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新しき絆

横島は頭を下げて喜んだ


そうして魔鈴は夜の店の営業の為に帰っていった



魔鈴はその日ずっと考えていた…

何故かはわからないが横島が気になった

今日は横島の謎はあまりわからなかった…


だが、前とは違った部分があるのは確かだと思った


それ自体は問題無い

人は変わるのだ

成長もするし…


だが…

問題は何故彼がそれを隠すのかだった……


理由はわからない


だが、彼は危うい気がした


そして魔鈴は、ふと思い出した


数ヶ月前の世界の命運をかけた戦いを…


横島がその時、恋人を亡くしたことを…

魔鈴は横島の恋人に直接会ったことはない


だが…


彼はあんな出来事があったのに、前と変わりない様子だった


その不自然さに気がついた


全ては考えすぎかもしれない


全部、想像の域を出てないのだから…


だが魔鈴は思った


しばらく様子を見た方がいいだろうと…


もし、彼の変化の原因があの戦いと失った彼女なら…横島の変化は危険な可能性があった


そして、あの戦いで戦力にもなれなかった自分だが、せめて横島の力になろう…

魔鈴はそう考えていた


魔鈴は横島とあまり接点は無かった


だが、彼があの戦いでどれだけの想いで戦ったかは、少しは知っていた


GSとして

魔女として

大人として


彼に背負わせてしまった重荷を思うと、自分が出来ることは、してあげたいと思った



魔鈴の決意と考えは…

横島と魔鈴の運命を変えることになる




一方魔鈴の帰った横島のアパートでは……


横島と雪之丞はあまり会話はなくテレビを見ていた

横島は一人考え込んでいた…

(魔鈴さんは優しいな…… だが、だからこそ迷惑はかけたくないな……)


横島は魔鈴の優しさに、甘えたくなっている自分に気がついていた

一人悩み迷う日々の中で、その優しさは心に染み込むような感じだった


だが、その優しさに甘えてはいけない…

自分は何も答えを見つけてない

命をかけて愛してくれた彼女……

ルシオラの愛に答えるすべを…


そして優しい魔鈴が、自分に関わってもいいことはないだろう…

魔鈴とは一定の距離を保たなければならない


横島はそう考えていた……



その日の夜も横島は雪之丞と修行をしていた


最近は雪之丞から霊波砲を習ったりして、基礎以外の技も練習を始めていた


そして栄光の手の使い方も増やすように練習していた


前は剣にしてよく使っていたが、剣術を使える訳でもなく

動きも素人の横島では宝の持ち腐れだった…


栄光の手は霊力の扱い方を覚えてからは、攻撃力が増して安定していた

攻撃力は魔装術より上で、霊力の消費は少ない

そして格闘や体術を覚え使い始めていた横島にとっては、ピッタリの武器になっていた


だが、栄光の手の最大の利点は形が自在に変わる、その自由度にある


そのため、現在使っているグローブや剣以外の使い方も練習していた


イメージをしっかり固めて、霊力を安定して使う

その上、格闘に合わせて使わなければならないため

それほど増えてなかったが…



雪之丞はそんな横島の進歩に、驚きをもってみていた

元々才能はあったのだろうが、やる気が加わった横島は凄まじかった

だが横島はその力を、雪之丞以外に見せることは無かった


令子達との除霊は、週末と平日の夕方から何日か行っていたが…

一人で行く以外は、絶対に力を見せることは無かった

それでも、シロやタマモに危険が無いように気を配っていたが、特に動き方などは気付かれないように、気をつけていた

現在の横島の実力を知るのは雪之丞だけで

唯一の例外は助けてもらった魔鈴だった…

魔鈴は令子達との交流はほとんど無い

たまに食事に行っても、客と店員以外の会話は無く

美神達とは距離がある…

横島が魔鈴を完全に拒絶しなかったのは、その理由が大きかった

もしも…

魔鈴が美神達と仲が良ければ…


横島と魔鈴の運命が交わることは無かったかもしれない……

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