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嵐を呼ぶかもしれない男

「美神さーん、お隣に新しい看板が……。」

「げっ! オカルトGメンじゃないの。」

それからしばらくは平穏な日々が続く美神事務所に新たな出来事を呼び込んだのは、何故か史実より早いオカルトGメンの日本進出だった。


「なんすっか、それ?」

「ICPO管轄下の国際組織による霊障専門の公的機関ですよ。」

「ちょっとガツンと1発かまして来るわ!」

ただし小竜姫はオカルトGメンの日本進出の詳しい時期など知らないので西条が来たんだなとしか受け止めてなく、横島と雪之丞はあまり興味無さげであるが。

令子は少し前まで東京を江戸だと思っていた小竜姫がオカルトGメンを知ってることに少し驚くものの小竜姫も人間界に慣れて来たのだろうとしか考えてなく、それよりもよりによって隣のビルに越してきたオカルトGメンに敵意剥き出しで乗り込んでいく。


「よりによって美神さんの事務所の隣に来るなんて……。」

「面白そうですから行ってみましょうか。」

「小竜姫さま!?」

それを見送るようにオカルトGメンの方に手を合わせる横島は血の雨が降らなきゃいいけどと他人事であるが、実は小竜姫は西条と未来ではほとんど話したこともない程度しか知らないので興味があり、自身も横島と雪之丞を連れてオカルトGメンの事務所に少し遅れて向かうことにする。


「えーと、こちら西条さん。 ママの弟子だったの。 こちらが竜神族の小竜姫様でそっちの二人は横島クンと伊達クン。 ちょっと訳あって、うちに滞在してるの。」

「小竜姫様と言えば妙神山の管理人の?」

「ええ、そうですよ。 初めまして。 今は管理人の任から解かれてメドーサという魔族を追ってます。」

小竜姫達がオカルトGメンの事務所に入るとそこでは令子が西条との再会に舞い上がっていたのか、まるで少女のように照れていて横島と雪之丞を驚かせた。

対する西条はまさか令子の元に神族が居たとは思わなかったらしくこちらもまた驚くも、ここでニコニコと笑顔で挨拶を交わす小竜姫の姿に途端に不機嫌そうになる人物がいる。


「小竜姫様! そろそろ仕事の時間っす!」

「ふふ、そんなに興奮しなくてもわかってますよ。 横島さん。」

どうも未来のように令子への執着はほとんどないものの、代わりに小竜姫があまりにニコニコと挨拶するのに危機感を抱いた横島は仕事の時間だと言い出すと小竜姫の腕を取りオカルトGメンの部屋から連れ出してしまう。


「令子ちゃん、彼は何を怒ってたんだい?」

「ああ、小竜姫様と横島クン出来てるのよ。 たぶんヤキモチね。 本当子供なんだから。」

「出来てるって、小竜姫様と彼が?」

「ええ、西条さんなら大丈夫だろうけどどっちかって言えば小竜姫様の方がベタぼれなのよ。 小竜姫様もあれで怒らせると怖いから横島クンがヤキモチ焼いて馬鹿なことしても乗ってかないでね。」

結局雪之丞も小竜姫と横島と一緒に部屋を出てしまうが、西条は何故横島が突然不機嫌そうになったか理解できないようでポカーンとしていたが令子が小竜姫との関係を説明すると唖然とした。

お伽噺じゃあるまいし神族と人間の恋などオカルト業界にそれなりに詳しい西条ですら聞いたことがない。

正直半信半疑なようだったがどちらかと言えば小竜姫が横島にベタぼれしてる現状では、もし横島の安っぽい挑発に西条が乗ったら危ないと令子は釘を刺していた。



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