後編
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ユウに選んでもらったシャツとジャケットを着た自分はまるで別人のようだ、とシルバーはショーウィンドウに映る自分を見ていた。歩きながら過ぎ去る自分の姿は、普段と何も変わらないはずだ。しかし、ユウが隣にいるだけで、シルバーはショーウィンドウに移る男が間違いなく世界一幸せな男に見えた。
「先輩、お似合いです!」
そう隣で喜んでくれる彼女に言われるなら、きっと似合っているのだろう。シルバーはわざわざ自分の服を選ぶことに時間を割いてくれたユウに、感謝を覚えずにいられなかった。
「ありがとう。だが、お前は楽しんでいるか? 俺の服を選ぶのにも時間がかかっただろう」
これもシルバーの本音だった。わざわざ彼のために時間を割いてくれる彼女に負担をかけていることは間違いない。デートとは男女が共に楽しむ時間だと大まかにリリアに教わった彼は、ユウが退屈でないか心配だった。
「先輩の服を選ばせてもらえるなんて、とっても嬉しいし楽しいですよ」
心底嬉しそうな彼女の笑顔に、シルバーは目を丸くした。ユウは一向に動かないシルバーに「大丈夫ですか?」と顔を覗き込もうとする。しかし、彼の手によってそれは防がれた。突然視界を手で遮られたユウが慌てる。「どっどうかしました!?」シルバーの手を思わず握ったユウは、その手が震えていることに気が付いた。
「シルバー先輩?」
慣れない場所に来て疲れてしまったのだろうか、とユウが反省する。自分ばかりはしゃぎすぎてはデートは楽しめない。
「その……今は顔を見ないでくれるか? 頼む」
か細く呟かれた言葉は、シルバーらしくもなく震えている。シルバーはどうやら気分を害したわけではないと分かり、ユウは「目を閉じていますから。見ても良くなったら言ってくださいね」と笑った。
一方のシルバーは顔面で目玉焼きが焼けると思えるほど、頬が熱くなっている。こんな情けない顔を見たら、きっとがっかりさせると彼は必死に頭の中でリリアから学んだ戦術を一つ一つ思い出した。ユウに気遣ってもらったこともあり、彼は急いで出してしまった手をそっと外す。
そこには目を閉じて待っている彼女がいた。淡く色づいた頬は桃のようで、閉じた瞼に乗っているブラウンが色っぽさを感じさせる。長いまつ毛が揺れると不覚にもシルバーの心臓までも揺れた。なにより艶のある唇が彼の目を奪う。この唇に触れることも可能だ。しかし、シルバーの脳裏をミストグリーンの髪がよぎり、彼は頭を振って雑念を捨てた。
どうせこの夢も、今日で終わるのだから。
「ユウ、もう大丈夫だ」
「はい!」と勢いよく琥珀の瞳が開かれる。その輝きに心底美しいとと心の中で嘆息したシルバーは、ユウに次へ行こうと言おうとした。しかし、彼のその言葉は見上げてくる瞳の輝きで塞がれた。
「……先輩、疲れてないですか? ちょっとでも帰りたくなったら言ってくださいね」
まさか彼女に気遣われるとは思わず、シルバーは小さく笑った。
「お前といて、帰りたいなどと思わない」
彼の心からの言葉にユウは胸に手を当てて、ほっと安堵の息を吐いた。浮かべた笑みで花でも咲きそうだ。
「よかった。私も先輩とずっと遊んでいたいです」
それが薬のせいで放たれた言葉だとしても、シルバーは心底嬉しいと感じていた。
「先輩、お似合いです!」
そう隣で喜んでくれる彼女に言われるなら、きっと似合っているのだろう。シルバーはわざわざ自分の服を選ぶことに時間を割いてくれたユウに、感謝を覚えずにいられなかった。
「ありがとう。だが、お前は楽しんでいるか? 俺の服を選ぶのにも時間がかかっただろう」
これもシルバーの本音だった。わざわざ彼のために時間を割いてくれる彼女に負担をかけていることは間違いない。デートとは男女が共に楽しむ時間だと大まかにリリアに教わった彼は、ユウが退屈でないか心配だった。
「先輩の服を選ばせてもらえるなんて、とっても嬉しいし楽しいですよ」
心底嬉しそうな彼女の笑顔に、シルバーは目を丸くした。ユウは一向に動かないシルバーに「大丈夫ですか?」と顔を覗き込もうとする。しかし、彼の手によってそれは防がれた。突然視界を手で遮られたユウが慌てる。「どっどうかしました!?」シルバーの手を思わず握ったユウは、その手が震えていることに気が付いた。
「シルバー先輩?」
慣れない場所に来て疲れてしまったのだろうか、とユウが反省する。自分ばかりはしゃぎすぎてはデートは楽しめない。
「その……今は顔を見ないでくれるか? 頼む」
か細く呟かれた言葉は、シルバーらしくもなく震えている。シルバーはどうやら気分を害したわけではないと分かり、ユウは「目を閉じていますから。見ても良くなったら言ってくださいね」と笑った。
一方のシルバーは顔面で目玉焼きが焼けると思えるほど、頬が熱くなっている。こんな情けない顔を見たら、きっとがっかりさせると彼は必死に頭の中でリリアから学んだ戦術を一つ一つ思い出した。ユウに気遣ってもらったこともあり、彼は急いで出してしまった手をそっと外す。
そこには目を閉じて待っている彼女がいた。淡く色づいた頬は桃のようで、閉じた瞼に乗っているブラウンが色っぽさを感じさせる。長いまつ毛が揺れると不覚にもシルバーの心臓までも揺れた。なにより艶のある唇が彼の目を奪う。この唇に触れることも可能だ。しかし、シルバーの脳裏をミストグリーンの髪がよぎり、彼は頭を振って雑念を捨てた。
どうせこの夢も、今日で終わるのだから。
「ユウ、もう大丈夫だ」
「はい!」と勢いよく琥珀の瞳が開かれる。その輝きに心底美しいとと心の中で嘆息したシルバーは、ユウに次へ行こうと言おうとした。しかし、彼のその言葉は見上げてくる瞳の輝きで塞がれた。
「……先輩、疲れてないですか? ちょっとでも帰りたくなったら言ってくださいね」
まさか彼女に気遣われるとは思わず、シルバーは小さく笑った。
「お前といて、帰りたいなどと思わない」
彼の心からの言葉にユウは胸に手を当てて、ほっと安堵の息を吐いた。浮かべた笑みで花でも咲きそうだ。
「よかった。私も先輩とずっと遊んでいたいです」
それが薬のせいで放たれた言葉だとしても、シルバーは心底嬉しいと感じていた。