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平和な日常~夏~3

そのまま横島はこの日もいつも通りに店を開店するが、朝の六時を過ぎると流石に木乃香達を含めた徹夜組が帰っていた。

祭りはお昼からなので、それまで少しは仮眠をしたりお風呂に入ったりするのだろう。

夏休みの宿題の方は仮眠した少女達がしばらく頑張っていたが、午前九時を過ぎるとようやく横島が教えるような宿題は終わる。

まだ自由研究や読書感想文など残ってる者は僅かに居るらしいが、それは今夜徹夜で頑張るらしい。

その後客が途切れた隙に店を閉めて、横島は祭りの方の準備に取り掛かる。


「タマモ、それ重いから気をつけてな」

店を閉めた横島は常連の客から配達に使うようなワゴン車を借りて、食材やスイーツなどの荷物をタマモとさよに手伝って貰いながら車に大量に積んでいく。

実は話の流れで横島も今回屋台を出すことになったのだ

横島としてはすでにたくさんの屋台が出るので自分は不要かとも思うが、元々横島が料理を作ってパーティーする予定だった為にそのままの流れで参加することになってしまったらしい。

しかも知らず知らずのうちに主催者にされてしまい、横島は麻帆良の人々の凄まじさを改めて感じている。


「おまつりたのしみだね!」

「そうね。 でもお祭り作るなんてみんな凄いわよね」

荷物を全て積み出発した車内では、タマモとさよが今日の祭りについて楽しそうにおしゃべりを始める。

タマモはよく分かってないようだが、さよは横島と同じく一夜で作り上げた祭りが楽しみなようだった。


「そういや、さよちゃん学校行く準備は終わったか?」

「はい! 一昨日タマモちゃんと一緒に買った文房具で全部揃いました」

二人は祭りの話で盛り上がるが、横島はふとさよに二学期からの準備が出来たか尋ねる。

実はお盆が過ぎた頃に、横島から近右衛門に二学期からさよが実体化したままでの通学出来るように頼んでいたのだ。

近右衛門は横島の頼みを快諾したというか、薄々そんな頼みが来ると気付いていたらしくすでに根回しは済んでいたらしい。

その結果さよには夏休み終了の一週間前に、転校生という形で2-Aのクラスに通えることを説明していた。

この一週間さよは制服や体操着を買ったり教科書や文房具を揃えたりと、二学期が始まるのを指折り数えて待っていたのだ。


「そっか。 明日からはさよちゃんお弁当作らなきゃな」

楽しそうにタマモと騒ぐさよに、横島は実体化させて本当によかったとシミジミ感じる。

横島とさよが出会ってまだ二ヶ月だが、横島やタマモの力の影響でさよの魂は驚くほど安定していた。

感情が豊かになり喜怒哀楽がはっきりして来たのは元より、記憶も確実に残るようになっている。

おそらく学校に通っても、問題などないだろうと横島は考えていた。


「おいおい……」

「うわ~、凄いですね」

「すごい」

さてそんな横島達の車は麻帆良湖畔公園に近付くが、公園近くの歩道には一般の祭りの出店がすでに並んで準備をしている。

横島が朝に聞いた話では公園と公園の入口付近に出店が出るだけだったのだが、どうやら数時間の間でまた参加者が増えたらしい。



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