熱愛プロポーズ!
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ここ最近、メインストリートに行くのが怖い。お化けが出るとか、命を狙われているとかそういう類の話ではない。でも、最早オンボロ寮以外にあまり心の安寧を感じられなくなってる気がする。あ、シルバー先輩とのランニングも心は穏やかかも。心臓は張り裂けそうだけどね。
登校する私にゴーストたちが「今日も乗り切れる!」「堂々としていれば大丈夫」なんてエールを送ってくれるけど、グリムもここ連日の事件に顔がちょっと怖い。私に近づく生徒に手当たり次第に炎を吐かないように昨日言ったけど、大丈夫だろうか。
一歩一歩、歩みを進めていれば、私の姿を認めた他の生徒が何やら耳と口を寄せ合って小声で話している。ああもう、勝手に噂って広がるものなんだね。イライラするけれど、こればっかりはどうしようもない。
しかもエースもデュースも見えない。これは教室に向かうしかないのかと足元のグリムに言えば、グリムがいつになく険しい顔で「さっさと行くゾ」と先を歩きだした。歩く速度を速めた私とグリムは、突き刺すような視線を全身で受けていた。
そんな私の前に出てきた大柄な生徒は、どうやら今日の哀れな第一号らしい。大して照れるそぶりもなく、彼は笑顔で私に手を出してきた。
「ユウ! 俺と付き合おうぜ」
「ごめんなさい」
光もびっくりの速度でお辞儀をして、教室にさっさと向かう。私の後ろにできた人だかりから「この薄情者!」とか「こいつ本気だったんだぞ!」とか結構ぐさぐさ心に刺さることを言われた。でも仕方ないじゃないか。私はシルバー先輩が好きなのに、嘘まで言って喜ばせろっていうの? そっちの方が残酷だ。
そもそものきっかけは一週間前の昼下がりでのことだった。私は同じくA組のモーヴと一緒に魔法史の復習をしていた。モーヴはぱっとしないように見えて勉強はできる方なのだ。エースが気乗りしないと教えてくれない時は、良く頼っていた。そんな彼が私に言ったのだ。
「なぁ、ユウはさ、恋人いんの?」
「居ないけど」
絶賛恋人になって欲しい方はいるけどね。銀の髪が美しくて、性格も素晴らしく優しくて、努力家で親子孝行な方で、居眠りしちゃうのが悩みの2年A組の方なんだけどモーヴ知らないだろうなぁ。なーんて、思考が完全にシルバー先輩に溺れていると、モーヴがこっちを真剣に見ていた。
「なら、俺と付き合わね?」
え? こいつ何を言っているんだ? 私は女という素性を隠して男のふりしていることなんて微塵も知らないはずだぞ。
「モーヴ、男の子が好きだとしても、私は君の友人であることには変わりないよ」
「いや、お前女じゃん」
は? なぜバレているんだ? どこでリークした。カリム先輩か? あの人歩く拡声器だしな。でも、人の秘密を言いふらすほど無神経ではないはずなんだけど。
念のために探ってみるか。最悪吐かせるだけ吐かせて、意識を落とさせよう。
「なんで?」
「だって、最近のお前……可愛いじゃん」
はぁー? 全然まだまだですが? シルバー先輩の「愛らしい」発言で自己肯定感がエベレストも驚きの高みを見たけれど、それはやはりシルバー先輩の言葉だからだ。モーヴに言われたところで何も感じない。
モーヴは自分で言ってて恥ずかしくなってきたのか、若干頬が赤かった。
「それにさ、お前の努力してる必死な姿見てると、応援したくなるんだよな。これからも傍にいて応援したいと思うんだけど、だめ?」
うっ、その上目遣いはちょっと卑怯かもしれない。でも、シルバー先輩の寝顔や微笑みが太陽なら、その表情はマッチの火みたいなものだ。今まで仲良くしてもらった礼もある。ここはきちんと礼を尽くして断ろう。
「モーヴ……。気持ちは嬉しいけど、好きな人はほかにいるから」
そう、私は入学してからシルバー先輩だけを見て追いかけて走ってきた女なのだ。モーヴがいつから私をそういう目で見ていたのか知らないけれど、私のシルバー先輩に対する気持ちにはまだまだ及ばない。
手のひらを見せて断る私に、モーヴはちょっぴり表情を暗くして「そっか」と呟く。そんな寂しい顔しないでほしい。私の復習に付き合ってくれる友達ではいてほしいんだよ。
モーヴはにやりと確信を得た様子で笑った。
「否定しないってことは、やっぱり、お前は女だったんだな」
「あ!」
登校する私にゴーストたちが「今日も乗り切れる!」「堂々としていれば大丈夫」なんてエールを送ってくれるけど、グリムもここ連日の事件に顔がちょっと怖い。私に近づく生徒に手当たり次第に炎を吐かないように昨日言ったけど、大丈夫だろうか。
一歩一歩、歩みを進めていれば、私の姿を認めた他の生徒が何やら耳と口を寄せ合って小声で話している。ああもう、勝手に噂って広がるものなんだね。イライラするけれど、こればっかりはどうしようもない。
しかもエースもデュースも見えない。これは教室に向かうしかないのかと足元のグリムに言えば、グリムがいつになく険しい顔で「さっさと行くゾ」と先を歩きだした。歩く速度を速めた私とグリムは、突き刺すような視線を全身で受けていた。
そんな私の前に出てきた大柄な生徒は、どうやら今日の哀れな第一号らしい。大して照れるそぶりもなく、彼は笑顔で私に手を出してきた。
「ユウ! 俺と付き合おうぜ」
「ごめんなさい」
光もびっくりの速度でお辞儀をして、教室にさっさと向かう。私の後ろにできた人だかりから「この薄情者!」とか「こいつ本気だったんだぞ!」とか結構ぐさぐさ心に刺さることを言われた。でも仕方ないじゃないか。私はシルバー先輩が好きなのに、嘘まで言って喜ばせろっていうの? そっちの方が残酷だ。
そもそものきっかけは一週間前の昼下がりでのことだった。私は同じくA組のモーヴと一緒に魔法史の復習をしていた。モーヴはぱっとしないように見えて勉強はできる方なのだ。エースが気乗りしないと教えてくれない時は、良く頼っていた。そんな彼が私に言ったのだ。
「なぁ、ユウはさ、恋人いんの?」
「居ないけど」
絶賛恋人になって欲しい方はいるけどね。銀の髪が美しくて、性格も素晴らしく優しくて、努力家で親子孝行な方で、居眠りしちゃうのが悩みの2年A組の方なんだけどモーヴ知らないだろうなぁ。なーんて、思考が完全にシルバー先輩に溺れていると、モーヴがこっちを真剣に見ていた。
「なら、俺と付き合わね?」
え? こいつ何を言っているんだ? 私は女という素性を隠して男のふりしていることなんて微塵も知らないはずだぞ。
「モーヴ、男の子が好きだとしても、私は君の友人であることには変わりないよ」
「いや、お前女じゃん」
は? なぜバレているんだ? どこでリークした。カリム先輩か? あの人歩く拡声器だしな。でも、人の秘密を言いふらすほど無神経ではないはずなんだけど。
念のために探ってみるか。最悪吐かせるだけ吐かせて、意識を落とさせよう。
「なんで?」
「だって、最近のお前……可愛いじゃん」
はぁー? 全然まだまだですが? シルバー先輩の「愛らしい」発言で自己肯定感がエベレストも驚きの高みを見たけれど、それはやはりシルバー先輩の言葉だからだ。モーヴに言われたところで何も感じない。
モーヴは自分で言ってて恥ずかしくなってきたのか、若干頬が赤かった。
「それにさ、お前の努力してる必死な姿見てると、応援したくなるんだよな。これからも傍にいて応援したいと思うんだけど、だめ?」
うっ、その上目遣いはちょっと卑怯かもしれない。でも、シルバー先輩の寝顔や微笑みが太陽なら、その表情はマッチの火みたいなものだ。今まで仲良くしてもらった礼もある。ここはきちんと礼を尽くして断ろう。
「モーヴ……。気持ちは嬉しいけど、好きな人はほかにいるから」
そう、私は入学してからシルバー先輩だけを見て追いかけて走ってきた女なのだ。モーヴがいつから私をそういう目で見ていたのか知らないけれど、私のシルバー先輩に対する気持ちにはまだまだ及ばない。
手のひらを見せて断る私に、モーヴはちょっぴり表情を暗くして「そっか」と呟く。そんな寂しい顔しないでほしい。私の復習に付き合ってくれる友達ではいてほしいんだよ。
モーヴはにやりと確信を得た様子で笑った。
「否定しないってことは、やっぱり、お前は女だったんだな」
「あ!」