日進月歩あるのみ
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「シルバードラゴンは」
どきぃ! と大きな音を立てて心臓が跳ねる。いきなり跳ねるなよ、私の心臓だろ? とツッコミたいが、生憎私の思う通りに行かない臓器その一なので仕方ない。それも好きな人の名前であれば、致し方ないのだ。
つまらなさそうに聞いているグリムをよそに、急いで乱れた筆跡を訂正する。静かな教室はマジカルペンがノートを走る音と先生の声しかしない。あと、たまにルチウスが鳴くくらいか。
やけにエースがこっちをちらちら見るのはなんなんだ。まったく、私は動物園の動物じゃないんだから、言いたいことはさっさと言ってほしい。
エースがこっちを見ると同時に視線を合わせてやれば、驚いたように彼は目を丸くした。一体何なの、とノートの端に書いて出せば、そこに返事が書かれる。
『なんか、お前、肌綺麗になってね?』
「本当!?」
思わず小声で返せば、エースはどういうことなんだと聞いてきた。
そうですか聞きたいですか。ふふ、やっぱりヴィル先輩のケアって相当効いているんだな。セベクのメニューを少し減らした甲斐はあったかも。
「今ちょっととある人に力を貸してもらってて、セベクのトレーニングとはまた別に頑張っているんだ」
「お前はそれで大丈夫なのか? 勉強する暇とかないんじゃないか」
デュースも話を聞いていたのか会話に混ざってくる。心配そうな表情に人差し指を左右に振って応えた。
「ああ、君たちとは違って帰宅部だから、時間は大丈夫」
「にしても、ユウが恋愛でこんなに努力するとか意外だわ」
エースが意地悪な笑顔を返してくる。私はトレイ先輩のお墨付きがつく真面目ですけど? 何を言っているんだね。エース君。
「どう考えても、いつも品行方正で真面目な生徒ですけど」
「毎回グリムと赤点取ってるお前が?」
「あれは基礎知識がないだけです」
「良く言うぜ。そのくせ、シルバー先輩と実験一緒だった時はすげー張り切ってたじゃん」
「う、うるさい! エースだって初恋の女の子に振り向いてもらえないくせに!」
「お前そういうことは言わねえって約束だろ!」
「お前らうるさいんだゾ」
ふな! とグリムが怒るから、話をいったん止めた私たちだが、お互いの間にかかった影を見上げた瞬間、呼吸が止まった。
「まったくだ」
え、トレイン先生……。
私もエースも身を縮こまらせて、降り注がれる怒りの視線を甘んじて受けることしかできない。刀身のような鋭い光がトレイン先生のエバーグリーンの瞳で煌いた。
「お前たちには特別講義を行う。トラッポラ、ユウ。居残りだ」
どきぃ! と大きな音を立てて心臓が跳ねる。いきなり跳ねるなよ、私の心臓だろ? とツッコミたいが、生憎私の思う通りに行かない臓器その一なので仕方ない。それも好きな人の名前であれば、致し方ないのだ。
つまらなさそうに聞いているグリムをよそに、急いで乱れた筆跡を訂正する。静かな教室はマジカルペンがノートを走る音と先生の声しかしない。あと、たまにルチウスが鳴くくらいか。
やけにエースがこっちをちらちら見るのはなんなんだ。まったく、私は動物園の動物じゃないんだから、言いたいことはさっさと言ってほしい。
エースがこっちを見ると同時に視線を合わせてやれば、驚いたように彼は目を丸くした。一体何なの、とノートの端に書いて出せば、そこに返事が書かれる。
『なんか、お前、肌綺麗になってね?』
「本当!?」
思わず小声で返せば、エースはどういうことなんだと聞いてきた。
そうですか聞きたいですか。ふふ、やっぱりヴィル先輩のケアって相当効いているんだな。セベクのメニューを少し減らした甲斐はあったかも。
「今ちょっととある人に力を貸してもらってて、セベクのトレーニングとはまた別に頑張っているんだ」
「お前はそれで大丈夫なのか? 勉強する暇とかないんじゃないか」
デュースも話を聞いていたのか会話に混ざってくる。心配そうな表情に人差し指を左右に振って応えた。
「ああ、君たちとは違って帰宅部だから、時間は大丈夫」
「にしても、ユウが恋愛でこんなに努力するとか意外だわ」
エースが意地悪な笑顔を返してくる。私はトレイ先輩のお墨付きがつく真面目ですけど? 何を言っているんだね。エース君。
「どう考えても、いつも品行方正で真面目な生徒ですけど」
「毎回グリムと赤点取ってるお前が?」
「あれは基礎知識がないだけです」
「良く言うぜ。そのくせ、シルバー先輩と実験一緒だった時はすげー張り切ってたじゃん」
「う、うるさい! エースだって初恋の女の子に振り向いてもらえないくせに!」
「お前そういうことは言わねえって約束だろ!」
「お前らうるさいんだゾ」
ふな! とグリムが怒るから、話をいったん止めた私たちだが、お互いの間にかかった影を見上げた瞬間、呼吸が止まった。
「まったくだ」
え、トレイン先生……。
私もエースも身を縮こまらせて、降り注がれる怒りの視線を甘んじて受けることしかできない。刀身のような鋭い光がトレイン先生のエバーグリーンの瞳で煌いた。
「お前たちには特別講義を行う。トラッポラ、ユウ。居残りだ」