少しずつでもいい
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お風呂から上がったあと、マジカメの投稿を見て寝るのが私の習慣だ。その日皆が何をしていたのかふと気になってしまうからっていうのもあるし、投稿数ゼロのシルバー先輩のアカウントが動かないか気にしているのが専らの目的でもある。でも大体はリリア先輩をはじめとする二年の先輩方の投稿に良いねをつける程度で、先輩の投稿は一切ない。
まさか先輩の連絡先をこうして手に入れられるなんて夢にも思わなかった。というか、本当にあるんだよね?
ちょっと怖くなってスマホの連絡先を見れば、Sの欄にきちんと先輩の名前で書かれた連絡先がある。一回タップするとそこにはきちんと先輩の電話番号とメールアドレスがあった。
……これ実はダミーなんてことはないよね? 先輩がそんなことする理由なんてないのは百も承知だけど、これまで大して運のない私がこんな幸運に恵まれていることが信じられない。
「ユウ、あれ作ってくれ。あれ」
「あれって言われても分からないよ。どんなもの?」
グリムがえっとだなーと唸りながら、必死に脳みそから「あれ」の特徴を絞り出してくれた。腕を組みながら言ってるグリムが可愛いので、無音でシャッターを切る。ちなみにこれはエースに教えてもらったアプリだ。
「あったかくてだな、白くて、甘くて、寝る前に飲むあれだ」
「ああ、ホットミルク」
「そうそう! ホットミルク! 早く作るんだゾ!」
わかったよ、とグリムの頭を撫で、台所へ足を運ぶ。最近冷えるようになったから、ホットミルクを寝る前に飲むようになったんだけど、まさかグリムがあの味見だけで虜になるとは。いやはや、叔母さん直伝の蜂蜜を混ぜたホットミルクは素晴らしい。
グリムの火加減では鍋が焦げるどころか牛乳パックすら燃やしそうなので、仕方なくコンロに鍋を置いて牛乳を温める。牛乳がひと煮立ちしたら温めるのは終わり、そのままマグカップに注いで蜂蜜を少々。ここはお好みだが、グリムは甘党なので多めに蜂蜜を入れた。
「グリム、出来たよー」
そう言ってミルクを運ぼうとした時、ポケットに入れていたスマホが鳴った。シルバー先輩に設定している着信音で、どきりと心臓が飛び出しそうになる。
やばい! 先輩から電話来た!
とっさにスマホを取り出して、もしもし! と答えると、そこから違う声がした。
「人間、僕のスマホを知らないか」
お前かーい! 思わず膝が折れてその場に倒れ込んでしまった私に、セベクは早く答えろと急かした。ふざけないでくれ、私の今の気持ちと期待を返してよ……。
「知らないし、何なら慰謝料請求したい」
「な! なぜだ! 僕は何も悪くないぞ!」
私を見たグリムは、そのままキッチンにあるホットミルクに手を付けている。ぐ、グリム……私の悲しみを一緒に背負ってはくれないんだね。もっと悲しくなっちゃうよ。
なにかセベクが言ってるけど、もう悲しくてそれどころじゃない。赤く光る通話終了ボタンを押し、ふらふらと立ち上がった。
もうこれは悪い夢を見たと思おう。もし電話が来た時のためのシミュレーションをしておくんだ。
そっとホットミルクに口をつける。少し冷えていたのか、暖かな蜂蜜が喉に絡んで取れなかった。
まさか先輩の連絡先をこうして手に入れられるなんて夢にも思わなかった。というか、本当にあるんだよね?
ちょっと怖くなってスマホの連絡先を見れば、Sの欄にきちんと先輩の名前で書かれた連絡先がある。一回タップするとそこにはきちんと先輩の電話番号とメールアドレスがあった。
……これ実はダミーなんてことはないよね? 先輩がそんなことする理由なんてないのは百も承知だけど、これまで大して運のない私がこんな幸運に恵まれていることが信じられない。
「ユウ、あれ作ってくれ。あれ」
「あれって言われても分からないよ。どんなもの?」
グリムがえっとだなーと唸りながら、必死に脳みそから「あれ」の特徴を絞り出してくれた。腕を組みながら言ってるグリムが可愛いので、無音でシャッターを切る。ちなみにこれはエースに教えてもらったアプリだ。
「あったかくてだな、白くて、甘くて、寝る前に飲むあれだ」
「ああ、ホットミルク」
「そうそう! ホットミルク! 早く作るんだゾ!」
わかったよ、とグリムの頭を撫で、台所へ足を運ぶ。最近冷えるようになったから、ホットミルクを寝る前に飲むようになったんだけど、まさかグリムがあの味見だけで虜になるとは。いやはや、叔母さん直伝の蜂蜜を混ぜたホットミルクは素晴らしい。
グリムの火加減では鍋が焦げるどころか牛乳パックすら燃やしそうなので、仕方なくコンロに鍋を置いて牛乳を温める。牛乳がひと煮立ちしたら温めるのは終わり、そのままマグカップに注いで蜂蜜を少々。ここはお好みだが、グリムは甘党なので多めに蜂蜜を入れた。
「グリム、出来たよー」
そう言ってミルクを運ぼうとした時、ポケットに入れていたスマホが鳴った。シルバー先輩に設定している着信音で、どきりと心臓が飛び出しそうになる。
やばい! 先輩から電話来た!
とっさにスマホを取り出して、もしもし! と答えると、そこから違う声がした。
「人間、僕のスマホを知らないか」
お前かーい! 思わず膝が折れてその場に倒れ込んでしまった私に、セベクは早く答えろと急かした。ふざけないでくれ、私の今の気持ちと期待を返してよ……。
「知らないし、何なら慰謝料請求したい」
「な! なぜだ! 僕は何も悪くないぞ!」
私を見たグリムは、そのままキッチンにあるホットミルクに手を付けている。ぐ、グリム……私の悲しみを一緒に背負ってはくれないんだね。もっと悲しくなっちゃうよ。
なにかセベクが言ってるけど、もう悲しくてそれどころじゃない。赤く光る通話終了ボタンを押し、ふらふらと立ち上がった。
もうこれは悪い夢を見たと思おう。もし電話が来た時のためのシミュレーションをしておくんだ。
そっとホットミルクに口をつける。少し冷えていたのか、暖かな蜂蜜が喉に絡んで取れなかった。