胸がつきんと痛む。
着替えて談話室に出てみれば、もっといろんなことを思い出した。初めて女と知られて初心な反応をされたり、家族を喪った悲しみにずっと寄り添ってくれたり、一緒にお茶をしながらホリデーについて行く話もしたなぁ。あの実験で一緒になるまで、先輩との思い出がまさかスマホやこのオンボロ寮に至るまで刻まれるなんて、思ってもいなかったのに。
ぼろぼろと頬を、目におさまりきらなくなった雫が流れ出した。この涙について、昨日学んだことがある。これは止めようと思って止められるものじゃない。だからこれは仕方ない。
玄関で「もういい。泣いてもいいんだ」って優しく抱きしめてくれた先輩は、他の誰かの恋人なんだ。大人しく諦めて、先輩が幸せになることを祈ることしかできない。今の私じゃそれしかできないんだ。シルバー先輩の幸せは私じゃない誰かが与える。それが苦しいと思うことをどうか許して下さい。そして、どうかただ幸せになってください。
私に恋愛を教えてくれた先輩のおかげで沢山の幸せな気持ちを頂けたから、今度は先輩が幸せになる番だ。シルバー先輩が幸せになるためなら、私はなんでも我慢できる。だから、今は泣いて歯を食いしばることも自分に許したい。
足元にいたグリムが「今日は学校休むか?」と聞いてきた。頬の涙を拭うこともなく、私はただ首を横に振った。
グリムの声に起こされて起き上がってみれば、時計は思った以上に回転していた。鍛錬も初めてサボって寝坊してしまった。それでも、学校に行かなくちゃいけない。起き上がって自室の鏡を覗き込んでみれば、瞼が腫れ失恋で不細工になった人間がいた。
「酷い顔」
こんな顔でシルバー先輩に会いたくない。みっともなくて、どこにも行きたくないや。こうなるなら、ツノ太郎に顔の腫れだけでも引かせてもらえばよかった。
でももう時間だ。仕方ないから今日は伊達眼鏡とマスクをしていこう。絶対シルバー先輩に見られないように細心の注意を払っていくんだ。
部屋を見渡すと、このベッドに先輩が腰かけて看病してくれた時のことを思い出した。優しい手で撫でてくれた。怖がる私を抱き上げてくれた。もう寝ろと厳しくも温かい声で言ってくれた。自分も眠いのに、眠気と格闘してまで看病してくれた。胸がつきんと痛む。
着替えて談話室に出てみれば、もっといろんなことを思い出した。初めて女と知られて初心な反応をされたり、家族を喪った悲しみにずっと寄り添ってくれたり、一緒にお茶をしながらホリデーについて行く話もしたなぁ。あの実験で一緒になるまで、先輩との思い出がまさかスマホやこのオンボロ寮に至るまで刻まれるなんて、思ってもいなかったのに。
ぼろぼろと頬を、目におさまりきらなくなった雫が流れ出した。この涙について、昨日学んだことがある。これは止めようと思って止められるものじゃない。だからこれは仕方ない。
玄関で「もういい。泣いてもいいんだ」って優しく抱きしめてくれた先輩は、他の誰かの恋人なんだ。大人しく諦めて、先輩が幸せになることを祈ることしかできない。今の私じゃそれしかできないんだ。シルバー先輩の幸せは私じゃない誰かが与える。それが苦しいと思うことをどうか許して下さい。そして、どうかただ幸せになってください。
私に恋愛を教えてくれた先輩のおかげで沢山の幸せな気持ちを頂けたから、今度は先輩が幸せになる番だ。シルバー先輩が幸せになるためなら、私はなんでも我慢できる。だから、今は泣いて歯を食いしばることも自分に許したい。
足元にいたグリムが「今日は学校休むか?」と聞いてきた。頬の涙を拭うこともなく、私はただ首を横に振った。