銀
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その後も、話はどこから広まったのか、スカラビア寮からカリムとジャミルが熱砂の国では有名な健康のお守りを持って来たり、リドルがトレイと一緒にハーツラビュル寮を代表して見舞いの花とクッキーの詰め合わせをくれた。クッキーにしたのは保存期間が長いからだそうで、トレイに「ゼリー作ったんだろ?」と聞かれた時は心でも読まれたのかとシルバーは焦った。
サバナクロー寮からはジャックが、ポムフィオーレ寮からはエペルが二人一緒に来て、風邪の時によく必要になるからとスポーツドリンクを持って来てくれた。早く良くなるようにと言われ、シルバーはしっかり伝えておこうと二人に労いの言葉をかけた。
オクタヴィネル寮からは仲良くアズールとジェイド、フロイドの三人がやってきた。なにやら風邪に効く薬を持ってきたそうだが、病人を実験台にするような真似ができないゆえに気持ちだけでいいと答える。アズールは心底憮然とした表情をした後に、ため息をついてタッパーに詰めたジェイドとフロイドの賄をくれた。モストロ・ラウンジにアルバイトをする際はぜひご贔屓にと言われ、そのまま立ち去ってしまったので、本当のところは心配だったのだろうとシルバーはタッパーを冷蔵庫に入れた。
イグニハイド寮からはわざわざイデアがオルトに頼んでボードゲームを送ってくれた。「暇ならこれで遊んでって兄さんが言ってた」ということらしいが、それほど体力はなさそうだから元気になったら遊ぶよう伝えると言った。オルトはシルバーを見上げ、人懐こい笑顔で「シルバーさん、ユウさんの看病お願いします」とお願いした。大してお願いされるようなことでもないのだが、シルバーはしっかりと頷いた。
「シルバー!」
眠っているユウの額の汗を濡れたタオルで拭いているときに、玄関の方で騒がしく自分の名前を呼ぶセベクの声にシルバーはため息を吐いた。ユウの部屋に遮音の魔法をかけ、シルバーは部屋を後にすると談話室で慌てふためいているセベクを叱った。
「ユウが寝ているんだ。静かにしろ」
「それどころではない! リリア様が! リリア様が!」
まさかリリアにも異変があったのかとシルバーが表情を曇らせると、元気な声が玄関で響いた。
「シルバー! わしも精のつく飯を作ってきたぞ!」
その瞬間シルバーはユウの部屋に魔法で鍵をかけ、一気にリリアの元へ駆けつけた。談話室にいるリリアの手の中にある鍋の中は何やら紫色の液体がぼこぼこと音を立てて沸騰している。はみ出した岩トカゲのしっぽは黒々とし、おそらくマンドラゴラであろう物体は見るも無残にぶった切られていた。シルバーは思わず顔をひきつらせた。
「親父殿、ユウは今寝ているので、今はそうした料理を口にできません」
「安心せい、シルバー。今回はわしも味というものを考えて作ってきた。セベクも食べればわかるはずじゃ」
セベクがそれは本当ですか! と近づいて、リリアの鍋を覗き込む。シルバーは疑いが払拭できず、やめておけと制止すると、リリアが涙を拭うふりをした。
「わしだってのお、ユウのために心を込めて作ったんじゃ。味見位してくれても良かろう」
「リリア様がこうおっしゃっているんだ! 僕が味見する!」
シルバーはそう言ったセベクの味見をする手を止められなかった。マンドラゴラを掴み、口に放り込んだセベクは、一度咀嚼しただけでそのまま談話室に倒れてしまった。リリアは倒れ込んだセベクの気絶した顔を見て、にっこりと笑う。
「あまりにも美味しかったんじゃな。セベクは素直じゃの」
シルバーはリリアの手の中の鍋を取り上げた。これ以上好きにさせると何が起こる分からない。
「……親父殿、俺がユウに責任をもって食べさせますから、お帰りください」
残念そうにするリリアは唇を尖らせる。お忙しいでしょうと念押しをすれば、リリアは意地悪に笑った。
「まあ、好きな女子の面倒を見られる機会じゃ。お邪魔虫はさっさと退散せんとな」
そう言ってリリアはどこかへ消えてしまった。お邪魔虫とまで思ってはいないが、ユウと二人きりになりたかったなどと下心を言われては余計傍に居づらいとシルバーは心の中で非難した。自分にまで熱が移ったように熱くなる頬を手袋で冷やし、鍋の中身を丁重に処分することにした。
サバナクロー寮からはジャックが、ポムフィオーレ寮からはエペルが二人一緒に来て、風邪の時によく必要になるからとスポーツドリンクを持って来てくれた。早く良くなるようにと言われ、シルバーはしっかり伝えておこうと二人に労いの言葉をかけた。
オクタヴィネル寮からは仲良くアズールとジェイド、フロイドの三人がやってきた。なにやら風邪に効く薬を持ってきたそうだが、病人を実験台にするような真似ができないゆえに気持ちだけでいいと答える。アズールは心底憮然とした表情をした後に、ため息をついてタッパーに詰めたジェイドとフロイドの賄をくれた。モストロ・ラウンジにアルバイトをする際はぜひご贔屓にと言われ、そのまま立ち去ってしまったので、本当のところは心配だったのだろうとシルバーはタッパーを冷蔵庫に入れた。
イグニハイド寮からはわざわざイデアがオルトに頼んでボードゲームを送ってくれた。「暇ならこれで遊んでって兄さんが言ってた」ということらしいが、それほど体力はなさそうだから元気になったら遊ぶよう伝えると言った。オルトはシルバーを見上げ、人懐こい笑顔で「シルバーさん、ユウさんの看病お願いします」とお願いした。大してお願いされるようなことでもないのだが、シルバーはしっかりと頷いた。
「シルバー!」
眠っているユウの額の汗を濡れたタオルで拭いているときに、玄関の方で騒がしく自分の名前を呼ぶセベクの声にシルバーはため息を吐いた。ユウの部屋に遮音の魔法をかけ、シルバーは部屋を後にすると談話室で慌てふためいているセベクを叱った。
「ユウが寝ているんだ。静かにしろ」
「それどころではない! リリア様が! リリア様が!」
まさかリリアにも異変があったのかとシルバーが表情を曇らせると、元気な声が玄関で響いた。
「シルバー! わしも精のつく飯を作ってきたぞ!」
その瞬間シルバーはユウの部屋に魔法で鍵をかけ、一気にリリアの元へ駆けつけた。談話室にいるリリアの手の中にある鍋の中は何やら紫色の液体がぼこぼこと音を立てて沸騰している。はみ出した岩トカゲのしっぽは黒々とし、おそらくマンドラゴラであろう物体は見るも無残にぶった切られていた。シルバーは思わず顔をひきつらせた。
「親父殿、ユウは今寝ているので、今はそうした料理を口にできません」
「安心せい、シルバー。今回はわしも味というものを考えて作ってきた。セベクも食べればわかるはずじゃ」
セベクがそれは本当ですか! と近づいて、リリアの鍋を覗き込む。シルバーは疑いが払拭できず、やめておけと制止すると、リリアが涙を拭うふりをした。
「わしだってのお、ユウのために心を込めて作ったんじゃ。味見位してくれても良かろう」
「リリア様がこうおっしゃっているんだ! 僕が味見する!」
シルバーはそう言ったセベクの味見をする手を止められなかった。マンドラゴラを掴み、口に放り込んだセベクは、一度咀嚼しただけでそのまま談話室に倒れてしまった。リリアは倒れ込んだセベクの気絶した顔を見て、にっこりと笑う。
「あまりにも美味しかったんじゃな。セベクは素直じゃの」
シルバーはリリアの手の中の鍋を取り上げた。これ以上好きにさせると何が起こる分からない。
「……親父殿、俺がユウに責任をもって食べさせますから、お帰りください」
残念そうにするリリアは唇を尖らせる。お忙しいでしょうと念押しをすれば、リリアは意地悪に笑った。
「まあ、好きな女子の面倒を見られる機会じゃ。お邪魔虫はさっさと退散せんとな」
そう言ってリリアはどこかへ消えてしまった。お邪魔虫とまで思ってはいないが、ユウと二人きりになりたかったなどと下心を言われては余計傍に居づらいとシルバーは心の中で非難した。自分にまで熱が移ったように熱くなる頬を手袋で冷やし、鍋の中身を丁重に処分することにした。