夢に見て
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グリムは一度寝るとユウに起こされるまで起きることはない。しかし、その時だけは違い、周囲の異変を察知したのだ。だからグリムはシアンの瞳を開き、周囲を見渡した。そこはユウといつも寝ている自室で、彼は床に置かれたクッションに寝そべっていた。うう、と呻き声がする。
ふな、と弱々しく声を上げた彼は、恐ろしいことを考えた。このオンボロ寮は少なくともゴーストたちと共に暮らしている場所だ。そこに何かしら無念を抱えたゴーストがいてもおかしくはないのだと。
「うああああ!!!」
「ぶなあああ!!!」
突然の叫び声に飛び跳ねたグリムは、ベッドの上で起き上がった人影に驚きクッションの下に隠れる。しくしくと聞こえた泣き声にそろりとクッションの影からベッドを見ると、顔に両手を当てているユウがいた。緩く跳ねた髪を振り乱している彼女は、肩を震わせている。
グリムはそっとクッションから出てきて、ユウの傍に近寄った。ベッドの沈んだ感覚に顔を上げた彼女に、グリムはそっとその肉球で濡れた頬を叩いた。
「こ、これは心配してるわけじゃねえからな。子分を預かる身として、当然のことをしてるだけなんだゾ」
強がりが見え見えな言い訳でも、ユウはそっと微笑んでグリムを抱きしめた。彼は放せともがくが、ユウの震える体や呼吸を聞いてそれもすぐにやめてしまった。彼がこんなことに付き合う義理はないが、こんな風に震えて泣いている彼女につらく当たれるほど非情でもなかった。
「グリム……ごめん。驚かせちゃったよね……ごめんね」
グリムへの謝罪を述べている彼女だが、グリムは全く謝られている気がしなかった。それはユウに反省の色が見えないのではなく、まるでグリムじゃない誰かに謝っているのではないかと彼は感じていた。
それからもう一度眠ったグリムは、朝日の差し込んだベッドの中で起きた。自室で着替えを済ませたユウはいつも通りおはようと笑いかけてくれる。
「さっさとしないと遅刻するよ」
まるで先ほど見たことは夢なんじゃないかと思うほど、ユウは屈託なく笑った。すぐさま起き上がったグリムは、思わず尋ねた。
「なぁユウ。今日は銀髪野郎と走らねえのか?」
毎週この曜日は確かシルバーと走ってくるとグリムは知っていた。ユウは私の予定を知っているんだと感心した後、首を縦に振った。
「さっき走ってきた。とっても楽しかったよ! 話聞く?」
そこら中に花が咲き乱れそうな笑顔で一直線に銀髪の彼を想う彼女がそこにいる。胸につっかえていたものが取れる感覚がしたグリムは要らないんだゾ、と肉球を見せて拒否した。
ふな、と弱々しく声を上げた彼は、恐ろしいことを考えた。このオンボロ寮は少なくともゴーストたちと共に暮らしている場所だ。そこに何かしら無念を抱えたゴーストがいてもおかしくはないのだと。
「うああああ!!!」
「ぶなあああ!!!」
突然の叫び声に飛び跳ねたグリムは、ベッドの上で起き上がった人影に驚きクッションの下に隠れる。しくしくと聞こえた泣き声にそろりとクッションの影からベッドを見ると、顔に両手を当てているユウがいた。緩く跳ねた髪を振り乱している彼女は、肩を震わせている。
グリムはそっとクッションから出てきて、ユウの傍に近寄った。ベッドの沈んだ感覚に顔を上げた彼女に、グリムはそっとその肉球で濡れた頬を叩いた。
「こ、これは心配してるわけじゃねえからな。子分を預かる身として、当然のことをしてるだけなんだゾ」
強がりが見え見えな言い訳でも、ユウはそっと微笑んでグリムを抱きしめた。彼は放せともがくが、ユウの震える体や呼吸を聞いてそれもすぐにやめてしまった。彼がこんなことに付き合う義理はないが、こんな風に震えて泣いている彼女につらく当たれるほど非情でもなかった。
「グリム……ごめん。驚かせちゃったよね……ごめんね」
グリムへの謝罪を述べている彼女だが、グリムは全く謝られている気がしなかった。それはユウに反省の色が見えないのではなく、まるでグリムじゃない誰かに謝っているのではないかと彼は感じていた。
それからもう一度眠ったグリムは、朝日の差し込んだベッドの中で起きた。自室で着替えを済ませたユウはいつも通りおはようと笑いかけてくれる。
「さっさとしないと遅刻するよ」
まるで先ほど見たことは夢なんじゃないかと思うほど、ユウは屈託なく笑った。すぐさま起き上がったグリムは、思わず尋ねた。
「なぁユウ。今日は銀髪野郎と走らねえのか?」
毎週この曜日は確かシルバーと走ってくるとグリムは知っていた。ユウは私の予定を知っているんだと感心した後、首を縦に振った。
「さっき走ってきた。とっても楽しかったよ! 話聞く?」
そこら中に花が咲き乱れそうな笑顔で一直線に銀髪の彼を想う彼女がそこにいる。胸につっかえていたものが取れる感覚がしたグリムは要らないんだゾ、と肉球を見せて拒否した。