貴方に近づきたくて
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りーんごーんと重い鐘の音が何度も鳴るのは授業が終わる合図だ。羽織っていた実践魔法用のローブを脱ぎ、グリムと一緒に魔法史の教科書とノートを提げて次の教室へ向かう。なんて言ったって、次は大好きなトレイン先生の授業だ。トレイン先生の話も面白いけど、ルチウスがまた可愛いんだよなぁ。鳴き声がうるさいって色んな先輩が言うけど、私はあれも可愛いと思う。
次の教室の前まで来たと同時に、目の前の扉から人が一気に出てくる。どうやらまだこの教室では授業が長引いていたらしい。波に押された私は、グリムと踏ん張っていたけれど三歩後ろに下がってしまった。その時、背中を壁にぶつける。こんなところに壁なんてあったかな。
あるはずの無い壁にとっさに振り返れば、そこには緑のリボンにあのドラゴンの寮章があった。そっと見上げれば、私の首がもげるかと思うくらい大きな人がそこにいた。オールバックの髪はよほど元気なのか、まとめ切れてないと見えた。その人はすごく冷たい目で吐き捨てた。
「邪魔だ! 人間!」
うるさっ!! 声がでかすぎて吹っ飛ぶかと思った。ごめんなさいととっさに謝ったけれど、私なんてお構いなしにそのまま彼は教室に入っていく。頭の奥でカチンと血液が沸騰する音がした。
はぁあああ? なにあいつ超感じ悪!! 人が謝ったって気にもしないなんて最低じゃないか! 大体何あの髪の毛! 白菜にそっくりじゃない! 鍋で煮込んで美味しく料理してやろうか!
足元のグリムにそろそろ席につかねえのかと急かされて、我に返った。いけない。あんなやつに精神を乱されてはいけない。とりあえずいつもの席に座ろう。私のお気に入りの席はルチウスが良く見える下の段の教壇側だ。教室を見回せば、私の特等席はまだ空いている。急いで席取らないと!
ん? あれ? 隣に誰かいる……? とよくよく目を凝らして、席に近づけばさっきの白菜野郎が私の特等席の隣に座っていた。くそう、あんな感じの悪い白菜の隣とか最悪オブザイヤーにランクインする。
あまり刺激しないようにそうっと座る。不気味なくらい静かなそいつは授業予習をしているのか、教科書を見ていた。でも隣なのは気に食わないから、教科書を間に挟んで距離を取った。どうせ声もでかいに違いない。
チャイムが鳴ると同時にトレイン先生が教室に入ってくる。私は開いていたノートに万年筆で書き込む準備はできている。教科書も昨日進めたところまで机の上に開いてある。
トレイン先生は腕の中のルチウスを教壇に置くと、教科書を開き私たちを見回した。
「授業を始める」
トレイン先生の渋い声で始まるこの瞬間が一番興奮する。キタキター! 私の中のやる気ボルテージはマックスだ。前回進めた分をサラッとおさらいしてくれたあと、トレイン先生は予習分を生徒に当てて聞くのがお決まりだ。先生は私の方を見て、では、と呟いた。やばい。私にもしかして当たる?
「ジグボルト。この時代を俗になんという」
ジグボルト? 誰のことを言っているんだ? と頭に疑問符が浮かんで落ち着かない。当てられなかったおかげで、心についていた岩みたいなものはどさりと落ちたけれど。
「茨の改革」
隣から聞こえた声に振り向けば、なんとあの白菜野郎が答えていた。思わない展開に、この時だけ予習分の内容が丸ごと頭から消えてしまっていた。
トレイン先生はよろしいと言うと、まだ残っているぞと言わんばかりの圧力を目で訴えかける。う、この視線はちょっと苦手なんだよね。
「では、この改革を成した人物は」
「ウラジミール・ヴァンホーム」
「よろしい」
なにこいつ、意外と勉強できるじゃん。声は相変わらずでかいけど。
グリムが隣で眠りこけている間もトレイン先生の授業になんとか食らいつきながら、ノートは板書と説明で埋まっていく。授業が終わった鐘の音で、思わずため息をついてしまった。
「今日はここまで」
トレイン先生は復習をしっかりするようにと言い含めると、ルチウスを抱いて教室を後にした。先生が出て行ったと同時に教室の空気はふっと軽くなる。友人たちと話し出す生徒も出てきて、一気に教室は声で溢れた。
私の列も例外でなく、白菜野郎の隣にいる男の子がにこにこしながら彼に言った。
「セベク、今日調子いいじゃん」
「馴れ馴れしくするな。それに、僕の調子がいいのは当たり前だ」
セベク……ほう、そんな名前をしているのか。忘れんぞ。セベク・白菜・ジグボルト。
とここで、脳みそに漫画でよくあるような電撃が走る感覚がした。一目惚れのそれではなく無意識のうちに思い出そうとする感覚だ。
せべく? どこかで聞いたことがあるような気がするのはなんでだろう。教科書をバックに仕舞う手が止まり、私の脳内はその名前をどこで聞いたか、それだけのために動き出した。
せべく……。誰が言っていたんだっけ。グルグルと頭が回って、色んな人の顔を思い出しては言葉が流れていく。あれでもない、エースじゃなくて、グリムじゃなくて、デュースも違う。
『……セベクと同学年だな』
銀の人はそう言っていた。急に脳みそが解放された感覚と驚きがあいまって私は思わず立ち上がり、白菜野郎もといセベクを見下ろした。
「セベク!!!?!!」
こいつのこと言っていたの!? 銀の人!
セベクはいかにも不満げな様子で私を睨みつけた。
「なんだ貴様、人の名前を気安く呼ぶな!」
すごい気迫でこっちを睨んでくるけど、生憎それに対して怯むどころか残念な気持ちで私の胸は満たされた。銀の人……いえ、シルバー先輩の後輩なら絶対麗しいと思ったのに! 悔しい気持ちで思わず下唇を噛む。
「なんだと僕が聞いているんだ! 答えろ!」
あまりの声量に耳を塞いでしまう。グリムもびっくりして私の足元でこっそりを様子を窺っているようだ。
「ちょ、声のトーン落としてくれない? うるさい」
「僕の声量は関係ない!」
何このガサツで配慮の欠けらも無いやつ! はぁー! こいつ腹立つ! シルバー先輩の後輩だかなんだか知らないけど、こんな生意気なやつ私が根性叩き直してやる!
「人の話もまともに聞けないの? ディアソムニア寮ってそんな人の集まりなんだ? でも、私は知ってるよ。人の話を聞かないようなディアソムニア寮の人なんて君くらいだし、ディアソムニア寮の名前を貶めるのも君みたいな人だって! 麗しくて、冷静で、魔法だって簡単に扱えて、頭も良くて、誰かを思いやれる、誰もが尊敬できる御方がいるのが、ディアソムニア寮なんだって自覚持ってよ!」
シルバー先輩こそがディアソムニア寮に相応しい人物だ。魂の形で寮を選ぶ闇の鏡もこいつの寮分けだけはミスったんじゃないの?
あまりにむかむかしていたせいで、私はセベクの表情に影が落ちていることにようやく気付いた。
「お前……」
あ、やば。怒らせちゃった? ちょ、ここでこいつに暴力や魔法なんて振り回されたら、勝ち目はない。大体ディアソムニア寮って魔法に優れた人が入るところなんでしょ!? 絶対勝てない! どうする!? とりあえず機嫌でも伺う?
「あ、あの……」
セベクは私が制服にあたるか当たらないかのすれすれのところまで近づいてきて、顔を近づけてくる。思わず一歩後ずさると、彼は私の両手を掴んで言った。
「素晴らしい言葉だ! まさしくその通り!」
予想しなかった態度に目玉が目玉焼きになりそうなくらい丸くなった。目玉は元から丸いけど。予想だにしない手のひらドリル返しに目を丸くさせることしかできない。
セベクは目元にキラキラしたものを浮かべながら、頷いた。
「お前の言う通り、僕は高尚な精神を損なっていたかもしれない。若様に大して無礼を働くところだった」
若様? シルバー先輩のことかな?
セベクは私の両手を解放すると、今度は左手を差し出した。
「感謝する。僕はセベク・ジグボルトだ」
「ユウ……」
差し出された手に返すようにそっと手を出せば握られた。満足そうに笑ってるのが不気味だ。
何だこの態度の変わりよう。普通に怖いんだけど。
セベクは偉そうに腕を組むと屈んでいた背をまっすぐに戻し、私はまた首の痛い角度で見上げることになった。
「それで、ユウ。お前は僕のことを知っているようだが、何か用があったのか」
「え、あ。それはその」
どうしよう。シルバー先輩のこと知ってますかー? なんて聞くのも変な話かな? でも、ここは聞いてみたいような。
「この前の実験でペアになってくれたディアソムニアの先輩がいて、その人が私の学年を見て『セベクと同学年だな』って」
曖昧にぼかすのがベストだな。セベク伝いに知られても困るし。ていうか、セベクは口軽そう。声もでかいからすぐに噂も広まりそうだし。
セベクは特段驚いた様子もなく、ほお、と言った。
「そうだったのか」
こうして話すとセベクって割と普通に話せるタイプなのかも。なんだか初対面だけで嫌な奴認定して、申し訳ない気がしてきた。
「なんか、私もごめんなさい。いきなり名前呼ばれたらびっくりするよね」
「構わない。お前は僕と志を同じくする者だ。若様を称える者としてな」
志……? あ、若様ことシルバー先輩を信仰してる感じ? それなら大歓迎!
「同志として、これからもよろしくお願いします」
改めてお辞儀をして礼を示すと、セベクは満足そうに目を細めて笑ってる。まるで蜥蜴みたいだ。
「ふん。なかなか分かっているじゃないか」
「セベクこそ」
にやりと笑って返した私たちは、こうして同盟を結んだのだ。
次の教室の前まで来たと同時に、目の前の扉から人が一気に出てくる。どうやらまだこの教室では授業が長引いていたらしい。波に押された私は、グリムと踏ん張っていたけれど三歩後ろに下がってしまった。その時、背中を壁にぶつける。こんなところに壁なんてあったかな。
あるはずの無い壁にとっさに振り返れば、そこには緑のリボンにあのドラゴンの寮章があった。そっと見上げれば、私の首がもげるかと思うくらい大きな人がそこにいた。オールバックの髪はよほど元気なのか、まとめ切れてないと見えた。その人はすごく冷たい目で吐き捨てた。
「邪魔だ! 人間!」
うるさっ!! 声がでかすぎて吹っ飛ぶかと思った。ごめんなさいととっさに謝ったけれど、私なんてお構いなしにそのまま彼は教室に入っていく。頭の奥でカチンと血液が沸騰する音がした。
はぁあああ? なにあいつ超感じ悪!! 人が謝ったって気にもしないなんて最低じゃないか! 大体何あの髪の毛! 白菜にそっくりじゃない! 鍋で煮込んで美味しく料理してやろうか!
足元のグリムにそろそろ席につかねえのかと急かされて、我に返った。いけない。あんなやつに精神を乱されてはいけない。とりあえずいつもの席に座ろう。私のお気に入りの席はルチウスが良く見える下の段の教壇側だ。教室を見回せば、私の特等席はまだ空いている。急いで席取らないと!
ん? あれ? 隣に誰かいる……? とよくよく目を凝らして、席に近づけばさっきの白菜野郎が私の特等席の隣に座っていた。くそう、あんな感じの悪い白菜の隣とか最悪オブザイヤーにランクインする。
あまり刺激しないようにそうっと座る。不気味なくらい静かなそいつは授業予習をしているのか、教科書を見ていた。でも隣なのは気に食わないから、教科書を間に挟んで距離を取った。どうせ声もでかいに違いない。
チャイムが鳴ると同時にトレイン先生が教室に入ってくる。私は開いていたノートに万年筆で書き込む準備はできている。教科書も昨日進めたところまで机の上に開いてある。
トレイン先生は腕の中のルチウスを教壇に置くと、教科書を開き私たちを見回した。
「授業を始める」
トレイン先生の渋い声で始まるこの瞬間が一番興奮する。キタキター! 私の中のやる気ボルテージはマックスだ。前回進めた分をサラッとおさらいしてくれたあと、トレイン先生は予習分を生徒に当てて聞くのがお決まりだ。先生は私の方を見て、では、と呟いた。やばい。私にもしかして当たる?
「ジグボルト。この時代を俗になんという」
ジグボルト? 誰のことを言っているんだ? と頭に疑問符が浮かんで落ち着かない。当てられなかったおかげで、心についていた岩みたいなものはどさりと落ちたけれど。
「茨の改革」
隣から聞こえた声に振り向けば、なんとあの白菜野郎が答えていた。思わない展開に、この時だけ予習分の内容が丸ごと頭から消えてしまっていた。
トレイン先生はよろしいと言うと、まだ残っているぞと言わんばかりの圧力を目で訴えかける。う、この視線はちょっと苦手なんだよね。
「では、この改革を成した人物は」
「ウラジミール・ヴァンホーム」
「よろしい」
なにこいつ、意外と勉強できるじゃん。声は相変わらずでかいけど。
グリムが隣で眠りこけている間もトレイン先生の授業になんとか食らいつきながら、ノートは板書と説明で埋まっていく。授業が終わった鐘の音で、思わずため息をついてしまった。
「今日はここまで」
トレイン先生は復習をしっかりするようにと言い含めると、ルチウスを抱いて教室を後にした。先生が出て行ったと同時に教室の空気はふっと軽くなる。友人たちと話し出す生徒も出てきて、一気に教室は声で溢れた。
私の列も例外でなく、白菜野郎の隣にいる男の子がにこにこしながら彼に言った。
「セベク、今日調子いいじゃん」
「馴れ馴れしくするな。それに、僕の調子がいいのは当たり前だ」
セベク……ほう、そんな名前をしているのか。忘れんぞ。セベク・白菜・ジグボルト。
とここで、脳みそに漫画でよくあるような電撃が走る感覚がした。一目惚れのそれではなく無意識のうちに思い出そうとする感覚だ。
せべく? どこかで聞いたことがあるような気がするのはなんでだろう。教科書をバックに仕舞う手が止まり、私の脳内はその名前をどこで聞いたか、それだけのために動き出した。
せべく……。誰が言っていたんだっけ。グルグルと頭が回って、色んな人の顔を思い出しては言葉が流れていく。あれでもない、エースじゃなくて、グリムじゃなくて、デュースも違う。
『……セベクと同学年だな』
銀の人はそう言っていた。急に脳みそが解放された感覚と驚きがあいまって私は思わず立ち上がり、白菜野郎もといセベクを見下ろした。
「セベク!!!?!!」
こいつのこと言っていたの!? 銀の人!
セベクはいかにも不満げな様子で私を睨みつけた。
「なんだ貴様、人の名前を気安く呼ぶな!」
すごい気迫でこっちを睨んでくるけど、生憎それに対して怯むどころか残念な気持ちで私の胸は満たされた。銀の人……いえ、シルバー先輩の後輩なら絶対麗しいと思ったのに! 悔しい気持ちで思わず下唇を噛む。
「なんだと僕が聞いているんだ! 答えろ!」
あまりの声量に耳を塞いでしまう。グリムもびっくりして私の足元でこっそりを様子を窺っているようだ。
「ちょ、声のトーン落としてくれない? うるさい」
「僕の声量は関係ない!」
何このガサツで配慮の欠けらも無いやつ! はぁー! こいつ腹立つ! シルバー先輩の後輩だかなんだか知らないけど、こんな生意気なやつ私が根性叩き直してやる!
「人の話もまともに聞けないの? ディアソムニア寮ってそんな人の集まりなんだ? でも、私は知ってるよ。人の話を聞かないようなディアソムニア寮の人なんて君くらいだし、ディアソムニア寮の名前を貶めるのも君みたいな人だって! 麗しくて、冷静で、魔法だって簡単に扱えて、頭も良くて、誰かを思いやれる、誰もが尊敬できる御方がいるのが、ディアソムニア寮なんだって自覚持ってよ!」
シルバー先輩こそがディアソムニア寮に相応しい人物だ。魂の形で寮を選ぶ闇の鏡もこいつの寮分けだけはミスったんじゃないの?
あまりにむかむかしていたせいで、私はセベクの表情に影が落ちていることにようやく気付いた。
「お前……」
あ、やば。怒らせちゃった? ちょ、ここでこいつに暴力や魔法なんて振り回されたら、勝ち目はない。大体ディアソムニア寮って魔法に優れた人が入るところなんでしょ!? 絶対勝てない! どうする!? とりあえず機嫌でも伺う?
「あ、あの……」
セベクは私が制服にあたるか当たらないかのすれすれのところまで近づいてきて、顔を近づけてくる。思わず一歩後ずさると、彼は私の両手を掴んで言った。
「素晴らしい言葉だ! まさしくその通り!」
予想しなかった態度に目玉が目玉焼きになりそうなくらい丸くなった。目玉は元から丸いけど。予想だにしない手のひらドリル返しに目を丸くさせることしかできない。
セベクは目元にキラキラしたものを浮かべながら、頷いた。
「お前の言う通り、僕は高尚な精神を損なっていたかもしれない。若様に大して無礼を働くところだった」
若様? シルバー先輩のことかな?
セベクは私の両手を解放すると、今度は左手を差し出した。
「感謝する。僕はセベク・ジグボルトだ」
「ユウ……」
差し出された手に返すようにそっと手を出せば握られた。満足そうに笑ってるのが不気味だ。
何だこの態度の変わりよう。普通に怖いんだけど。
セベクは偉そうに腕を組むと屈んでいた背をまっすぐに戻し、私はまた首の痛い角度で見上げることになった。
「それで、ユウ。お前は僕のことを知っているようだが、何か用があったのか」
「え、あ。それはその」
どうしよう。シルバー先輩のこと知ってますかー? なんて聞くのも変な話かな? でも、ここは聞いてみたいような。
「この前の実験でペアになってくれたディアソムニアの先輩がいて、その人が私の学年を見て『セベクと同学年だな』って」
曖昧にぼかすのがベストだな。セベク伝いに知られても困るし。ていうか、セベクは口軽そう。声もでかいからすぐに噂も広まりそうだし。
セベクは特段驚いた様子もなく、ほお、と言った。
「そうだったのか」
こうして話すとセベクって割と普通に話せるタイプなのかも。なんだか初対面だけで嫌な奴認定して、申し訳ない気がしてきた。
「なんか、私もごめんなさい。いきなり名前呼ばれたらびっくりするよね」
「構わない。お前は僕と志を同じくする者だ。若様を称える者としてな」
志……? あ、若様ことシルバー先輩を信仰してる感じ? それなら大歓迎!
「同志として、これからもよろしくお願いします」
改めてお辞儀をして礼を示すと、セベクは満足そうに目を細めて笑ってる。まるで蜥蜴みたいだ。
「ふん。なかなか分かっているじゃないか」
「セベクこそ」
にやりと笑って返した私たちは、こうして同盟を結んだのだ。