寮長シルバーと監督生を見守る壁になりたい後輩の話
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犯人はユウを以前から女性であると知っていたことや、魔法もないのに学園にいることへの苛立ちから下着泥棒をしたと白状した。無論、学園長に彼の処分が委ねられ、退学処分も見込まれている。
ユウはこめかみに汗をかきながら、シルバーの膝の間で事の顛末を聞いていた。オンボロ寮のソファに腰掛けている彼の膝は普段なら居心地がいいのだが、今回はそうとはいかない。
「まさかシルバー先輩に全て片付けられていたとは」
ばれないように自分で対処しようとしたのに、と心の中で呟くと、シルバーの責めるような視線が彼女の頭上から降り注がれる。それを直視したら絶対に石になると確信していたので、ユウは自分の膝をじっと見ていた。
そっとシルバーの手が、彼女のくせっ毛を撫でる。優しい手つきにどきりと心臓を跳ねさせたユウは、肩を竦め背を丸めた。
「お前はもう少し、俺を頼ってもいいんじゃないか」
シルバーの固い声に、ユウはそれでもやっぱり迷惑になる気がしてならなかった。彼女の膝の上の小さな拳がより大きな手に包まれる。首元を形のいい鼻筋が触れて、ユウは落ち着かない心地になる。ユウの髪に鼻を埋めたシルバーに、彼女はその頭をそっと撫でた。
「……ディアソムニア寮長が、たかが人間の女の子に振り回されちゃ面目ないですよ」
「寮長でもあるが、俺はお前の恋人だ。そのプライベートを侵害されたら、恋人として対処しないわけにはいかない」
今回は特に、と釘を刺したシルバーにユウは最早何も言えなくなった。そんな二人を見つめる瞳が四つある。
「りょ、寮長。僕たち、まだいるんですけど」
彼の声に顔を上げたシルバーは、オンボロ寮の談話室に立ったままの寮生二人を見つめる。あまりに透き通った瞳に思わず彼がドキリとすると、シルバーは平静を保った口調で告げた。
「……すまない。忘れていた」
まさか忘れられているとは思わず放心状態になった彼の隣では、ハンカチを片手に涙ぐむルームメイトがいた。
「どうぞお続けください……。俺は二人を見守る壁となって……うっ」
「そんなこと言ってると木の幹で磔にされるよ! ほら」
これ以上邪魔しては本当にそうされかねない気がして、彼はルームメイトの腕を引っ張り談話室を後にしようとする。ルームメイトは一生推しています! と叫んでいて、近所迷惑だろ、と彼は叱りつけた。
ユウはシルバーの膝から抜け出し立ち上がる。
「君たち、今回はありがとう。おかげで犯人を捕まえられてとても安心した」
その言葉に二人は足を止め、そんなことないと手を振った。シルバーも立ち上がり、ユウの肩を抱く。
「お前たちの働きがなければ、捕まえるのが遅くなっていただろう。助かった」
今回の無断外出についててっきり叱られるとばかり思っていたので、彼とルームメイトは胸がじんと熱くなる。普段から寮生を気にかけてくれるシルバーの役に立てた、それが嬉しくて彼は思わず笑った。
「そんな……お役に立てて何よりです」
しかし、翌朝彼は監督生に声をかけることはできなかった。彼女の首元にはわざとらしく付いた真っ赤な鬱血痕が、下ろされたくせっ毛の隙間から見えていたので。
ユウはこめかみに汗をかきながら、シルバーの膝の間で事の顛末を聞いていた。オンボロ寮のソファに腰掛けている彼の膝は普段なら居心地がいいのだが、今回はそうとはいかない。
「まさかシルバー先輩に全て片付けられていたとは」
ばれないように自分で対処しようとしたのに、と心の中で呟くと、シルバーの責めるような視線が彼女の頭上から降り注がれる。それを直視したら絶対に石になると確信していたので、ユウは自分の膝をじっと見ていた。
そっとシルバーの手が、彼女のくせっ毛を撫でる。優しい手つきにどきりと心臓を跳ねさせたユウは、肩を竦め背を丸めた。
「お前はもう少し、俺を頼ってもいいんじゃないか」
シルバーの固い声に、ユウはそれでもやっぱり迷惑になる気がしてならなかった。彼女の膝の上の小さな拳がより大きな手に包まれる。首元を形のいい鼻筋が触れて、ユウは落ち着かない心地になる。ユウの髪に鼻を埋めたシルバーに、彼女はその頭をそっと撫でた。
「……ディアソムニア寮長が、たかが人間の女の子に振り回されちゃ面目ないですよ」
「寮長でもあるが、俺はお前の恋人だ。そのプライベートを侵害されたら、恋人として対処しないわけにはいかない」
今回は特に、と釘を刺したシルバーにユウは最早何も言えなくなった。そんな二人を見つめる瞳が四つある。
「りょ、寮長。僕たち、まだいるんですけど」
彼の声に顔を上げたシルバーは、オンボロ寮の談話室に立ったままの寮生二人を見つめる。あまりに透き通った瞳に思わず彼がドキリとすると、シルバーは平静を保った口調で告げた。
「……すまない。忘れていた」
まさか忘れられているとは思わず放心状態になった彼の隣では、ハンカチを片手に涙ぐむルームメイトがいた。
「どうぞお続けください……。俺は二人を見守る壁となって……うっ」
「そんなこと言ってると木の幹で磔にされるよ! ほら」
これ以上邪魔しては本当にそうされかねない気がして、彼はルームメイトの腕を引っ張り談話室を後にしようとする。ルームメイトは一生推しています! と叫んでいて、近所迷惑だろ、と彼は叱りつけた。
ユウはシルバーの膝から抜け出し立ち上がる。
「君たち、今回はありがとう。おかげで犯人を捕まえられてとても安心した」
その言葉に二人は足を止め、そんなことないと手を振った。シルバーも立ち上がり、ユウの肩を抱く。
「お前たちの働きがなければ、捕まえるのが遅くなっていただろう。助かった」
今回の無断外出についててっきり叱られるとばかり思っていたので、彼とルームメイトは胸がじんと熱くなる。普段から寮生を気にかけてくれるシルバーの役に立てた、それが嬉しくて彼は思わず笑った。
「そんな……お役に立てて何よりです」
しかし、翌朝彼は監督生に声をかけることはできなかった。彼女の首元にはわざとらしく付いた真っ赤な鬱血痕が、下ろされたくせっ毛の隙間から見えていたので。