少しずつでもいい
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
恋する乙女……と自分で言うのもなんだが、まあ私はシルバー先輩に恋をしている。元の世界では恋の「こ」の字も知らなかった私には、布団に入っている間だけできる秘かな楽しみがある。それは、シルバー先輩と何を話そうか妄想することだ。
とはいえ、大体は妄想だから架空の話なんだけども、これが信じられないくらい楽しい。先輩がどんな反応をするのかいいシミュレーションになるし、何より失敗しても何回もやり直せる! 明日がランニングの日ならランニングをしながら、教室で会うなら教室で、たまにエースやデュースもいる場面を想像するし、セベクやリリア先輩も会話に入ってくることもある。ありそうな状況でいくつか考えていると、ふと私はひらめいた。
これ、先輩にそれとなく好きな人がいるか聞けるんじゃない? 待てよ。これはかなり頭いい! と歓喜のあまり、じたばた足を動かす。
はあ……落ち着け。よくあるシチュエーションとしては、中庭で二人きりの場面だ。大体先輩はあそこで寝落ちしている。
脳内で私は先輩に聞いた。
「シルバー先輩は好きな人とか居ないんですか?」
先輩は特に動揺した様子もなく、淡々と答えた。まあ、先輩ってこういう恋の話に疎そうだよね。先輩に会うまで恋愛もしていなかった私が言うのも変な話だけど。
「今は特に必要としてない。そういうお前はどうなんだ? 好きな女性はいるのか」
あ、私そういえば男装してたんだった。かといって、ここで女性であることを打ち明けて、先輩に告白するわけにもいかないし……。どうしようか。
「います。や、優しくて、いつも穏やかな人なんですけど」
そうそうそれだ。聞かれたらそうしよう! これならそれとなく先輩に近い特徴を挙げているし、私のことを怪しがることもない。やっぱりシミュレーションって大事だな。こういう時のとっさの答えも大事になる。……いったいどこで大事になるのかという冷静な私の声もするけど、それは無視しよう。真面目に受け止めると恥ずか死ぬ。
脳内のシルバー先輩は顔色一つ変えずにスパっと言った。
「そうか、上手くいくといいな」
いや待てー! まず私、男として見られてるからそもそも眼中に無いじゃないか! 今更だけど、ショック……。
だからといって、私が女性だと打ち明けるのもどうかと思う。だからどうした? と思われたら多分立ち直れない。何より女性であることを知らせる合理性にシルバー先輩は気づくはずがない……。なぜ教えたんだって言われたら傷つくよ? そんなの私が先輩に知ってて欲しいからだけど、知らせるのはあくまで私の勝手であって、シルバー先輩には負担でしかないだろう。
「これは女と悟られない限り始まらない恋だ……」
いや、でも、案外男のふりをしてままでもアリなのでは? 昔読んでた漫画のようにシルバー先輩に男のフリしてる私を好きになってもらえば……。
「もし、それで男が好きってなったら」
詰みだ。ダメだ、余罪を増やすことしか出来ないどうしよう。布団の中で頭を抱えることしかできない私は、そのまま思考を眠りに取られてしまった。起きた時には、解決策など一つもなく、ランニングへ向かう羽目になった。
とはいえ、大体は妄想だから架空の話なんだけども、これが信じられないくらい楽しい。先輩がどんな反応をするのかいいシミュレーションになるし、何より失敗しても何回もやり直せる! 明日がランニングの日ならランニングをしながら、教室で会うなら教室で、たまにエースやデュースもいる場面を想像するし、セベクやリリア先輩も会話に入ってくることもある。ありそうな状況でいくつか考えていると、ふと私はひらめいた。
これ、先輩にそれとなく好きな人がいるか聞けるんじゃない? 待てよ。これはかなり頭いい! と歓喜のあまり、じたばた足を動かす。
はあ……落ち着け。よくあるシチュエーションとしては、中庭で二人きりの場面だ。大体先輩はあそこで寝落ちしている。
脳内で私は先輩に聞いた。
「シルバー先輩は好きな人とか居ないんですか?」
先輩は特に動揺した様子もなく、淡々と答えた。まあ、先輩ってこういう恋の話に疎そうだよね。先輩に会うまで恋愛もしていなかった私が言うのも変な話だけど。
「今は特に必要としてない。そういうお前はどうなんだ? 好きな女性はいるのか」
あ、私そういえば男装してたんだった。かといって、ここで女性であることを打ち明けて、先輩に告白するわけにもいかないし……。どうしようか。
「います。や、優しくて、いつも穏やかな人なんですけど」
そうそうそれだ。聞かれたらそうしよう! これならそれとなく先輩に近い特徴を挙げているし、私のことを怪しがることもない。やっぱりシミュレーションって大事だな。こういう時のとっさの答えも大事になる。……いったいどこで大事になるのかという冷静な私の声もするけど、それは無視しよう。真面目に受け止めると恥ずか死ぬ。
脳内のシルバー先輩は顔色一つ変えずにスパっと言った。
「そうか、上手くいくといいな」
いや待てー! まず私、男として見られてるからそもそも眼中に無いじゃないか! 今更だけど、ショック……。
だからといって、私が女性だと打ち明けるのもどうかと思う。だからどうした? と思われたら多分立ち直れない。何より女性であることを知らせる合理性にシルバー先輩は気づくはずがない……。なぜ教えたんだって言われたら傷つくよ? そんなの私が先輩に知ってて欲しいからだけど、知らせるのはあくまで私の勝手であって、シルバー先輩には負担でしかないだろう。
「これは女と悟られない限り始まらない恋だ……」
いや、でも、案外男のふりをしてままでもアリなのでは? 昔読んでた漫画のようにシルバー先輩に男のフリしてる私を好きになってもらえば……。
「もし、それで男が好きってなったら」
詰みだ。ダメだ、余罪を増やすことしか出来ないどうしよう。布団の中で頭を抱えることしかできない私は、そのまま思考を眠りに取られてしまった。起きた時には、解決策など一つもなく、ランニングへ向かう羽目になった。