後編
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「ここまでくれば大丈夫だ」
シルバーが連れてきてくれたのは、授業でも来たことのある温帯ゾーンだ。「ここにはさっきのような危険性の高い植物は少ない」彼の落ち着いた声で、ユウはほっと安堵の息を吐いた。シルバーは木陰に彼女を抱えたまま腰を下ろす。ユウはどういう状態でシルバーと密着しているか気づき、彼の首に回していた腕を解いた。
「なぜ解くんだ」
「なぜって、先輩は付き合っていない人間に触られるのは苦手じゃないんですか?」
「お前に触れられるなら、どこでも嬉しい」
そう言ってユウを足だけでなく腕でも抱き込んでくるので、彼女の頬はますます熱を帯びる。ユウはやんわりとシルバーの胸を押し返した。
「いや、その。シルバー先輩。私たち、惚れ薬のせいであったとはいえ付き合っていたわけですけど。別に薬が切れても付き合う必要はないんですよ」
真っ赤に熟れた彼女の頬を見つめるシルバーの瞳は、ぎらりと欲で輝く。
「でもお前だから、こうしたい」
シルバーの言葉に張り裂けそうな程、胸の痛みを覚える。ユウは首を横に激しく振った。振りまかれた涙がシルバーの頬で弾ける。
「……先輩! 嫌っている相手にまで優しくする必要はないんですよ!」
元々は自分の不注意で付き合わせてしまった不幸だ。だから、ユウはシルバーに無理をさせるのが我慢ならない。これで彼は離れるだろう。そう思い顔を上げた彼女の予想とは違い、シルバーは目を丸くしていた。
「俺はお前のことを嫌ってなどいない。むしろ、その逆だ」
呟かれたその言葉に、今度はユウも目を丸くした。つぶらな琥珀がキラキラと朝露のように輝く。
「でも、先輩は一度私を避けたじゃないですか。あれは私の発言を気味悪く思ったからじゃないんですか」
不安で揺れるユウの声に、シルバーは首を横に振った。
「確かに俺はお前から一度離れようとした。しかし、それはお前への思いに向き合えなかった俺の弱さが原因だ」
シルバーの食いしばるような言葉に、ユウは口元に手を当てる。彼女の脳内は事実と解釈がまるきり違うことで混沌としていた。
「どういうことですか? 私は……先輩にフラれたんじゃないんですか?」
もう一歩で状況を掴みかけるところでユウの思考は停止していた。その答えは非現実的で、彼女にとってはまさに夢のようなものだったからだ。
シルバーの熱のこもった瞳がユウを射抜く。背中に回された力強い腕は、もう彼女をどこにも逃がしはしない。
「ユウ、お前が好きだ」
たった一言。その一言が、彼女の頬を濡らした。ユウは顔に手を当て、あふれる涙を抑えようとするが止まらない。言葉よりも先に喜びを隠せない彼女に、シルバーは包み込むように抱きしめる。
「返事を、聞かせてくれ」
「わっ……わた、私も大好きです……。こんな、私でよければ……先輩の彼女に、してください!」
涙ながらに言葉をつぎはぎで繋ぐユウの体をシルバーはきつく抱いた。思いはとっくのとうに通じ合っていたのだと、今更ながら気づく不甲斐なさとそれでも分かり合えた喜びでシルバーはおかしくなってしまいそうだ。
「お前でなければ、意味がない」
その優しい言葉にユウの頬が持ち上がる。互いの背に這わせた手は、存在を確かめ合うように掴んで離さなかった。
シルバーが連れてきてくれたのは、授業でも来たことのある温帯ゾーンだ。「ここにはさっきのような危険性の高い植物は少ない」彼の落ち着いた声で、ユウはほっと安堵の息を吐いた。シルバーは木陰に彼女を抱えたまま腰を下ろす。ユウはどういう状態でシルバーと密着しているか気づき、彼の首に回していた腕を解いた。
「なぜ解くんだ」
「なぜって、先輩は付き合っていない人間に触られるのは苦手じゃないんですか?」
「お前に触れられるなら、どこでも嬉しい」
そう言ってユウを足だけでなく腕でも抱き込んでくるので、彼女の頬はますます熱を帯びる。ユウはやんわりとシルバーの胸を押し返した。
「いや、その。シルバー先輩。私たち、惚れ薬のせいであったとはいえ付き合っていたわけですけど。別に薬が切れても付き合う必要はないんですよ」
真っ赤に熟れた彼女の頬を見つめるシルバーの瞳は、ぎらりと欲で輝く。
「でもお前だから、こうしたい」
シルバーの言葉に張り裂けそうな程、胸の痛みを覚える。ユウは首を横に激しく振った。振りまかれた涙がシルバーの頬で弾ける。
「……先輩! 嫌っている相手にまで優しくする必要はないんですよ!」
元々は自分の不注意で付き合わせてしまった不幸だ。だから、ユウはシルバーに無理をさせるのが我慢ならない。これで彼は離れるだろう。そう思い顔を上げた彼女の予想とは違い、シルバーは目を丸くしていた。
「俺はお前のことを嫌ってなどいない。むしろ、その逆だ」
呟かれたその言葉に、今度はユウも目を丸くした。つぶらな琥珀がキラキラと朝露のように輝く。
「でも、先輩は一度私を避けたじゃないですか。あれは私の発言を気味悪く思ったからじゃないんですか」
不安で揺れるユウの声に、シルバーは首を横に振った。
「確かに俺はお前から一度離れようとした。しかし、それはお前への思いに向き合えなかった俺の弱さが原因だ」
シルバーの食いしばるような言葉に、ユウは口元に手を当てる。彼女の脳内は事実と解釈がまるきり違うことで混沌としていた。
「どういうことですか? 私は……先輩にフラれたんじゃないんですか?」
もう一歩で状況を掴みかけるところでユウの思考は停止していた。その答えは非現実的で、彼女にとってはまさに夢のようなものだったからだ。
シルバーの熱のこもった瞳がユウを射抜く。背中に回された力強い腕は、もう彼女をどこにも逃がしはしない。
「ユウ、お前が好きだ」
たった一言。その一言が、彼女の頬を濡らした。ユウは顔に手を当て、あふれる涙を抑えようとするが止まらない。言葉よりも先に喜びを隠せない彼女に、シルバーは包み込むように抱きしめる。
「返事を、聞かせてくれ」
「わっ……わた、私も大好きです……。こんな、私でよければ……先輩の彼女に、してください!」
涙ながらに言葉をつぎはぎで繋ぐユウの体をシルバーはきつく抱いた。思いはとっくのとうに通じ合っていたのだと、今更ながら気づく不甲斐なさとそれでも分かり合えた喜びでシルバーはおかしくなってしまいそうだ。
「お前でなければ、意味がない」
その優しい言葉にユウの頬が持ち上がる。互いの背に這わせた手は、存在を確かめ合うように掴んで離さなかった。