守るべきは貴方の笑顔
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事の始まりは、一人の騎士が人間から妖精と同じ寿命を手に入れたことだ。シルバーと共に、騎士としてマレウスの護衛を続けたいと願った人間たちは、人間の寿命を妖精同様に引き延ばす薬を飲めるよう王に請願した。彼はこれに快く応え、寿命が延びた騎士団の人間たちを「授かりし者(ギフテッド)」と名付ける。新しい種族の登場は騎士団だけでなく、市井にも広がった。ギフテッドになりたいと願う人々の思いに応えようと、マレウスは宮廷医を監視しながら延命の薬を施したのだ。
ある時、事故に巻き込まれた親子がいた。親は子供を庇い、突っ込んできた馬車で両足を失くした。膝から下が全く無くなった彼は多量出血で死んでしまう。誰もがそう思っていた時、彼の膝から肉が生まれた。それは枝を伸ばすように虚空を突き進み、徐々に元の形を取り戻していく。瞬く間に、彼は足を取り戻した。これがギフテッドの証だ。妖精であれ、人間であれ、このような再生能力はギフテッド以外にはない。喜んで娘を抱きしめようとした彼に向けられたのは、冷徹な瞳だった。「気持ち悪い!」「バケモノだ!」「今、足が生えたよな!」「マジカメにアップしようっと」悲鳴を上げた夫人が倒れ込み、通りの事故を見ていた者たちは彼から一斉に距離を取った。何故避けるんだと彼が混乱していると、傍で娘のか細く震える息が聞こえる。そっとそちらを見ると、人間である彼女の瞳は恐怖で彩られていた。
「来ないで」
震えて腕で這いずって逃げる彼女を追うことができない彼にぶつけられたのは、罵声と石つぶてだった。ドロリと額を走る赤い熱に、彼が指先を這わせると、もうその熱は乾いている。はっと彼が目を瞠ると、その大きな背中に残忍な言葉が切りつけた。「近づくんじゃない! 偽物(フェイカー)! 俺たち妖精のなりそこない、贋作野郎!」彼はそのまま立ちあがり、どこかへ去ったという。
騎士の行方は未だに分かっていない。
ある時、事故に巻き込まれた親子がいた。親は子供を庇い、突っ込んできた馬車で両足を失くした。膝から下が全く無くなった彼は多量出血で死んでしまう。誰もがそう思っていた時、彼の膝から肉が生まれた。それは枝を伸ばすように虚空を突き進み、徐々に元の形を取り戻していく。瞬く間に、彼は足を取り戻した。これがギフテッドの証だ。妖精であれ、人間であれ、このような再生能力はギフテッド以外にはない。喜んで娘を抱きしめようとした彼に向けられたのは、冷徹な瞳だった。「気持ち悪い!」「バケモノだ!」「今、足が生えたよな!」「マジカメにアップしようっと」悲鳴を上げた夫人が倒れ込み、通りの事故を見ていた者たちは彼から一斉に距離を取った。何故避けるんだと彼が混乱していると、傍で娘のか細く震える息が聞こえる。そっとそちらを見ると、人間である彼女の瞳は恐怖で彩られていた。
「来ないで」
震えて腕で這いずって逃げる彼女を追うことができない彼にぶつけられたのは、罵声と石つぶてだった。ドロリと額を走る赤い熱に、彼が指先を這わせると、もうその熱は乾いている。はっと彼が目を瞠ると、その大きな背中に残忍な言葉が切りつけた。「近づくんじゃない! 偽物(フェイカー)! 俺たち妖精のなりそこない、贋作野郎!」彼はそのまま立ちあがり、どこかへ去ったという。
騎士の行方は未だに分かっていない。