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二年目の春・7

「うわ~、上手ですね。」

一方横島の居ない横島宅ではタマモと白いハニワ兵がご機嫌な様子で一緒にお絵描きをしていて、さよとドジなハニワ兵がそんな二人を楽しげに眺めていた。

テレビには野球中継が入っていて先日の野球観戦以来、タマモは貰ったマスコットのぬいぐるみと一緒に応援もしている。

相変わらず細かいルールまでは把握してないが、点数が多い方が勝つことやホームランが出れば点数が入ることは覚えたらしい。


「ぽー?」

「こうしてかくんだよ。」

ハニワ兵としては一番末っ子な上にタマモが母親のような立場のため、白いハニワ兵は若干甘やかされていて少し甘えん坊になっていたが。

タマモ自身もまだまだ甘えたい年頃であり横島や少女達に甘えてるのでどちらかと言えば姉と弟のような関係に近いのかもしれない。

一緒にクレヨンを使い絵を描いている二人は本当に微笑ましく、時々白いハニワ兵がタマモに描き方を相談したりする姿なんかはさよをついつい笑わせてしまっていた。


一方のドジな方のハニワ兵は麻帆良祭にてコスプレなんかをするのを映像で見たため、タマモのコスプレ衣裳なんかを作っていたりする。

なおインターネットショップオトヒメの方でもコスプレ衣裳の製作をしていて、販売や麻帆良祭期間中のレンタルをする予定で準備を進めていた。

麻帆良では麻帆良祭期間中はあちこちで衣裳のレンタルはしていてさほど目新しいものではないが、せっかくのお祭りだから参加しなきゃと張り切っている。


少し話が逸れるが最近になり一部のハニワ兵が屋台を麻帆良祭で出したいと言い始めていることが土偶羅経由で横島と近右衛門に届き二人を悩ませてもいたが。

横島は別にいいんじゃないかと簡単に答えてしまうが、流石にハニワ兵のままで屋台をやるのは少し目立つので近右衛門とすれば勘弁して欲しいらしい。

まあ麻帆良祭で屋台を出すくらいならば近右衛門もなんとかするが、せめて見た目を人と変わらぬ姿に見えるようにすることと普通に話ができるようにすることが必要だと条件を出していた。

ハニワ兵の言語能力自体は少女達からもコミュニケーションを取りやすくするためにも欲しいと言われていたので、横島は腕時計型通信機にハニワ兵の言語というか言いたいことを理解できる機能を追加しようとしていたが近右衛門の条件から結局ハニワ兵に言語を与えることに変更になっている。

それと近右衛門からは別口で麻帆良祭期間中の警備にハニワ兵を少し貸して欲しいとも横島は頼まれているので、結局ハニワ兵に言語能力を与える必要性が出ていた。

人に見えるようにする件に関しては術によりハニワ兵の身体を人に変化させる術と、人造人間Mシリーズの応用でハニワ兵専用人型有機ボディの二つの選択肢を用意することにして調整している。

その結果ハニワ兵達は麻帆良祭への参加と観光での訪問が可能になることが決まり、インターネットショップオトヒメも期間限定で対面販売のショップを出すことが決まっていた。

ただし観光で麻帆良祭に来れる人数は流石に制限をかける予定で希望者の人数が多い場合は抽選になるが。

近年の麻帆良祭への一般の入場者は主催者発表で延べ40万人前後であるが、下手するとハニワ兵だけで同数以上来る可能性もあるので三日間で五万体くらいに抑える予定だ。

正直近右衛門とすれば大変なところに更に仕事が増えてしまうが、超鈴音の一件でもハニワ兵に助けて貰ったし今後も良好な関係を築くには麻帆良祭へ受け入れるしかないとの思惑もあった。


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