銀
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翌朝、ユウは起きるとベッドのすぐそばで床に腰掛けてベッドを背もたれに寝ているシルバーを見つけた。びっくりして声を上げそうになると、しっと口元を押さえる手があった。
「わしじゃ、わし」
「り……リリア先輩」
振り返って落ち着いたユウは、リリアに口元に人差し指を当てられた。リリアはなにやら楽しそうな様子が隠しきれておらず、ユウに耳打ちした。
「シルバーはの、一晩中お主を看ておった。睡魔と格闘しながらの」
「そんな……」
ユウは口元に手を当て、傍で眠るこの麗しい人がこれほど自分のために身を粉にしてくれたことに深い感謝を覚えた。リリアは低い声で、どうじゃ? と尋ねる。
「ユウ、お主が思いを寄せる相手が誰かは知らぬ。が、シルバーはかなり優良物件じゃぞ」
「え?」
ユウがそれはどういうことだと聞こうとして、リリアはもうそこにはいなかった。思いを寄せている相手は間違いなく目の前で寝ているこの人だ。最有力と言っても差し支えないのだが、どうやらリリアはそのことを知らないようだ。次に会ったらそのことを教えようと決めたユウは、シルバーを起こすことにした。
「先輩、朝です……」
寝ている彼の造形はあまりにも美しい。ユウは触れることをためらった。しかし、この逞しい腕に昨日は抱きあげられたのだと思うと、ろくに感触すら覚えていない自分が腹立たしくなった。
寝ている今なら、触れてもいいのだろうか。などと熱も冷めきっていない脳内で、思いついた思考のまま、ユウはシルバーの頬に触れた。さらりと手にあたる髪が心地いい。
「先輩。起きてください」
そう呟くと、オーロラシルバーの瞳は開かれ、ユウは音速でシルバーから遠のいて対面している壁にぶつかった。その物音にシルバーは目を開け、目の前で頭を押さえ転んでいるユウを発見し、すぐさま立ちあがった。
「ユウ! 大丈夫か?」
「あ……あの、本当に失礼しました」
不用意に触れようとして、シルバーを起こしたこのトラウマはおそらくしばらく消えないだろう。そんなことも知らないシルバーは、ユウが看病されたことをまだ謝っているのかと、ため息を吐いた。
「俺がしたくてしたことだ。それより、怪我はないか?」
「だ、大丈夫です! ほら、先輩の看病のおかげで体も軽いですよ!」
次々にポーズを披露するユウの忙しなさに、彼女が完全復活したことを見届けたシルバーは安堵した。ユウは嬉しそうに笑い、シルバーに正座をしてお辞儀した。
「ありがとうございます。シルバー先輩。銀のお世話までしていただけて、本当に助かりました」
「構わない。それに、俺と同じ名前だからな」
「……え?」
驚いたユウはシルバーを凝視した。何故知っているのだろうか、このことはそう多くの人が知らないはずと、ユウはシルバーに誰から聞いたのか尋ねる。シルバーは腕を組んで言った。
「セベクが教えてくれた」
ユウは頭の中でセベクに叫んだ。『セベク! 何でもかんでも話すなって言ったでしょー!』と。
こののち、セベクがリリアの料理を口にしてしまったことを聞いたユウは、怒るよりも先に災難だったねと労うことになった。
「わしじゃ、わし」
「り……リリア先輩」
振り返って落ち着いたユウは、リリアに口元に人差し指を当てられた。リリアはなにやら楽しそうな様子が隠しきれておらず、ユウに耳打ちした。
「シルバーはの、一晩中お主を看ておった。睡魔と格闘しながらの」
「そんな……」
ユウは口元に手を当て、傍で眠るこの麗しい人がこれほど自分のために身を粉にしてくれたことに深い感謝を覚えた。リリアは低い声で、どうじゃ? と尋ねる。
「ユウ、お主が思いを寄せる相手が誰かは知らぬ。が、シルバーはかなり優良物件じゃぞ」
「え?」
ユウがそれはどういうことだと聞こうとして、リリアはもうそこにはいなかった。思いを寄せている相手は間違いなく目の前で寝ているこの人だ。最有力と言っても差し支えないのだが、どうやらリリアはそのことを知らないようだ。次に会ったらそのことを教えようと決めたユウは、シルバーを起こすことにした。
「先輩、朝です……」
寝ている彼の造形はあまりにも美しい。ユウは触れることをためらった。しかし、この逞しい腕に昨日は抱きあげられたのだと思うと、ろくに感触すら覚えていない自分が腹立たしくなった。
寝ている今なら、触れてもいいのだろうか。などと熱も冷めきっていない脳内で、思いついた思考のまま、ユウはシルバーの頬に触れた。さらりと手にあたる髪が心地いい。
「先輩。起きてください」
そう呟くと、オーロラシルバーの瞳は開かれ、ユウは音速でシルバーから遠のいて対面している壁にぶつかった。その物音にシルバーは目を開け、目の前で頭を押さえ転んでいるユウを発見し、すぐさま立ちあがった。
「ユウ! 大丈夫か?」
「あ……あの、本当に失礼しました」
不用意に触れようとして、シルバーを起こしたこのトラウマはおそらくしばらく消えないだろう。そんなことも知らないシルバーは、ユウが看病されたことをまだ謝っているのかと、ため息を吐いた。
「俺がしたくてしたことだ。それより、怪我はないか?」
「だ、大丈夫です! ほら、先輩の看病のおかげで体も軽いですよ!」
次々にポーズを披露するユウの忙しなさに、彼女が完全復活したことを見届けたシルバーは安堵した。ユウは嬉しそうに笑い、シルバーに正座をしてお辞儀した。
「ありがとうございます。シルバー先輩。銀のお世話までしていただけて、本当に助かりました」
「構わない。それに、俺と同じ名前だからな」
「……え?」
驚いたユウはシルバーを凝視した。何故知っているのだろうか、このことはそう多くの人が知らないはずと、ユウはシルバーに誰から聞いたのか尋ねる。シルバーは腕を組んで言った。
「セベクが教えてくれた」
ユウは頭の中でセベクに叫んだ。『セベク! 何でもかんでも話すなって言ったでしょー!』と。
こののち、セベクがリリアの料理を口にしてしまったことを聞いたユウは、怒るよりも先に災難だったねと労うことになった。