「そんな……。 いや、そうなのでしょうね。」

ヒャクメの語る小竜姫が居ない未来での横島の行動に小竜姫は素直に驚くもそれが的外れだとは思えなかった。

横島は些か短絡的なだが決して愚かではなく賢い方になる。

小竜姫は知っていた。

すでに過去となった未来世界において横島がルシオラではなく世界を選んだのは、他ならぬルシオラが横島の内側で説得したからに他ならない。

果たして横島が自身の内側から説得されなくても世界を選ぶのか小竜姫にも確証が持てない。


「ただいま～。 って確かこの前……。」

すでに横島が世界の行方の鍵を握りつつあるかもしれないことを小竜姫は複雑な思いで受け止め考えてたが、そんな小竜姫とヒャクメの元に学校が早く終わった横島が帰ってくる。


「ヒャクメなのね。 よろしく横島さん。」

「はあ、よろしくお願いします。」

横島はアパートにて小竜姫と話をするように寛ぐヒャクメにまた何かあったのかと少し不安そうにするも、ヒャクメはお気楽な様子であり横島を困惑させてしまう。


「今日はちょっと遊びに来ただけだから心配ないのね。」

「ああ、そりゃよかったって。 あれ？ 俺心配してるなんて言いましたっけ？」

「私は神界の調査官だから私に見えないことなんてないのね。 例えば、横島さんが隠してるエッチな本が……。」

「どわっ！？ なんばしよっとね！！」

横島がヒャクメと会うのはＧＳ試験以来二回目ながら前回は小竜姫に任務を言い渡しすぐに帰ったため、きちんと話すのは今回が始めてであった。

ヒャクメは挨拶代わりにと自身の能力を披露して横島が隠し持っていたエロ本の位置を暴露してしまい横島を慌てさせる。


「神様がそんなことしたらあかんやろ！」

「細かいこと気にしちゃダメなのね。 私は小竜姫より心が広くて柔軟な思考の神なのぬ。」

「心が広くて柔軟なっていうか……。」

ただ本来の歴史では出会ってすぐに時間移動をしたがヒャクメのドジにより横島が巻き込まれることでかなりフランクな関係となったが、この世界の横島はそれほどヒャクメを知らぬことでまだ少し遠慮気味だ。


「ふふ、面白い人なのね。 私の能力怖がるどころかまだ小竜姫の心配してる。」

「横島さん、ヒャクメは大丈夫ですよ。 以前から親しい友人なのですよ。」

しかし横島は意外に疑り深いことと小竜姫の表情が今一つ優れぬ様子からヒャクメが来たのは本当は何かヤバい話かと心配しており、その能力故に同じ神族にまで避けられるヒャクメの興味を引くことになる。

ただ横島とヒャクメはその軽いノリがなんとなく馬が合うようですぐに打ち解けてしまい、小竜姫が突然人間と付き合いだしたことで神界がちょっと騒ぎになってることなど井戸端会議をするおばちゃんのように話していた。