君と光満ちる茨道を歩いて行こう
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「長かったのお」
リリアは机の上にいる写真立てを手に取り、眺める。その中にはまだリリアの背を越えていない子どもたちが、ろうそくの火に照らされていた。
「まだシルバーが赤ん坊だった頃が、昨日のように思い出せる」
リリアは慈愛に満ち溢れた笑みを湛えながら、銀髪の少年の顔の輪郭を親指でなぞった。
シルバーたちの結婚式はいよいよ明日執り行われる。賢くも強い騎士となった我が子同然の青年と、彼を心から愛し、逞しさも兼ね備えた少女が一緒になることを、リリアは心から待ち望んでいた。しかし、こうして息子が結婚をすると思うと、写真立ての中の子どもたちが滲む。
「わしも歳かの……」
淡く微笑んだリリアにノックの音が飛び込んだ。もうゲームをして寝るだけだというのにと誰何する。ユウです、と申し訳なく響いた声に、リリアはしょげていた機嫌を元に戻した。
「入れ入れ。鍵は開けておる」
ぎい、と音を立てて開いたそこには、外套をまとったユウがいた。彼女の背後にいるはずの銀髪がいないことに気が付き、リリアはぎょっと目を剥いた。ユウに詰め寄り、だらだらと流れる冷や汗をこめかみから顎に垂れ流す。
「ま、まさか式前夜に喧嘩でもしおったのか?」
「まさか! 明日が楽しみだと二人で話しましたよ」
「ならばなぜシルバーを連れておらん」
リリアの問いに、ユウは表情を硬くした。引きつったその頬に、リリアは訝しんで目を細める。しかし、シルバーと仲違いをしたわけでもないのに、一人でリリアの下に訪れる理由が全く分からない。
ユウは外套をぎゅっと握りしめた。彼女は震えそうになる膝を堪えながら、リリアを見据える。ろうそくの火が黒曜石の瞳の中で揺れた。
「実は、お願いがあります」
リリアは机の上にいる写真立てを手に取り、眺める。その中にはまだリリアの背を越えていない子どもたちが、ろうそくの火に照らされていた。
「まだシルバーが赤ん坊だった頃が、昨日のように思い出せる」
リリアは慈愛に満ち溢れた笑みを湛えながら、銀髪の少年の顔の輪郭を親指でなぞった。
シルバーたちの結婚式はいよいよ明日執り行われる。賢くも強い騎士となった我が子同然の青年と、彼を心から愛し、逞しさも兼ね備えた少女が一緒になることを、リリアは心から待ち望んでいた。しかし、こうして息子が結婚をすると思うと、写真立ての中の子どもたちが滲む。
「わしも歳かの……」
淡く微笑んだリリアにノックの音が飛び込んだ。もうゲームをして寝るだけだというのにと誰何する。ユウです、と申し訳なく響いた声に、リリアはしょげていた機嫌を元に戻した。
「入れ入れ。鍵は開けておる」
ぎい、と音を立てて開いたそこには、外套をまとったユウがいた。彼女の背後にいるはずの銀髪がいないことに気が付き、リリアはぎょっと目を剥いた。ユウに詰め寄り、だらだらと流れる冷や汗をこめかみから顎に垂れ流す。
「ま、まさか式前夜に喧嘩でもしおったのか?」
「まさか! 明日が楽しみだと二人で話しましたよ」
「ならばなぜシルバーを連れておらん」
リリアの問いに、ユウは表情を硬くした。引きつったその頬に、リリアは訝しんで目を細める。しかし、シルバーと仲違いをしたわけでもないのに、一人でリリアの下に訪れる理由が全く分からない。
ユウは外套をぎゅっと握りしめた。彼女は震えそうになる膝を堪えながら、リリアを見据える。ろうそくの火が黒曜石の瞳の中で揺れた。
「実は、お願いがあります」