後編
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「つ……つまり」
ことの仔細から察して真犯人は自分だと知ったユウは顔面から火が吹き出しそうだった。何が犯人の口を塞いでやるだ、今は自分のしでかしたことに墨でもって塗りつぶしたいくらいだ。
「ああ! お前たち付き合ってるなら、俺にも言ってくれればいいのに。うちの寮で宴を開くぞ」
「遠慮します! お気持ちだけで十分です!」
あまりの笑顔でカリムにそんなことを言われると結婚式すら挙げられかねない。ユウは全財産と全身でもって拒否した。そうなのかぁ、と残念そうなカリムの顔は刺さるものがあるが、それ以上にユウ自身が羞恥心に殺されかねない。
どこからか話を聞きつけたのか、ジャミルがいたずらに笑ってスマホを向けてきた。そこには仲良く寝ている自分とシルバーの姿がある。それも膝枕バージョン。
「まぁ、あまりにも仲が良いから記念として写真を押さえたぞ」
「何の記念ですか!」
もう人目もはばからず大声でそれを消してくれと頼めば、さらに大きな声がユウの視界の端に立っている緑の人物からした。
「安心しろ! その時の写真はリリア様に献上しろと言われたから送っておいたぞ!」
「なんで!?」
よりによって一番喜びそうな人にあげる必要はないでしょ! とユウは叫んだが、リリア様を喜ばせるためだ! と自信満々に言われるので、もう何も言えなくなった。愛くるしくも良き理解者であるリリアが幸せならそれもいいかと思えた。
「ユウサン!」
どうやら先ほどの喧騒を聞きつけたエペルがユウの手を取り、真っ直ぐに見上げてくる。
「俺! 結婚式サはリンゴの飾り切りば送らし!(結婚式にはリンゴの飾り切りを送るよ!)」
「え?」
エペルの激しい方言に一瞬何を言われたのか分からず、ユウが戸惑っているとエペルの隣からジャックとラギーも現れる。
「しょ、招待状が来たら、行かなくはねえ」
「おいらも、ただ飯食いたいんで、ぜひ招待するっす!」
恥じらいながら招待を待つジャックに対し、正々堂々とただ飯目当てに招待を待つというラギーに続いて、赤髪が姿を見せる。
「それなら、うちの寮でも盛大に祝わせてもらうよ。エースとデュースの面倒を見てくれる彼女はうちの寮生みたいなものだからね」
意気揚々と嬉しそうに腕を組むリドルは、どうだい? 会場もこちらが用意しようと大盤振る舞いの笑顔だ。しかし、ユウはこの状況に震えていた。
なぜだ、なぜ今そんな流れになった。ユウはもはや状況に頭が追いつかない。追いつかないところで、追い打ちがやってきた。
「まあまあ、お祝いすると言っても計画は完ぺきではない。まだ将来は固まっていないも同然。しかしご安心ください、ユウさん」
どこから話を聞きつけたのか、今度は指定暴力団オクタヴィネル寮が金の匂いを嗅ぎつけたらしい。アズールが聞いて驚け見て笑えよろしく意味ありげな笑みを浮かべて、ユウの眼前に紙を突きつけた。
「ご覧ください! 僕たちが考えた完璧なウェディングプランです!」
「ウェ……ウェディングプラン!?」
どこまで将来を展望しているんだと後ずさりせざるを得ないほどの用意周到さに、ユウは頭を抱えたくなった。それも割としっかりしたプランらしいのが、なんだか憎らしい。
「勿論プロポーズの為のデートコースもついてきますよ。どうですか、シルバーさん」
ユウの背後に立っていたシルバーは、ふむふむといつの間にかウェディングプランとデートコースの紙を手に取り、真面目に眺めて検討している。なぜ貴方はそうして平然としていられるんだ、とユウは驚愕していた。
「せ、先輩! 何真面目に受け取っているんですか!」
これはただの冷やかしだ。自分たちがたまたま見せてしまったものに対して、面白おかしく関わってくるだけのこと。そんなもので二人の間を乱されるのが、ユウは酷く嫌だった。
シルバーは手に取っていた紙たちから視線を外し、赤面しながら抵抗するユウに首を傾げる。
「……お前は俺と結婚しないのか?」
その一言がとどめだった。ユウは全身から血が沸騰するような感覚と心臓が張り裂けそうなほどの愛しさで、恥じらいという理性もかなぐり捨てた。
「結婚します!」
ことの仔細から察して真犯人は自分だと知ったユウは顔面から火が吹き出しそうだった。何が犯人の口を塞いでやるだ、今は自分のしでかしたことに墨でもって塗りつぶしたいくらいだ。
「ああ! お前たち付き合ってるなら、俺にも言ってくれればいいのに。うちの寮で宴を開くぞ」
「遠慮します! お気持ちだけで十分です!」
あまりの笑顔でカリムにそんなことを言われると結婚式すら挙げられかねない。ユウは全財産と全身でもって拒否した。そうなのかぁ、と残念そうなカリムの顔は刺さるものがあるが、それ以上にユウ自身が羞恥心に殺されかねない。
どこからか話を聞きつけたのか、ジャミルがいたずらに笑ってスマホを向けてきた。そこには仲良く寝ている自分とシルバーの姿がある。それも膝枕バージョン。
「まぁ、あまりにも仲が良いから記念として写真を押さえたぞ」
「何の記念ですか!」
もう人目もはばからず大声でそれを消してくれと頼めば、さらに大きな声がユウの視界の端に立っている緑の人物からした。
「安心しろ! その時の写真はリリア様に献上しろと言われたから送っておいたぞ!」
「なんで!?」
よりによって一番喜びそうな人にあげる必要はないでしょ! とユウは叫んだが、リリア様を喜ばせるためだ! と自信満々に言われるので、もう何も言えなくなった。愛くるしくも良き理解者であるリリアが幸せならそれもいいかと思えた。
「ユウサン!」
どうやら先ほどの喧騒を聞きつけたエペルがユウの手を取り、真っ直ぐに見上げてくる。
「俺! 結婚式サはリンゴの飾り切りば送らし!(結婚式にはリンゴの飾り切りを送るよ!)」
「え?」
エペルの激しい方言に一瞬何を言われたのか分からず、ユウが戸惑っているとエペルの隣からジャックとラギーも現れる。
「しょ、招待状が来たら、行かなくはねえ」
「おいらも、ただ飯食いたいんで、ぜひ招待するっす!」
恥じらいながら招待を待つジャックに対し、正々堂々とただ飯目当てに招待を待つというラギーに続いて、赤髪が姿を見せる。
「それなら、うちの寮でも盛大に祝わせてもらうよ。エースとデュースの面倒を見てくれる彼女はうちの寮生みたいなものだからね」
意気揚々と嬉しそうに腕を組むリドルは、どうだい? 会場もこちらが用意しようと大盤振る舞いの笑顔だ。しかし、ユウはこの状況に震えていた。
なぜだ、なぜ今そんな流れになった。ユウはもはや状況に頭が追いつかない。追いつかないところで、追い打ちがやってきた。
「まあまあ、お祝いすると言っても計画は完ぺきではない。まだ将来は固まっていないも同然。しかしご安心ください、ユウさん」
どこから話を聞きつけたのか、今度は指定暴力団オクタヴィネル寮が金の匂いを嗅ぎつけたらしい。アズールが聞いて驚け見て笑えよろしく意味ありげな笑みを浮かべて、ユウの眼前に紙を突きつけた。
「ご覧ください! 僕たちが考えた完璧なウェディングプランです!」
「ウェ……ウェディングプラン!?」
どこまで将来を展望しているんだと後ずさりせざるを得ないほどの用意周到さに、ユウは頭を抱えたくなった。それも割としっかりしたプランらしいのが、なんだか憎らしい。
「勿論プロポーズの為のデートコースもついてきますよ。どうですか、シルバーさん」
ユウの背後に立っていたシルバーは、ふむふむといつの間にかウェディングプランとデートコースの紙を手に取り、真面目に眺めて検討している。なぜ貴方はそうして平然としていられるんだ、とユウは驚愕していた。
「せ、先輩! 何真面目に受け取っているんですか!」
これはただの冷やかしだ。自分たちがたまたま見せてしまったものに対して、面白おかしく関わってくるだけのこと。そんなもので二人の間を乱されるのが、ユウは酷く嫌だった。
シルバーは手に取っていた紙たちから視線を外し、赤面しながら抵抗するユウに首を傾げる。
「……お前は俺と結婚しないのか?」
その一言がとどめだった。ユウは全身から血が沸騰するような感覚と心臓が張り裂けそうなほどの愛しさで、恥じらいという理性もかなぐり捨てた。
「結婚します!」