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二年目の春・3

「うわ~、今日は凄いわね。」

そのまま寝惚け気味にタマモに連れられて一階に降りた明日菜はいつもに増して豪華な夕食に素の表情で驚きを見せる。

しかも今日は雪広清十郎や雪広さやかに近右衛門やエヴァなど日頃時々しか来ない面々も揃ってるのだから驚いたのだろう。


「きょうはあすなちゃんのたんじょうびをおいわいするの!」

「本当は明日なんだけど明後日から修学旅行だから明日はバダバタしそうだし今日にしたんだよ。」

どうも明日菜は寝惚け気味だからかそれとも先程の夢が気になってか分からないが普通に自分の誕生日を祝ってのご馳走だと気付かなかったようで、タマモがサプライズが成功したかとワクワクした表情で見守るなかで驚きのあまり一瞬固まったような表情をしていた。

そんな明日菜にタマモは満足そうにウンウンと頷くと本日の主役だからと真ん中の席に座らせる。


「誕生日おめでとう!!」

最早恒例になって来た誕生日を祝うことは月一くらいの割合でやってるが少女達は飽きることなく楽しんでいて、今日もご馳走を前にあちこちで笑顔が見られた。


「……みんなありがとう。」

こういう席になると横島とタマモが一際騒ぐのは元より美砂達やハルナなんかも我先にとテンション高く騒ぎだ出すので、店内はご馳走を食べる前からお酒が入った宴会のようになり誕生日をみんなに祝って貰うことが慣れない明日菜は若干恥ずかしそうにするもやはり嬉しそうである。


「手巻き寿司ってなかなか食べる機会ないのよね。」

「言われてみるとそうね。 お店にはないし、寮だとないメニューだし夕食に作るのも大変だものね。」

さて明日菜に誕生日おめでとうと言葉をかけた一同はお腹が空いたとさっそくご馳走を食べ始めるも、すき焼きは時々横島がやるので食べる機会はあるが手巻き寿司は大晦日に一緒だった明日菜や高畑以外は初めてだった。

さほど珍しい料理ではないが外で食べる物ではないし寮の食堂では出ないメニューなので、意外に食べる機会がないなと少し物珍しそうに食べてる少女が多い。

もちろんタマモは明日菜に手巻き寿司を作ってあげるんだと張り切っていて、自分が食べる物より先に明日菜に何を食べたいかと聞き作り始めている。


「ぽー?」

「ぽー!」

「コレハハジメテダナ。」

なおこの日は店を閉めてるので二体のハニワ兵とチャチャゼロも一緒に食卓を囲んでいた。

二人のハニワ兵とチャチャゼロは手巻き寿司は初めてなようで、周りの少女達の見よう見まねで好みの具材を乗せてそれぞれに手巻き寿司を作っていく。

他にもエヴァも意外に始めてだったようだが、こちらはまあ慣れた手つきで始めてだと悟らせぬままに食べている。

基本的に家庭向けパーティメニューである手巻き寿司なだけにエヴァ一家は食べる機会が無かったのだろう。


「そろそろ鍋の方もいいぞ。」

具材を選びあれこれとお喋りしながら巻いて食べる手巻き寿司はパーティメニューには最適だがこの日は他にもすき焼きなんかがあり、こちらは結構いい肉や卵を用意したので肉なんかはすぐに食べれるようになる。

ほどよく火を通した肉を溶いた卵にくぐらせて食べると、まさしく幸せを感じる味だろう。




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