銀
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毎日ある授業も今日は創立記念日とのことで、記念式典が開かれる。この式典は教師と学園長のみが参加する厳粛なものなので、シルバーのような一般の生徒はホリデー以外に与えられる休日だ。
マレウスの姿が見当たらないと泣きながら探すセベクのおかげでディアソムニア寮の中は珍しく騒がしく、シルバーの目はすんなりと開いた。シルバーは起床してからまずスマホの画面の通知を確認した。そこに表示されたメッセージはどうでもいい広告だったり、リリアからの連絡事項、二年生のマジカメのメッセージだったりと多様だ。その中に、見慣れないメッセージがあることに気が付いた。
『先輩、風邪をひいたので、馬術部に参加できません』
すぐにシルバーは服を実践魔法で制服に替えて、部屋を飛び出した。その姿を認めたセベクは廊下を走るな! とシルバーを叱るが、シルバーの耳には生憎届いていない。彼はそのまま鏡舎につながる鏡へと走って行ってしまった。一体何なんだとセベクは首を傾げるが、その理由は後程知ることとなる。
シルバーがオンボロ寮に向かう途中で雨が降ってくる。Mr.Sのロゴが入った紙袋ががさがさとうるさいが、この中身を濡らすわけにもいかず魔法で濡れないように彼は片手に紙袋、もう片方にマジカルペンを構え続けた。
オンボロ寮に着けば、玄関で待っていたゴーストたちが早くおいでと玄関が開いていることを知らせてくれた。シルバーは中に入って鍵をかけると、すぐさま濡れた自分の服を魔法で乾かした。グリムが二階から顔を出し、「早く来るんだゾ!」と狼狽した様子だ。シルバーは紙袋を談話室のローテーブルに置き、二階へと向かった。グリムが先導してユウの自室の前まで連れてきてくれると、彼はそのまま部屋に入ったのでシルバーは念のため壁をノックしてから入った。
「先輩……風邪がうつりますから、帰ってください」
ベッドで力なく横たわっているユウは、苦しそうに呼吸をしていた。頬を赤くしながら、咳き込む姿は痛々しい。シルバーの足元にいたグリムは、先ほど体温を測った結果8度5分の熱を出していたことを教えてくれた。
「俺は滅多なことで風邪をひかない。それに、弱っているお前を放っておけない」
真っ直ぐに言い返したシルバーにユウはもう何も言うことができなかった。
「何か必要なものはあるか?」
「手間でしょうから。大丈夫ですよ」
「ダメだ」
弱弱しく答えたユウに、シルバーは厳しい声で言った。まだ頼ろうとはしない彼女に腹立たしい気持ちになったが、彼女の弱り切った顔が傷つくさまを見てすぐにシルバーは自分に嘆息した。感情につられて声にまで動揺を出してしまうのは、どうにかしないといけないだろう。シルバーは努めて優しい声で、毛布をユウの顔の下まで引き上げた。
「お前はここで休め。後は俺がする」
申し訳なさそうにユウは眉をハの字に下げ、潤んだ瞳でシルバーを見上げた。
「……すいません」
「構わない。それに、俺がしたくてしていることだ。謝らなくていい」
シルバーはまず何が欲しいのか、ユウに尋ねた。何でも作る用意はできている。以前自分が風邪をひいた時に欲しかったものをサムに一通りくれるよう言ったので、それなりにカバーはできるはずだ。
ユウはひとしきり悩むと、真っ赤になった唇を必死に動かした。
「……ゼリー、がいいです」
甘いものが食べたくなる気持ちはわかる。シルバーは、すぐに出そうと言って、ユウの額を撫でた。その優しい手つきに、ユウは思わず瞼を閉じた。
マレウスの姿が見当たらないと泣きながら探すセベクのおかげでディアソムニア寮の中は珍しく騒がしく、シルバーの目はすんなりと開いた。シルバーは起床してからまずスマホの画面の通知を確認した。そこに表示されたメッセージはどうでもいい広告だったり、リリアからの連絡事項、二年生のマジカメのメッセージだったりと多様だ。その中に、見慣れないメッセージがあることに気が付いた。
『先輩、風邪をひいたので、馬術部に参加できません』
すぐにシルバーは服を実践魔法で制服に替えて、部屋を飛び出した。その姿を認めたセベクは廊下を走るな! とシルバーを叱るが、シルバーの耳には生憎届いていない。彼はそのまま鏡舎につながる鏡へと走って行ってしまった。一体何なんだとセベクは首を傾げるが、その理由は後程知ることとなる。
シルバーがオンボロ寮に向かう途中で雨が降ってくる。Mr.Sのロゴが入った紙袋ががさがさとうるさいが、この中身を濡らすわけにもいかず魔法で濡れないように彼は片手に紙袋、もう片方にマジカルペンを構え続けた。
オンボロ寮に着けば、玄関で待っていたゴーストたちが早くおいでと玄関が開いていることを知らせてくれた。シルバーは中に入って鍵をかけると、すぐさま濡れた自分の服を魔法で乾かした。グリムが二階から顔を出し、「早く来るんだゾ!」と狼狽した様子だ。シルバーは紙袋を談話室のローテーブルに置き、二階へと向かった。グリムが先導してユウの自室の前まで連れてきてくれると、彼はそのまま部屋に入ったのでシルバーは念のため壁をノックしてから入った。
「先輩……風邪がうつりますから、帰ってください」
ベッドで力なく横たわっているユウは、苦しそうに呼吸をしていた。頬を赤くしながら、咳き込む姿は痛々しい。シルバーの足元にいたグリムは、先ほど体温を測った結果8度5分の熱を出していたことを教えてくれた。
「俺は滅多なことで風邪をひかない。それに、弱っているお前を放っておけない」
真っ直ぐに言い返したシルバーにユウはもう何も言うことができなかった。
「何か必要なものはあるか?」
「手間でしょうから。大丈夫ですよ」
「ダメだ」
弱弱しく答えたユウに、シルバーは厳しい声で言った。まだ頼ろうとはしない彼女に腹立たしい気持ちになったが、彼女の弱り切った顔が傷つくさまを見てすぐにシルバーは自分に嘆息した。感情につられて声にまで動揺を出してしまうのは、どうにかしないといけないだろう。シルバーは努めて優しい声で、毛布をユウの顔の下まで引き上げた。
「お前はここで休め。後は俺がする」
申し訳なさそうにユウは眉をハの字に下げ、潤んだ瞳でシルバーを見上げた。
「……すいません」
「構わない。それに、俺がしたくてしていることだ。謝らなくていい」
シルバーはまず何が欲しいのか、ユウに尋ねた。何でも作る用意はできている。以前自分が風邪をひいた時に欲しかったものをサムに一通りくれるよう言ったので、それなりにカバーはできるはずだ。
ユウはひとしきり悩むと、真っ赤になった唇を必死に動かした。
「……ゼリー、がいいです」
甘いものが食べたくなる気持ちはわかる。シルバーは、すぐに出そうと言って、ユウの額を撫でた。その優しい手つきに、ユウは思わず瞼を閉じた。