中編
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弁当を食べ終え、暫し休憩すると雨は上がり、いつの間にか木漏れ日が木々の間から差していた。天気が味方をしてくれたおかげで、カッパを着ながら参戦する必要はなさそうである。リドルとアズールが荷物番をすることになり、ユウはジャックとエペルについて行くことにした。マジフト部の体力は明らかにユウからすればバケモノだが、逆にペースを合わせてくれる慈悲深さもあった。
たわいもない学校での話を三人でしながらジェイドの先導について行く。セベクがなぜかこちらを見ている、というか明らかにユウを注視している。背中に突き刺さる視線に耐えきれず、ユウは振り返った。
「セベク。話に混ざりたいの?」
ユウはセベクがそんな可愛い理由でこちらを見つめるはずもないと思っていたが、心当たりからしてそうとしか思えなかった。セベクは腕を組んでユウを見下ろす。
「いいか。この野草採取はペアで行う」
「うん。それはジェイド先輩のしおりにも書いてあった」
「僕はジャックと組む。絶対に邪魔するなよ」
ぎらぎらとハイビームライトのように輝くセベクの瞳は、異論を許す余地がなかった。あまりの覇気にユウは「そ……そう。お二人でごゆっくり」などと謎の返事を返すことしかできない。
「なら、僕はラギーサンと組もうかな」
「え!?」
セベクがジャックと組むなら、エペルと組もうと考えていたユウは思わぬ返答に大声を上げた。驚いたエペルが上目遣いでユウを見る。
「だ……ダメかな? 僕どうしてもたくさん取って、故郷に贈りたくて」
潤んでいるように見える大きな瞳にそう言われては、ユウには手も足も出なかった。「どうぞ……ごゆっくり……」としぶしぶ頷いたユウとは違い、同級生三人はどこかそれでいいというような安堵すら見せていた。
ジェイドが所定の位置についたと言い、一行は歩みを止める。ジェイドは声を張り上げ、これからのスケジュールと指示を行った。
「午前組はなるべく午後組の人と行動してください。迷子にならないよう、お互いに気を付けてくださいね。それではまた二時間後に会いましょう」
解散の雰囲気とはなったものの、ユウは一年生全員から一緒に来るなと接近禁止令を出されているうえシルバーとは行動できない。フロイドがジェイドについて行ったのを見ると、不意に背後から肩を叩かれる。
「なあなあ監督生! 俺と一緒に組まないか?」
これこそまさに天恵、ユニーク魔法『オアシス・メーカー』はユウの優しさに飢えた乾いた心に降り注がれた。そしてカリムは背後を見て「いいか? シルバー」とジャミルと話していたシルバーに許可を取っている。何故シルバーに許可を取るんだ、というか今までカリムがシルバーに許可を取るなどあっただろうか。
シルバーはしっかり頷くと、ユウに近寄ってくる。何か言いたいのだろうかと自分の身なりをチェックするが体操着に特におかしなところもない。ブレザーもさっき返したばかりだ。シルバーはユウの目の前まで来ると、彼女の目をじっと見ていた。
「何かあれば呼べ。すぐにいく」
「あはは。ありがとうございます。先輩もケガしないでくださいね」
何だ心配だったのか、と安堵したユウは後頭部を掻きながら返事をした。「分かった」とシルバーは頷き、そのままジャミルの元まで行ってしまった。
ユウは一年生の不可解なペア分けといい、カリムの珍妙な行動といい、何かあったに違いないと感づいた。それも自分のあずかり知らないところで、シルバーとの恋人関係がやけに強調されている気がする。これは誰かがリークしたに違いないと、ユウは瞳を燃やした。犯人が誰だか突き止めてその口を塞いでやる、と固い決意をして。
たわいもない学校での話を三人でしながらジェイドの先導について行く。セベクがなぜかこちらを見ている、というか明らかにユウを注視している。背中に突き刺さる視線に耐えきれず、ユウは振り返った。
「セベク。話に混ざりたいの?」
ユウはセベクがそんな可愛い理由でこちらを見つめるはずもないと思っていたが、心当たりからしてそうとしか思えなかった。セベクは腕を組んでユウを見下ろす。
「いいか。この野草採取はペアで行う」
「うん。それはジェイド先輩のしおりにも書いてあった」
「僕はジャックと組む。絶対に邪魔するなよ」
ぎらぎらとハイビームライトのように輝くセベクの瞳は、異論を許す余地がなかった。あまりの覇気にユウは「そ……そう。お二人でごゆっくり」などと謎の返事を返すことしかできない。
「なら、僕はラギーサンと組もうかな」
「え!?」
セベクがジャックと組むなら、エペルと組もうと考えていたユウは思わぬ返答に大声を上げた。驚いたエペルが上目遣いでユウを見る。
「だ……ダメかな? 僕どうしてもたくさん取って、故郷に贈りたくて」
潤んでいるように見える大きな瞳にそう言われては、ユウには手も足も出なかった。「どうぞ……ごゆっくり……」としぶしぶ頷いたユウとは違い、同級生三人はどこかそれでいいというような安堵すら見せていた。
ジェイドが所定の位置についたと言い、一行は歩みを止める。ジェイドは声を張り上げ、これからのスケジュールと指示を行った。
「午前組はなるべく午後組の人と行動してください。迷子にならないよう、お互いに気を付けてくださいね。それではまた二時間後に会いましょう」
解散の雰囲気とはなったものの、ユウは一年生全員から一緒に来るなと接近禁止令を出されているうえシルバーとは行動できない。フロイドがジェイドについて行ったのを見ると、不意に背後から肩を叩かれる。
「なあなあ監督生! 俺と一緒に組まないか?」
これこそまさに天恵、ユニーク魔法『オアシス・メーカー』はユウの優しさに飢えた乾いた心に降り注がれた。そしてカリムは背後を見て「いいか? シルバー」とジャミルと話していたシルバーに許可を取っている。何故シルバーに許可を取るんだ、というか今までカリムがシルバーに許可を取るなどあっただろうか。
シルバーはしっかり頷くと、ユウに近寄ってくる。何か言いたいのだろうかと自分の身なりをチェックするが体操着に特におかしなところもない。ブレザーもさっき返したばかりだ。シルバーはユウの目の前まで来ると、彼女の目をじっと見ていた。
「何かあれば呼べ。すぐにいく」
「あはは。ありがとうございます。先輩もケガしないでくださいね」
何だ心配だったのか、と安堵したユウは後頭部を掻きながら返事をした。「分かった」とシルバーは頷き、そのままジャミルの元まで行ってしまった。
ユウは一年生の不可解なペア分けといい、カリムの珍妙な行動といい、何かあったに違いないと感づいた。それも自分のあずかり知らないところで、シルバーとの恋人関係がやけに強調されている気がする。これは誰かがリークしたに違いないと、ユウは瞳を燃やした。犯人が誰だか突き止めてその口を塞いでやる、と固い決意をして。