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平和な日常~夏~

そのままテスト前の数日は慌ただしく過ぎていった

店の客の女子中高生も日に日に真剣になる者やピリピリする者が増えていくが、それでも客があまり減らなくなったのは前回の中間テストの時とは変わったとこだろう

相変わらず横島はからかわれる立場だったが、テストが近づくに従って落ち着いていき逆に勉強に関して聞かれることが多くなっている

そんな状況で一番聞かれるのは、やはりテストに出そうな問題だった

山かけリストが徐々に広まり噂になると中等部の一年や三年は元より高校生などからも出そうな問題を知りたいと言われることが多いのだ

ただテスト問題を予想するには授業をきちんと聞いていて、先生の何気ない言葉なんかもメモするような人が必要だと言われるとそう簡単ではない

結局解らない問題を教える程度に落ち着いていた



「みんな大丈夫かな……」

そしてテスト当日の横島は、若干落ち着かない様子で窓から街を見つめていた

この数日はバカレンジャー組を中心にテスト勉強を教えていただけに、やはり彼女達の状況が気になっている

正直要領がいいとは言えない彼女達なだけに苦労しながら頑張っていたのだ

横島自身も赤点と戦う苦労はよく理解してるだけに、彼女達に思い入れが入っていた


「てすとは心配なものなの?」

一方そんな横島の様子からテストをあまり理解してないタマモは、テストが実は心配するほど危ない物なのかと誤解し始めている

相変わらず横島の微妙な表情が見えてしまうタマモだが、幼いだけに理解力がまだ追いついてない

ここ数日で勉強はなんとなく理解したが、テストに関してはまだあまり理解してないのだ


「危ないことじゃないよ。 みんなが頑張った成果が出ればいいなって思ってさ」

タマモの表情からテストが危ないのかと誤解してることに気付いた横島は訂正して危なくないと教えるが、そもそも根本的な価値観が違うのでテストの重要性はを理解させるのは簡単ではない

前世の記憶は元より種族としての最低限の知識や本能すら欠けてる部分があるだけに、人間社会の複雑な価値観や仕組みを理解するには相当な時間がかかるだろう

結局横島とタマモは祈るような気持ちで静かな時間を過ごしていく



そしてそのころ中等部ではピンと張り詰めたような緊張感の中で、生徒達が黙々とテストを受けている

もちろんそれは日頃賑やかな2-Aでも同じで、極一部の者以外は緊張感の中でテストを受けていた

ちなみに極一部とはエヴァ・茶々丸・超鈴音・真名・サジなどである

基本的に規格外の彼女達はテストの緊張感とは無縁らしい


そして横島が気にしている明日菜達バカレンジャー組は、相変わらず険しい表情であった

ここ数日は赤点阻止の為に横島の店の他に学校や寮でもかなり頑張っていたが、それでも不安が消えないはずはない

ただ彼女達のテストは予想よりも順調であり、確実にテスト勉強の成果が出ていた

無論解らない問題もあるが、山かけをして徹底的に勉強した場所は確実に理解して答えを書いている

その結果はこの時点ではまだ分からないが、それでも以前のテストと比べると雲泥の差があることに他ならぬ彼女達自身が一番驚いていた

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