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二年目の春・2

一方この日近右衛門は少しばかり悩んでいた。

実は関東魔法協会でも春は新規の魔法協会加入者や協力者が多く来ることから、毎年春には魔法協会加入者と協力者向けに合同での新人研修が行われている。

基本的に協会員や協力者の指導や監督は個別に指導者や上司や同僚が行うのが一般的だが、基本中の基本の説明は合同新人研修にて行ってもいたのだ。

もちろん協力者は正式には魔法協会に加わる訳ではないので参加の有無は任意になるが、この新人研修は顔見せ的な意味合いもあるので参加が推奨されている。

参加者の年齢は小学低学年から社会人までと幅広く割合で見るとやはり未成年が多いものの、両親が一般人などの場合や地方の魔法関係者なんかの場合には成人してから諸事情により魔法協会に関わることもあるので成人の参加者も珍しくはない。


「一般論で言えば参加して欲しい所じゃが……。」

通常魔法協会では合同新人研修の他にも高畑や刀子のような実力者による講義や実演付きの指導など、集団での訓練というかイベントが大小いろいろと存在する。

加えて魔法協会内には派閥ともサークルとも言える集団も当然ながら存在した。

これには主に西洋魔法を主体とする西洋魔法サークルや、陰陽術や日本古来の神道などを主体とする東洋魔法サークルなどがある。

先に上げたサークルは技術向上や研究などが主要目的になるが、他にも女の子を脱がせたいと言うような趣味嗜好のお遊びサークルから魔法協会の方針や運営方法に対する勉強会などの政治的なサークルなど多岐に渡る集まりがあった。

参加の有無は当然任意で別に一つしか参加出来ない訳ではないのでサークル単位での対立などはあまり存在しないが、中には対メガロメセンブリアの方針などから対立してるサークルもあったりもする。

まあ要は魔法協会員や協力者達は表沙汰にはしないが裏ではいろいろ交流して助け合ったり、切磋琢磨し合ったりしているのだ。

近右衛門の悩みは木乃香と横島達を何処まで関わらせるかということだった。


関西の手前木乃香は魔法協会に入れることは出来ないし周囲の横島や少女達もそれは同様ではあるが、しかしあまりにも孤立させるのもまた将来を考えると問題になる。

特に横島は昨年から注目を集めているだけに協力者として最低限顔合わせをさせるべきかとも思うのだろう。

詠春とも何度か話をしたが、木乃香達にはこれからは関東と関西の双方を知ってもらうためにも相応に他の魔法関係者と交流をさせるべきだろうと考えていた。

無論東西の中立に置くのは前提として必要だが、今から東西の魔法協会の人達と交流して考えたり信頼関係を築くなりすることは必要なことでもある。


「難しいのはやはり横島君か。」

ただここで近右衛門が悩むのは横島を動かすと何か予測できない自体になりそうだということだった。

本人は大人しくしてるつもりらしいが麻帆良ですっかり有名人になったように、このまま静かに溶け込むとは考えにくいとの事情がある。

以前にも考えたが横島という存在は一種の劇薬なので扱いは常に慎重でなくてはならない。

しかしあまり横島や少女達を近右衛門が特別扱いし過ぎると、それはそれでまた不要に目立ち問題になる可能性もあった。

ただでさえ横島は木乃香か千鶴の婿の最有力候補だと囁かれて一部ではトトカルチョまで行われているので、どうするべきか地味に悩むところなのだ。

結局近右衛門はこの件を刀子と高畑に相談して、もしかすれば木乃香達にも相談した方がいいかしれないと思案していく。


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