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真の歴史へ・その二

六道家と鬼道家の決闘からしばらくしたある日

横島の事務所を一人の老人が訪れていた


「お嬢ちゃん、横島はおるかの?」

中国の人民服のような服装の老人におキヌはお茶を出す


「すいません。 横島は今、外出中なんです。 とりあえず代理の者を呼びますのでお待ち下さい」

おキヌはそう告げて研究室に居るルシオラを呼びに向かった


「ルシオラさーん、お客様ですよ~」

「おキヌちゃんありがとう。 今行くわ」

この日はルシオラ以外は全て除霊に出ており、ルシオラが留守番をしていた

そのルシオラは一旦休憩をしつつ応接室に向かう



「お待たせしました…って老師じゃないですか?」

笑顔でお客の前に現れたルシオラだが、すぐに驚きに変わる

お客と言うのが老師が人化した姿なのだから…

もっとも本体ではなく、分身のようだが


「久しぶりじゃな… ルシオラよ。 しかし、少し無用心じゃな… ワシが暗殺者なら今頃終わっておるぞ」

「すいません。 うちの事務所は人外の訪問者も多いので、特定の過激派神魔族と敵意の無い者は基本的に自由に出入り出来るようにしてるんです」

少し睨む老師にルシオラは苦笑いして説明しており、おキヌはその様子を珍しそうに見つめていた


「まあよい、なかなか頑張っておるようじゃな…」

「はい、突然訪れるとは何かありましたか?」

お茶を飲みキセルでタバコを吸いはじめる老師に、ルシオラは用件を聞く

この時期に老師が人界に降りてくる用件をルシオラは思い当たらない


「うむ、半分は仕事じゃ。 後半分は暇だったのでの… 冷たい弟子どもが一向に顔を見せんから、こちらから来たのじゃ」

ルシオラに少し責めるような視線を向ける老師

どうやら横島達が忙しさなどから、しばらく妙神山に顔を出さなかったのが気に入らないらしい



「あの… お知り合いですか?」

老師が人間でないのは気配でおキヌは感じていた

少ないながら神族の小竜姫達と暮らしてるため、未来よりも霊感が優れているようだ


「おキヌちゃんは初めてだったわね。 この方は神界の実力者で斉天大聖老師。 私達四人の師匠で後見人でもある人よ」

ルシオラの紹介におキヌは驚き老師を見つめる


「そうだったんですか!? これは失礼しました」

おキヌは横島や小竜姫の師匠と聞き、老師に謝るように何度も頭を下げる


「いや、あまり堅苦しくせんでくれ。 人界に来てまで堅苦しくされるのは嫌なのでの…」

困ったように苦笑いする老師にルシオラとおキヌは笑みを見せた



「老師、とりあえず現状を説明しましょうか?」

「いや…、その前に買い物に行きたいのじゃが…」

そんな老師にルシオラは早速現状を説明しようかと聞くが、老師の表情が優れない

何か言いにくそうに、ボソッと買い物に行きたいと言い出していた


「ああ、そういうことね~ ウーン… 私は今日事務所から出れないし、おキヌちゃんは詳しくないし… みんなが戻って来るまで待ってくれないかしら?」

老師の目的を悟ったルシオラはクスクスと笑みを浮かべ、相談をしていく

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