中途半端な存在
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静寂に包まれた謁見室で、ユウは目の前の角の生えた友人の答えを待っていた。政務を行っている彼は高貴とされる黒い服から白い腕を出している。その手が掴んでいるのは、寝ずに彼女が必死に作った提案書だ。さすがにオリジナルの様式で作ったのはまずかっただろうか、とユウのこめかみに冷汗が垂れる。
マレウスは口元を緩めると、紙に向けていた視線を人間の友人に向けた。
「なるほど。面白いことを考える。……ユウ」
「はい!」
「お前には随分と働いてもらうことになる。それでも構わないな?」
ひらりと紙を揺らして笑みを浮かべるマレウスに、ユウは両手を組んで首を何度も縦に振る。友人とはいえ国王の許しを得られなければ、この考えも水の泡だ。ひとまず安心した彼女は、彼にお辞儀をした。国王の後ろ盾があることで彼女の瞳は力強い光を放っている。
「私が働き者だって、ツノ太郎も知ってるでしょ?」
マレウスは「確かにそうだな」と笑い、政務官から手渡される次の議題が書かれた書類に目を通し始めた。
「詳しいことは後で伝える。お前の言う調査団の設立に向け、僕は忙しくなる。設立ができればお前の出番だ。今のうちに休んでおくといい」
片手を額の前に持ってきて笑ったユウは、お辞儀をして謁見室を出る。重厚な扉を出た先の護衛にウインクを飛ばされ、彼女は笑みを返した。次なる議題を述べる青いターバンを巻いた人物とすれ違い、ユウは足早に待合室へ向かう。来た道を戻るだけの単調なルートで緑の絨毯の感触を楽しんでいるうちに、目印にしていた木の扉がそこにあった。金のドアノブを押すと、歓談が扉の向こうから溢れてくる。
ユウはきょろきょろと銀の髪を探せば、壁に立って寄りかかりながら寝ている男がいる。誰にもまだ言い寄られていないようだと近づくと、彼はオーロラシルバーの瞳を開けた。
「ユウ、もう終わったのか?」
寝ぼけ眼の彼の微睡んでいる様子に、ユウは愛おしさがこらえきれず首元に抱きついた。
「終わった!」
彼女を落としてしまわないよう、シルバーは背中と太ももの裏に腕を回す。来るときには呼吸を乱していたというのに、一気に元気を取り戻した彼女の様子にシルバーの口角は自然と上がっていた。
「その様子だと、上手くいったようだな」
「ええ。とっても!」
嬉しさを隠せない様子のユウに、シルバーは「それは良かった」と返す。彼女の心から笑う姿は、彼の胸を何よりも温かくした。
マレウスは口元を緩めると、紙に向けていた視線を人間の友人に向けた。
「なるほど。面白いことを考える。……ユウ」
「はい!」
「お前には随分と働いてもらうことになる。それでも構わないな?」
ひらりと紙を揺らして笑みを浮かべるマレウスに、ユウは両手を組んで首を何度も縦に振る。友人とはいえ国王の許しを得られなければ、この考えも水の泡だ。ひとまず安心した彼女は、彼にお辞儀をした。国王の後ろ盾があることで彼女の瞳は力強い光を放っている。
「私が働き者だって、ツノ太郎も知ってるでしょ?」
マレウスは「確かにそうだな」と笑い、政務官から手渡される次の議題が書かれた書類に目を通し始めた。
「詳しいことは後で伝える。お前の言う調査団の設立に向け、僕は忙しくなる。設立ができればお前の出番だ。今のうちに休んでおくといい」
片手を額の前に持ってきて笑ったユウは、お辞儀をして謁見室を出る。重厚な扉を出た先の護衛にウインクを飛ばされ、彼女は笑みを返した。次なる議題を述べる青いターバンを巻いた人物とすれ違い、ユウは足早に待合室へ向かう。来た道を戻るだけの単調なルートで緑の絨毯の感触を楽しんでいるうちに、目印にしていた木の扉がそこにあった。金のドアノブを押すと、歓談が扉の向こうから溢れてくる。
ユウはきょろきょろと銀の髪を探せば、壁に立って寄りかかりながら寝ている男がいる。誰にもまだ言い寄られていないようだと近づくと、彼はオーロラシルバーの瞳を開けた。
「ユウ、もう終わったのか?」
寝ぼけ眼の彼の微睡んでいる様子に、ユウは愛おしさがこらえきれず首元に抱きついた。
「終わった!」
彼女を落としてしまわないよう、シルバーは背中と太ももの裏に腕を回す。来るときには呼吸を乱していたというのに、一気に元気を取り戻した彼女の様子にシルバーの口角は自然と上がっていた。
「その様子だと、上手くいったようだな」
「ええ。とっても!」
嬉しさを隠せない様子のユウに、シルバーは「それは良かった」と返す。彼女の心から笑う姿は、彼の胸を何よりも温かくした。