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二年目の春・2

「わざわざ学校で相談したいって言うから何事かと思えば。 私も横島君から魔法薬貰ってるから煩く言う資格ないのかもしれないけど、貴女達の考え方少し危険よ。」

そしてこの日の放課後になると美砂と夕映とのどかは三人で刀子に対し先生にしか相談出来ないことがあるからと告げて、わざわざ生徒指導室を借りて話をしていた。

なんとなく木乃香達や桜子達には言いにくい話だったこともあり先程身体測定の時に話していた三人で来たのだが、珍しい三人が来たことで刀子は彼女達が横島との関係で何か進展したのではと内心で焦っていたのが馬鹿らしく感じたようでため息混じりに美砂達を見つめる。


「前にも惚れ薬の時に話したけど魔法によって肉体や精神を強制的に変化させることは少なからず危険がつきものなのよ。 横島君は技術の次元が違うからドリンク剤感覚だけど。」

三人もあまりいいことではないと内心では感じてるようなので刀子もキツいことは言わないが、どうしても横島を見てると頼りたくなるのが人の性なのだろうと密かに思う。

刀子自身も老化防止魔法薬を貰ってる手前言いにくいことではあるが、まだ魔法を知ったばかりの少女達には言わなくてはならない立場だった。


「結論から言えば私達の世界だと裏で豊胸薬を称する魔法薬はいろいろあるらしいけど効果と安全性の保証はないわ。 この辺は普通のいかがわしい薬や健康食品と同じね。 ただ怖いのは魔法薬の場合は副作用が未知数だってこと。 基本的に自己責任だし、魔法薬は表沙汰に出来ないから訴えることも出来ないわ。」

あまりいい顔をしない刀子に三人は少しうつむき加減に何とも言えない様子になるも、刀子はそのまま豊胸薬に関する情報を教え始める。

基本的に地球では魔法薬に関しては最低限の国際的な基準があるが、実際には各魔法協会次第というのが現実だった。

一応メガロメセンブリアは魔法使いの最高機関を自称するだけに規制や基準は作っているものの、メガロメセンブリアの支配が及ばぬ地域や魔法協会はそれぞれ独自に判断している。

加えて地球側には元々魔法自体がメガロメセンブリアを筆頭にした西洋魔法以外の魔法や術がいくらでもあるので、現状では誰も管理出来ないという事情もあった。


「ただ実際のところ魔法関係者は肉体には影響がない、姿を変える魔法とか魔法薬で胸を大きく見せてる人は結構いるわよ。 大人になったエヴァンジェリンさん見たことあるでしょう? あれみたいに魔法で好みのサイズに変える人は居るって聞くわ。 あれ魔法が解けない限り触ったりしても分からないらしいし。」

そのまま話は魔法関係者の胸の話になるが、年齢詐称薬のような豊胸詐称薬や豊胸詐称ブラなんかは普通にマホネットで安全な物が売っていたりする。

その代わりという訳ではないが基本的に肉体を永久に変える魔法や魔法薬は魔法世界では倫理的な問題や宗教的な問題から禁止されていて、刑事罰にオコジョ刑があるように肉体を変える魔法はタブー視されていた。

まあこれには当然ながら歴史の闇として人をより強い生命に変えようとした者や不老不死を目指した者などが居た結果でもあるが。


「向こうには魔法と美容整形が合わさったような豊胸手術があるって聞くけど、麻帆良だとそこまで需要がないからやってないわね。 あとこれは私の個人的な意見だけど多分横島君なら薬を使わない自然な豊胸方法知ってると思うわよ。 貴女達は成長期だからそっちの方がいいかも。」

豊胸と一言に言っても魔法世界ですら様々な歴史や技術があるんだと期待半分好奇心半分で聞く三人だが、刀子は最終的に横島に相談するのが一番いいのではと元も子もないことを告げていた。

豊胸ありきではなく健康な体と成長をするような自然な方法があるのではと思ってるらしい。

ただまあ横島にそれを頼むのは抵抗があるからこそ刀子に相談した少女達からすると何とも言えない答えであった。


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