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平和な日常~冬~

さてパーティーの件についてだが、横島が木乃香の助手として参加しないかという提案をすると二人は少し考え込む。

横島の提案は二人にとって悪い話ではないが、だからと言って考えもせずに受けれる話ではない。

パーティー中のみならずパーティー後の影響もそれなりに考えなければ、財閥のお嬢様などやってられないのだろう。


「私はいいけど……」

たい焼きが焼ける甘く香ばしい匂いの中で今後の麻帆良の未来に影響を与えそうな話をする横島達は非常にシュールな光景だが、その重要性は一緒に話に加わってる木乃香ですら理解してなく大まかにでも理解してるのは、横島・あやか・千鶴と近くで何となく聞いてる夕映くらいである。


「私は今すぐ即決は難しいですわね」

しばらく考えた二人だが横島の提案は千鶴にはちょうどいい話であるが、あやかはやはり日程的に難しいようだ。

まあ木乃香と千鶴と一緒に参加することの意味を考えると断るのは惜しいが、あやかの場合は挨拶回りだけではなくパーティー前に会談の予定も幾つか入ってるので調整が難しいどころの騒ぎではない。

実のところあやかも昨年まではここまで忙しいなんてことはなく、パーティーに出席しても最低限の挨拶回りでよかったのだが今年は本当に忙しいようだ。

原因は言うまでもなく横島絡みであり、あやかの評価が上がるたびに注目度が増してしまい忙しくなっている。

中学生という年齢からあやか自身は必要以上に大人に気を使ってはいるが、麻帆良祭と納涼祭の成功が与えた影響は非常に大きいと言わざるおえない。

それでも麻帆良カレー関係については雪広グループのサポートがあるのでまだマシだが、納涼祭に関しては雪広グループが直接関わってないので細かい調整や最終判断があやかに回って来ている。

今年のように勢いでやれば一夜で出来る祭りだが細かい問題点を上げればキリがないし、特に厄介なのは雪広・那波の両グループが参加したことで来年のスポンサー希望の企業が結構増えたことだろう。

納涼祭計画の実行委員は大学生だが、大学生達にはスポンサー企業の調整なんてのは流石に無理であやかに回って来ているのが実情だった。

加えて次女とはいえ雪広グループの次代の中核を担うあやかが中学生にして才能を発揮したことで、今のうちにあやかと友好的な関係を築きたいと考える者も決して少なくない。

その結果パーティーの前後にぜひお話をとの依頼が雪広家には結構舞い込んでいる。


「やっぱあやかちゃんは難しいよな。 なんか中学生実業家みたいになっちゃったし。 最近の若い子は成長が早いなぁ~」

「人事のように言わないで下さい。 半分は横島さんの代理なんですから!」

そのまま横島や木乃香は現状で決まってるあやかの当日の予定を聞いて素直に驚くが、まるで自分には全く無関係のようにシミジミと語る横島には流石のあやかもグッタリとしてしまう。

実家の名前ではなく自身の評価を得られるきっかけを作った横島には感謝しているあやかだが、同時に自分の影響力を理解せずに自由気ままに生きてる性格には少し頭を抱えてもいるらしい。



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