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二年目の春・6

「ふーん。 魔法公開にクーデターね。 成功すんの?」

同じ頃横島の店の厨房には土偶羅の本体が訪れていた。

例によってクルト・ゲーデルの報告書を送っても見てない横島に本体が直接伝えに来たらしい。


「難しいだろうが魔法の公開は不可能ではない。 決起後はクーデターに失敗すれば逃亡して潜伏しながら反メガロメセンブリア活動に移行するだろう。」

横島は先程から日替わりメニューとして揚げ饅頭を提供していて、つぶ餡・こし餡・カスタードの三種類の饅頭を作っている。

揚げるのはお客さんの注文が入ってからにする為にとりあえず饅頭だけを作っていた。


「思い止まらせること出来んのか? そいつが自分の計画でどうなろうが知ったこっちゃないが高畑先生に火の粉がかかるだろうが。」

「無茶を言うな。 過激派がどれだけ厄介かはお前も知ってるだろう。 人の話など聞かんし高畑を動かせば麻帆良にまで火の粉が降りかかる。」

饅頭を包みながら話す内容ではないが横島は手を止めることなく饅頭を包み続けていて、土偶羅は揚げたての饅頭を勝手に食べながら報告する。

相変わらずシュールな光景だが横島にとってはクルトの行く先より日替わりメニュー作りの方が優先されるようだ。


「やだね~。 極端な連中は。」

かつてはアシュタロスの部下だった魔族を筆頭にザンス過激派や神魔の過激派もいろいろ相手にして来た横島からすると、またかと言いたくなりあからさまに嫌そうな顔をした。

みんな仲良くなどと言うつもりはないがもう少し妥協するなり現実的な路線で頑張ってくれと言いたいが、そんなことが出来るならクルトは現状まで追い詰められてないだろう。


「やっと超さんが落ち着いたのに……。」

「……だれ? はにわさんのともだち?」

対策は土偶羅と近右衛門達に任せようと密かに丸投げを決めた横島であるが、厨房にタマモが入って来ると揚げ饅頭を食べる土偶羅に驚き近寄っていく。

実はあまり人前に出ぬ土偶羅の本体とタマモは初対面であった。


「うむ、友達でよかろう。 ワシは土偶羅魔具羅。 土偶羅と呼ぶがいい。」

「はじめまして! わたしはタマモ。 どぐらさんしってるよ! とってもすごいひとなんだよね!」

突然現れたタマモに横島と土偶羅の話は中断されるが、一通り話していたことやこれ以上話してもあまり進展がないこともあり話を終えて土偶羅はタマモの相手をする。

互いに自己紹介をするも当然ながら土偶羅はタマモを知っているし、タマモもまた横島やハニワ兵の話に時々出てくる凄い人だという理解をしていた。

主にハニワ兵の話なのだろうが偉いという意味を今一つ理解してないので凄い人どと受け取っていたらしい。


「こんどいっしょにおさんぽいこう!」

「散歩か。 たまにはいいな。 そのうち暇が出来たら来るとしよう。」

その後何故かタマモと土偶羅は散歩に行く約束をした後に土偶羅は異空間アジトに戻っていく。

タマモは新しい友達が出来たことが嬉しいのか、ご機嫌な様子でフロアに戻って行った。


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